末ズのお話…ラストです。













side : N




パラパラと窓を打つ雨音で 
オレは 目覚めた。


えーと…  今日は 何日だっけ?


……あ、オレの誕生日、か。



必要最小限のものしか 置いていない
…狭く  空っぽな この部屋。


隅っこに置かれた 
小さなベッドで躰を起こし

辺りを見渡した。



…?

いつにも増して
物が少ない気がするのは どうしてだろう。



掛けられた制服

テーブルの上の マグカップ。


一本だけの…歯ブラシ




…分からない。


だけど、何か…大切なものが 足りなくて

オレは 空いているベッドの 右半分を
そっと 手のひらで撫でた。


無性に  寂しさが募り
枕をギュッと 抱きしめると

微かな甘い香りが  胸に広がる。


使ってる シャンプーじゃない、別の…

知ってるはずなのに
思い出せないこの香りに

なぜだろう、涙が 頬を伝った。








制服へと 袖を通し ドアを開けると

さっきまで降っていた雨は 
既に 止んでいた。


見上げると

空の端は  明るくなり
薄っすらと  太陽が顔をのぞかせている。


階段を降り、足元に出来ていた 水溜まりを
ぴょん、と 飛び越えるように歩くと

足音が  軽快なメロディを奏でた。


「フフッ…」


オレは  濡れるのを気にせず
水溜りを渡り歩き

パチャパチャと鳴るその音色を…
暫くの間 楽しんでいた。



いつもと変わらぬ  通学路。
 

その途中で 
ふ、と足を止める。


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雨に濡れた紫陽花… 

その鮮やかな紫色した花弁に付いた露が
キラキラと 光を放っている。

真珠のような その雨粒を  指先で 掬うと
スッ…と 肌に 沁みて、消えた。


「…なんか 良いことありそうな気がする」


胸の奥に  温かくて、小さな光が 灯る。



オレは  顔を上げて

学校への道を 走り出した。





終わり



*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

最後、短くてスイマセン(´・ω・`)

潤くんと出逢うところまで書こうか迷ったんですが…

あまり多くを書き込むよりも、読んでくれた方に この先を想像してもらえたら その方が良いかな、なんて 思いまして。

長い話が苦手な私。
(…この程度で長いとか言わないか)

リアル設定でもなく、エロくもない。←ここ重要

もはや 自己満足で書き続けてました。

正直ね、つまらなかったと思います。

それでも、このお話を好きだと言ってくれたお友達…本当に嬉しかったよ♡

最後まで読んで下さって
ありがとうございました\(^-^)/



miu