長いお話にはならないと思います( ・∇・)

バカバカしいお話ですが、少しの間お付き合いください♪

最初、にのあいにしようかと思ったんだけど…
ちょっと同居人とカブるかなーと思って、大宮さんにしました←















突然目の前に現れた男は、

……ん?
男、で良いんだよな?

一瞬、美少女かと見間違えるくらい整った顔立ちをした男は、残念なほど薄っぺらい胸を上下させながら、潤んだ瞳で おれを見ていた。

股間には申し訳ない程度に布が巻き付けられているが、ほぼ裸。その白い肌はまるで磁器のようだ。
漏れ出る色香を隠しきれていない、半開きの口元からは赤い舌を覗かせている。


「アナタの願い事、3つ叶えてあげる」

「いや、お前誰だよ」
 
「は?」


あまりの胡散臭さに、完全に引いているおれ。
それを心外だとでも言うように、男は小さく肩をすくめた。


「自分で何をどうしたか思い出してみなさいよ」

「何って…」


昨日、ずっと使っていた急須が壊れて。
んで…新しいのを買わなきゃなぁと思っていたら、広場でフリーマーケットをやってたから、そこを覗いたんだよ。
ぐるっと一回りしたところで、この古ぼけた急須を見つけた。買うか悩んでたら、50円に値引きしてくれて。見た目あんまり綺麗じゃ無かったけど、洗えば良いや と買ったんだ。
100円ショップより安かったしな。

良い買い物をした♪と
ウキウキしながら帰ってきて…

スポンジに洗剤つけて洗ってさ。
なんだか、肌触りがすごく良かったから、指の腹で擦ってたら楽しくなっちゃって。
ゴシゴシ。
隅々まで丁寧に洗い上げた急須は、薄汚れていた最初の姿からは想像出来ないくらい白くて滑らかで。よく見れば、底には何で書いてあるのか分からない文字が書かれててさ。
作者の刻印かとも思ったが、それにしては長い文章みたいだったけど…
結構な年代物なのか、既に削れてしまった箇所もある。気にはなったが、読めないモノは仕方ない。そこはスルーした。

そのあとは、普通にお茶を淹れただけだよな。


茶葉を入れて
湯を注いで

美味しくなるように と
急須の蓋を3回くるくると回す

これはマイルールっていうか、単なるおれの癖。

昔からお茶が好きで、よく飲んでいて。
別に作法とか知らないし、味のこだわりとか何もないけど、これをすると美味しくなるような気がするんだ。

そうしたら、急須からもくもくと湯気が出て…


…目の前に、こいつがいた。


「お茶を淹れただけ、だよな?」

「いや、呼び出したのアナタよ?」

「呼び出したって…何を?」


目の前の男は、信じられないといった顔でおれを見た。
深くため息をつき、立ち上がる。


「まさか、知らないで呼び出すとはね。まぁ、いいか。教えてあげる。
…ワタシはニノ。急須の精霊よ。契約に基づきアナタの願い事を3つだけ叶えてあげる」

「それって…」


アラジン?魔法のランプか?!
と言いかけた おれの言葉を遮るように
「いや、急須だから」と

湯呑み茶碗に注がれたお茶が スッと差し出された。





つづく




miu