大宮さんのお話です。
お引越しばっかでスイマセン…

軽く BL要素を 含んでおります。
苦手な方はご遠慮下さいませ。








東の空が 白み始めた頃

住居スペースとなっている店の2階へと移る。


互いのモノで汚れた躰を ざっとシャワーで流し、1枚しかない布団へと ふたりで潜り込んだ。

激しく…
だけど、とても 優しく 愛されて
心地よい疲労感が 全身を支配する。


…?
寝てる。

静かに寝息を立て始めた
大野さんの鼻先に…キスをした。


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…いつしか オレも
意識が途切れ

眠りに落ちていった。



♪ ~~♪ ~~♪ ~~


「……ん…?」

スマホの着信音に 起こされる。


画面に表示された 名前を確認して…
オレは そっと スマホを伏せた。



隣に手を伸ばす。

大野さんが眠っていた筈の場所は
既に その温もりを失っていた。


「…大野さん?」

壁に掛けられた時計に 目をやると
既に 10時を過ぎていた。


布団の周りに 無造作に散らしていた服をかき集め、身支度を整えて…1階へと降りる。



大野さんは 昨日と同じように、カウンターで 黙々と作業をしていた。
グラスを磨くキレイな指先が 眩しくて…オレは 目を細めた。


視線に気付いた大野さんが 顔を上げ
柔らかく微笑む。


面映ゆくて…

どう反応したら良いのか分からずに
下を向いた。


「ほら…手伝えよ」

エプロンを投げて寄越す。


店内には 客が 一組だけで
今は 接客の必要も無い。


「…何したら良い?」


振り返り、目が合った瞬間

昨夜…この場所での行為を思い出して、 途端に 顔が熱を持った。


「…んふふ、顔、赤いよ」

「…うるさいよ…」

「野菜洗ってくれる?」

「…うん」


カウンターの中に入り
大野さんの横で 水を流す。


「ゴメン…あの、綺麗に片付けてくれたんだ?」

「ん? あぁ…。
さすがに あのままじゃ、店開けらんねぇしな」

「起こしてくれれば…手伝ったのに」

「カズの寝顔、可愛いかったから」

「…なんだよ、それ…」


ドクン  ドクン  と 
心臓が 早鐘を打つ。

この人の 隣に居ると…
オレの胸は 普段とは違う鼓動を刻むのを感じた。

緊張 と 安堵 が同居しているような…
そんな不思議な感覚だったけれど

それでも この人の隣は 
とても 心地良い場所で

いつまでも ここに居たい、と
そう思った。


普段は 閑散としたこの店ではあったが、ランチタイムは それなりに人の出入りが多くなる。

バタバタと 動きまわり


2時を過ぎた頃…やっと 店内に静寂が訪れていた。


「…なぁ、カズ。
おれ、カズヒコ と 話してみたい」

「!?…いや、それは…」


カズヒコを大野さんと会わせる…?

オレの心を 掴んだこの人を
カズヒコは憎むだろうか?


…それとも、いや…多分 カズヒコも 大野さんに惹かれるだろう。


そして、この人も 翔さんのように…


そんな考えに  
ゾッとして 頭を振った。


「…マズイか?
あ!じゃあ、カズヒコの…相手の方は?
どっちにしても…この状況を何とかしないと、心配で お前の側を離れらんねぇよ 」


大野さんは そっと オレの手を取り
そこに…口付けた。

人差し指に 舌が這い

順番に…
一本一本丁寧に舐め上げられる。


「…んっ…や…」


チュ、チュと 軽い音が鳴り
五本目を 舐 め られた所で

唇に 触れた。


「…まだ、営業中だろ!?」


詰まった距離を  押し返す。


「準備中の看板、出してくるか?!」


悪びれる様子も無く
んふふっ…と笑う この人に
少しだけ 意地悪したくなる。


「…ヤダ。躰が保たないよ…」

「えっ!? 本当?  ゴメン!」


口を尖らせて 呟くと
慌てて 情けない顔をする。

あんまり 可愛いくて…
今度はオレから距離を詰めて
キスをした。




つづく


2015.9.10   miu


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※店内での性  行為は 衛生上良くないので、お止めください。笑   m(_ _)m