つづきです










「じゃあ、先生教室でね」

「学校まで送るのに」

「だから、帰りはどうすんのよ笑
オレは自転車で行くから…先行って?」

「うん…じゃあ、気をつけろよ」

「先生もね」


卒業まで。
ずっと…自分にそう言い聞かせてきたけど、久々に二人きりの時間を過ごした今では離れがたい。
和也の柔らかい頬に触れれば ふふっ て はにかむように照れるから、我慢出来ずにキスをした。
「///先生ってば、もう」なんて真っ赤になって口を尖らせる和也。

…いや、このくらい良いだろ?

昨日だって本当は…ちょっとだけ期待したんだから。先生も一緒に なんて潤んだ瞳で誘われて。
でも、おれがベッドに行った時にはもうお前は寝てるし。そりゃあもう 天使みたいな寝顔してるんだぜ?起こせないだろ。
結局、そーっと隣に潜り込んで。
狭いベッド。当然のように触れる肌に…素直すぎるくらいに反応しちゃったちんこを宥めるのに苦労したわ。
だから、キスくらい許される、はず。うん。

うかがうようにして和也を見れば、くすくすと笑っていて。
先生、声がだだ漏れてるって。
…え、もしかして おれ声に出してた?!


「昨日、寝ちゃってごめんね?」

「いや…あの、」


言い訳をしようと開いた唇を、キスで塞がれた。















そして
静かにその日を迎えた。


壇上に飾られた花
張り巡らされた紅白の幕
キレイに並べられた椅子

見慣れたはずの体育館なのに
こんなにも感慨深いのは…

やはり、今日が特別な日だからだろう。


粛々と式は進み


呼名簿をそっと 開くと
そこに連なった35人の名前を指でなぞる。

マイクに向かって 一人ずつ、順に呼名し…



「二宮和也」

「はい」


体育館に響く声


…この名を呼ぶのが、おれで良かった。
もちろん、他の生徒の名前も。


込み上げた涙を、慌てて拭った。





つづく



miu