妄想小説です。
苦手な方はご遠慮下さい。








side: N 人魚



下へ  下へと 
闇に飲み込まれる様に…

アナタは 次第に小さくなっていく。


尾びれを 必死に動かして

追いつき、胸に抱いた時には



青白い顔

冷たい躰



すでに…生気はなかった。



このキレイな瞳は…もう開かないの?

固く閉じた 目蓋にそっと 口付ける。


悲しくて…
苦しくて…


小さなこの胸が 潰されるように痛んだ。



それでも  王子を 元の…

地上へと還してあげたい。




”人間の世界には絶対に近づいてはならない”

頭の中で…
長老の声が 響く。




一度だけ  泳ぎ来た跡を振り返り


胸の 中の…
愛しい人へと視線を戻した。



そしてワタシは 浅瀬へと…

人間の世界に向かって 泳ぎ始めた。








嵐は嘘のように過ぎ去り

今では…

流れゆく 雲の切れ間から
星々が 顔をのぞかせ始めていた。


キラキラと輝く  銀の粒が
二人を見守るように 瞬いている。




海岸に引き上げた 王子の体は

ただ…

寄せては返す 波に 
時折  ゆらゆらと 揺れるだけ。

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…何もできないの?



初めての恋を したのだと
自覚したばかりなのに

この瞳に ワタシを映してくれることは
もう…叶わない?


頬に手を当て

横たわる王子の 冷たい唇に
そっと…自分の唇を  押し当てた。



潮の味…



人魚にとって 水は 母なる存在。


守り…
そして  守られるもの。


いつだって 優しく包んでくれる。




海の、水よ。


ねぇ、ワタシの所へ…
還っておいで?


そう願いながら
王子の唇を…吸い上げた。



「お願い…」



ポタポタと 落ちる涙が 
王子の 頬を 濡らす。


何度目かの キスの後

もう…戻って来てはくれないのかと
諦めかけた その時


…潮の味が 僅かに濃くなり


ゴポッ  と

口から水が 流れ出した。



……?!

王子の背中に 手を当て

下から上へと…
肺に残った水を 口元へと 導くと

その表情は 苦しそうに歪んだ。



ヒュー   ヒューと
微かな呼吸に 胸が上下し始める。



「…良かった…」



そう 呟いた
ワタシの声に 反応したかの様に



その瞳が  ゆっくりと…開いた。




つづく


*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

久しぶりな上に、末ズ感 ZERO…

ビジュアルだけ、ニノちゃんと潤くんで想像して下さい。




今月は 忙しくて、お話が 進みません。
お友達のブログも読むばかりで。
m(_ _)m ペコリーノ


ワクワクもダメだったわ。
…縁がないなぁ。笑



miu