末ズのお話です。
軽くBL含みますので、ご注意下さい。










チリッ…と小さな音が鳴り

暗闇に覆われていた 部屋の中は
一転して、眩しい程の 光に包まれた。



潤の頬は  朱に染まり

驚いて 見開いた 大きな瞳は
真っ直ぐに  オレを射抜いていた。


「…ニノ…?」


絞り出すように呟く。


…やっぱり…嫌、だよね。

でも、オレ 頑張ったよ?
好きだ と…言葉で 伝えられたんだ。


もう、これで良い…

良いんだ。


「…ゴメン、忘れて?」


抱かれていた潤の腕から スルリと 抜け

背中を向けて 足元のシャツを拾い上げると
ドアへと向かった。


「ニノッ!!」


ノブに手をかけたところで
潤に 腕を掴まれた。


身体を 壁に押し付けられる。


小さく丸まって 
震えていたオレの背中に 

…温かい唇が寄せられた。


「…俺はニノが、好きだよ。

同じ気持ちだと…そう思って良い?」


後ろから 強く抱きしめられ

オレは
ただ…頷くしか 出来なかった。


背中から 首筋に キスが登ってゆく。


くすぐったくて身を捩ると
クルッと…ひっくり返された。

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あ……


目の前に 潤の顔が迫ると

アゴを掬われて
唇が 強く押し付けられた。





三度目のキスは

初めての…二人の 合意。


オレ達の ぎこちない口付けは 
息苦しくて…

酸素を求めて 唇をズラすと
潤の唇が 追いかけてくる。


そんな、長い  長い…幸せなキスだった。


どちらからともなく
ふ、と唇が離れる。


薄く 目を開けると

そこには 王子ではない
真っ直ぐに オレを見つめる  潤が いた。


潤に 王子の時の記憶は無い。

別の…人。




…怖くなった。


潤は オレを好きだと言ってくれた。

オレも…好き。


でも

オレは 王子だと知っていたから
潤を好きになったの?

この記憶が蘇る前に
潤と出逢っていたら…

それでも…好きになっていた?



過去の記憶に翻弄されて
自分の気持ちが 信じられない。


…潤の胸を そっと  押し返した。





つづく


miu