つづきです( ・∇・)
ふふ。
んふふふ。
通り過ぎる人がおれの顔を不思議そうにチラリと見るのは、盛大ににやついているからだろう。
だって嬉しいんだから仕方がない。
まっさんとニノに会ったんだよ?
あの、ふたりの目だけで会話してる感じとか…
ラジオの雰囲気そのままで、番組のファンとしてはかなり興奮した。
…それでいて、まっさんが居なくなったら急に挙動不審になって人見知り発動しちゃうとか。ニノって可愛い。いや、可愛いとか失礼かな。でも他にピッタリの形容詞が見つからない。
大好きなラジオパーソナリティが、コンビニで会った鳥五目の君だったことにも驚いた。
あれ以来、ずっと彼のことが頭から離れなくて…
直近に描いたイラストは、実は彼がモデルだったりするのはナイショ。かなりデフォルメしているから誰も気づかないと思うけど。
ふふ。んふふふ。
まるで背中に羽根が生えたように、足取りは軽い。あっという間に家につき、玄関のドアを開けた。
「おかえり」
「…翔ちゃん」
待ってたの?と聞くと、仕事に関しては俺が把握する義務があるだろうって。
今回はおれが好きでやることだから、仕事じゃないって言ったら驚いた顔をした。
「え、仕事じゃないって…
ノーギャラ?ちょっと契約書見せてよ。まさか、口約束で引き受けた訳じゃ」
「いや、嬉しくてさ。ずっと話してたら時間切れで…」
呆れたようにおれを見る翔ちゃん。
でも、今回のことはおれのやりたい様にやらせて欲しいんだ。
おれが黙っていると「逆に良かったのかもしれないな」と、根負けしたように深くため息をつき、すっと指を目の前に立てた。
「一つ、契約書にサインする前に、俺に写真を送ること。
二つ、俺にその契約書のチェックをさせること。
三つ、他の仕事を優先すること。
ノーギャラでも良いけど、それだけは譲れない。著作権とか使用権とかあるんだから。
…まぁ、向こうも素人じゃないから、用意すると思うけどね。その辺を擦り合わせるための打ち合わせだったんじゃないの?」
「う…」
こうなるともう、おれには何も言えなくて。
うんうんと頷きながら、仁王立ちしている翔ちゃんの横をすり抜けた。
つづく
miu