つづきです( ・∇・)








「…使っていいの?」


「もちろん」



とりあえずニノにシャワーを勧め

その間に朝食の準備をする。

…っていっても、トーストと目玉焼きを焼いて、コーヒーを用意するくらいだけど。

フライパンをシンクに置くと、足元でキュンと恨めしそうな声がした。



「ごめんごめん。おまえも腹減ったよな」



いつもの定位置でじっと待っていた大福。

エサをやると、しっぽをぶんぶん振りながら皿に顔を突っ込んで食べ始めた。


あとは。


クローゼットからクリーニング済みのワイシャツを取り出すと、ニノのスーツの隣にかけた。

身長とか同じくらいだから、きっと大丈夫だよな。

シャワーから出てきたニノにそう声をかけると、すいませんって頭を下げた。



「じゃあ…シャツお借りします」


「別にあげるのに」


「そんなわけには。ちゃんとクリーニングして返すから」


「まぁ、良いから食べよう?」



おれが先に椅子に腰掛けると、ニノは恐縮しながらも向かい合わせに座った。




今日はいつもより早めの散歩。

書き溜めてあった番組宛のハガキを持って、ニノと大福と一緒に家を出た。

ここからラジオ局までは、歩いて20分くらい。


ふたりの間に大福を挟んで

ずっと…話していたのだけれど


時々、会話が途切れるのは

ニノの横顔がとてもキレイだから。



「大野さん?」



「あ、えっと…なんだっけ」


「アナタ歩きながら寝るよね」



口元に手を当てて

くすくすと笑うニノ。



……本当は、昨夜あんまり眠れなかった。


同じベッドで気持ちよさそうに眠るニノを見て



髪に触れたいとか


細い身体を抱きしめたいとか


その花びらのような唇に

キス…したい、とか



男だって分かっているのに

そんな気持ちが湧き上がるのって…


やっぱりこれは友情的な"何か"じゃなくて

恋愛的な"何か"なのかな なんて。


今だって、ほら。


次に会う約束をどう取り付けようか

そんなことばかり考えている。



「じゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


「ワン!」



信号が青になり

横断歩道を走るニノの背中を見つめていた。






つづく




miu