週刊誌か( ・∇・)←



つづきです








「あ、ニノ。週末の午後、空けといて」


「何よ、急に」


「ステッカーの件、打ち合わせ入れたから」


「え? だって、あれ…リスナーさんからデザイン募集するってことで決まったよね。明日の番組内で発表するはずじゃ」


「実は、デザインしたいって申し出があってさ。この人…」



まっさんは、そう言いながらパソコンの画面をオレに向けた。


画面いっぱいに広がるのは、独特の世界。

リアルな描写のものもあれば、ポップなものまで。その多彩な表現力に圧倒される。


そんな中、どこか…見覚えのあるイラストが。


さまざまなモチーフを組み合わせ、緻密に書き込まれたイラストには、番組宛に送られてきたハガキに描かれていたものと似ているように思えた。



「え、これって…」


「さすがニノ。気づいた?」



ハガキの束を、ポンと目の前におかれた。


…うん。そう。

SATOさんから送られてきたハガキに描かれているイラストとタッチが似ている。

まさかと思ってまっさんを見れば、SATOさん本人から連絡があったと言う。



「大野智ってイラストレーター。地元出身でさ、結構有名なんだよ」


「大野智…でSATO、か。オレ佐藤さんかと思ってた」


「いや、そこ?」



あはは、と笑ってまっさんは自分のデスクに戻っていった。


毎日のようにハガキを送ってくれていたSATOさんがすごい人だったことには驚いたが、オレはそれよりも…


もはや旧友とすら思っている相手に会えることが、楽しみで仕方なかった。






週末。


ふぁ、と大きなあくびをしながら目を擦る。

ドキドキしすぎて眠れなかったなんて遠足前の小学生かよ。

実際、まっさんには寝不足を見破られて笑われた。



予定外に電話応対が長引き、約束の時間に遅れてしまった。息を整え、ふたりが先に入っているはずの小会議室のドアをノックする。



「失礼します」



二宮です…と頭を下げると、ガタンと椅子を引く音がした。相手も立ち上がったようだ。


ふふ。こういうところ。

SATOさんのイメージ通りよね。


足元から徐々に視線を上げていく。



磨かれた靴


質の良さそうなパンツ


清潔感のあるシャツ


ジャケットから出るキレイな手



そして…



口を開け、驚いたようにオレを見つめる

さすらいのポストマン(仮)の姿がそこにあった。






つづく



miu