ステムは背骨の一部である
カーボンステムは高い割に軽く無い。導入している人は滅多にいない。
しかし、カーボンステムの効果は思いの外高く、メーカーによってはフレームセットに付属する重要なパーツである。
ダンシングのキレ、振動吸収性の向上などまるでフレームのグレードを上げたように変化する。
これはステム自体が衝撃を緩和すると言うのもあるが、ハンドルに取り付けられたSTIなどの重量物がカウンターウェイトとなり効果的にステムがしなって振動を抑え込むのだろう。
これはオートバイに乗る人なら重いエンドを使う事でハンドルの振動が劇的小さくなるのが分かるだろう。
サイコンはゴムリングでとりあえず固定。
この後更に軽さを上乗せすべくGARMIN130を導入した。
Aeolus RSLを取り付けて最初に感じたのがフレームが変わったような振動の収束の早さ。
ハンドルが衝撃を吸収していると言うより、フレームの不快な振動を効果的に減衰しているような印象である。
エントリーカーボンフレームのARIAはエントリーらしからぬ硬さを持つフレームで、乗り心地が最大の弱点だったが、ハンドル一本でこれほど良くなるかと驚く。
目に見えて振動吸収性が良くなったため、これは3TのRotundo LTDのような柔らかいハンドルかと思ったが、走れば走るほど剛性が上がっている事を認識させられる。
ダンシングなどとにかくハンドルが軽い。
100g軽くなっているのだから軽いのは当たり前のようだが、120gのライトを装備しても依然として軽快さが失われない。これは明らかに剛性から来る軽快感で、S-WORKSステムとRITCHEYのハンドルも決してヤワではないのだがAeolusは変形量はこれらより遥かに小さいのを感じる。
同じ一体型でもメトロンは無茶苦茶固く重いと言う印象だったので、このフィーリングの差は興味深い。
1500W以上でもがくスプリンターにとってはガチガチのメトロンが軽快に感じるのかも知れないが、FTPが300Wにも満たないアマチュアライダーの小生にとっては十二分な固さである。
因みにAeolusには樹脂製のサイコンマウントが付属するのだが、これも非常に軽い。RECMOUNTなどアルミ製ブラケットはとにかく重いのでここでも大幅に重量を削れる。
エアロダイナミクス
ステム部の改善がどの程度エアロダイナミクスに影響するか分からないが、ハンドルのナロー化はかなり大きな効果があると言う。
近年ではその効果の高さから、プロ選手の間でも400mmや380mmハンドルが流行っており中には特注超ナローハンドルを使用する選手もいる。
ハンドルが細いとハンドルでは無くライダーそのものの空気抵抗が減り、その効果は以前どこかのメーカーが実証していたが、その際にはぶかぶかのロングスリーブを着用していたので数字が大袈裟に出ていたことは否めない。
小生はRITCHEYのブラケット部芯芯400mm、エンド芯芯400mmからAeolusの380mm/380mmに上下20mmづつナロー化したのだが、“こうかはばつぐん”でまるで初めてエアロハンドルを導入した時のようにハンドル周りの風が抜けるを感じる。
これはライトマウントやサイコンマウントのバンドなどが消え去った事も大きいだろう。
前のハンドルでは楽に高速巡航したい時ステムの両脇を持って空気抵抗を抑えていたのだが、このハンドルでは中央付近を握ってもブラケットポジションと速度の伸びが変わらない。
下ハンのポジションもRITCHEYのシャローからほとんど違和感が無く、とても近く感じるのにブラケットポジションからさらにグングンスピードが伸びる。
ステム部の形状、前面投影面積を抑えた軽量マウント、幅の−20mmと言う条件が重なり、セパレートタイプのエアロハンドルから更に飛躍的にエアロダイナミクスを高めてくれるとは嬉しい誤算だった。
Aeolusは買いだ!
7万と言う価格には怯んだが、リーチ、高さ、形状、重量、乗り心地、エアロダイナミクス、剛性、フィーリング全てを備えているハンドルは他に無く、その価値は十分にあると言っていい。
特に旧ハンドルを使っているMADONEオーナーはハンドル一つでこれほど軽快感が出ることに驚くのではないだろうか?
最後にこの圧倒的な美しさも特筆したい。
ハンドル単体が美しいのはもちろん、取り付けたバイクの美しさに思わず唸ってしまう。
これほど速くなったのに小生のホイールは現在初期装備の2.1kg鈍重ホイール。
これを新世代エアロホイールに交換すると更に速くなるのだから楽しみでしょうがない。