末ズの妄想小説です。
軽くBL含みますので、ご注意下さい…







side: N



……涙を 見られたくない…



濡れたままでは 風邪を引くかもしれないと…潤を 部屋まで連れてきてしまったけど

それは 間違いだったのかもしれない。











自転車の後ろを  指さされ

最初は 遠慮がちに シャツの裾を握っていたんだ。

だけど、潤が オレの手を取り
強く腰へと巻きつけた。


それは  当然、抱きつく形になって

濡れて 張り付いたシャツを 間に挟み込み
潤の背中と オレの胸は ピッタリと触れ合った。


…手が離れたら危ないから って 理由だよね。


そんな事は  分かってる。


でも…嬉しくて


オレは 潤の広い背中を 
後ろから ギュっと 抱きしめた。


重なった…この 胸から 

うるさい鼓動が伝わっちゃうんじゃないかと 心配になるのに

腰へと回した手は 離し難くて

つい、遠回りになる道を
潤に 教えてしまった。



音のない住宅街を走る。



チカチカと瞬く 切れかけた街灯と 
頼りない 自転車のライト。

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二人で進む暗い道は  不明瞭で
道標なんて何も無い。


だけど、微かな明かりだけが 
二人の足元を 照らしていて


それは まるで…

先の見えない オレたちの未来を 示しているようだった。







前方に アパートが 見えてくる。



「潤?」

考え事でもしてるのか
呼びかけても 反応がない。

スピードは 落ちる事なく

そのまま 入り口を通り過ぎそうになる。


「潤、ここ!!」

耳元で 声をかけ
掴んでいた腰を 叩いた。


キュッと…ブレーキが かかる。


驚き、振り向いた 潤の顔が  
あまりにも 近くて  心臓が跳ねた。


慌てて背けたけど
オレ  多分…真っ赤になってる…

恥ずかしくて 

自転車が止まり切る前に飛び降りた。



先に 一人  階段を駆け上がり
ドアの鍵を開ける。


自転車を止めて、潤が 上がって来る頃には 
熱を持った頬も  いくらか 落ち着き

やっと 顔を見ることが出来た。


「…どうぞ?」


中へと誘い

潤でも 着られそうな服を探し、手渡すと
二人の視線が交わった。


吸い込まれそうな 黒い瞳に…囚われる。



(ずっと…
300年も前から  アナタが 好きなんだよ?)



開きかけた口を 慌てて閉じ
後ろを向いた。


バカだよな。
こんな事…伝えられる筈もない。




…もしも。


もし、仮に…
潤に 王子の記憶が 戻ったら

その時は どうなるんだろう?


最初から  尾びれではない
王子と同じ足をもっているのに

それでも オレたちは
結ばれる事を許されない。



決して 叶わない想いを 抱えて…
過去に翻弄されるだけ。



『  気持ち悪い  』


あの時 胸に突き刺さった  潤の言葉は
今また 傷口を広げ…

鮮血を流していた。




…そんな想いをするのは
オレだけで良い。



込み上げる涙を 隠すように

どこにでもいる  普通の男友達を装い
オレは  着替え始めた。




つづく

*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


昨日は ともだちの日でしたね。

バタバタして 記事をUPできなかった…
(^▽^;)


ここで

この場所で 繋がれたお友達。


一緒に言葉を交わして 想いを共有したり

そうでなくても

私の書いた文字で 何かを感じてくれているのなら 嬉しく思います。

数あるブログの中から
出逢ってくれてありがとう。

1日遅れの 感謝を込めて…♡

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miu