つづきです( ・∇・)
一週間ぶり?
相変わらずのマイペース更新で失礼します笑笑







これは…


相葉さんの手にあったスケッチブックに手を伸ばし、パラパラとめくっていく。何枚も何枚も描かれたオレの顔は、どれも笑っていて…

とても幸せだった、あの頃のオレがそこに居た。


最初の絵を見た時に
既に確信してはいたけれど

十数枚…紙をめくったオレの目に飛び込んできたのは、ふたりで意見を出し合って作ったステッカーの原案のイラストだった。


「かず、ちょっと待ってて?」


相葉さんがドアを開け、手招きして
誰かを呼び込む動作をしている。

……どうして。

何で、アナタが。


「ニノ」


変わらない、大野さんの優しい声に
一瞬…嬉しさが込み上げた。

でもすぐに、後悔と罪悪感がそれを打ち消す。

大野さんの幸せを願い、全てを捨ててまで
アナタのもとを去ったというのに

結局、オレは大切な人に迷惑をかけてしまったのか。

…もう、自分の存在自体が厭わしくて
小さく背中を丸めた。


「少し…痩せたね」

「………」

「翔ちゃんのことは…本当にごめん。
おれのせいで、ニノから大切な場所を奪ってしまった。家族や仕事や…友人までも。
今更謝っても、どうにも出来ることじゃないよな。許して欲しいなんて言えないけど…
でも、おれはニノと一緒にいたい。
ニノとふたりで、幸せになりたいんだ」

「………」

「…ね。ニノは?
もしかして、もうおれのこと…好きじゃ…」

「………」


…ここでオレが頷けば
大野さんは納得して帰ってくれるかな?

アナタのことなんてもう忘れたから
違う誰かと幸せになって、と。


張り裂けそうな胸の痛みを堪えながら、うん と首を縦に振った。


「……かず。嘘はダメだよ。
ふたりの間に何があったのかは知らないし、オレが口を出すことじゃ無いと思う。
でも、この人はかずのためにここに来た。
だったら、本当の気持ちを伝えるべきじゃない?」


相葉さんは、諭すようにそう言った。

本当の気持ち…?


……そんなの、決まってる。

オレの大好きな人たちが
ずっと笑顔でいられますように

ただ、それだけなんだよ。


オレは深く息を吐き
自分自身に言い聞かせるように、言葉を紡いだ。


「一緒に居るとね、大野さんに迷惑がかかる。
ダメなんだ。好きだから…ダメなんだよ」


元カレとの動画の件も…
包み隠さず、全てを話した。


「櫻井さんが、オレと大野さんを引き離そうとしたのには理由があるんだ。だからね…」


それまで黙って聞いていた大野さんが眉間にシワを寄せ、ボソッと口を開いた。


「…だから?
それでおれの仕事に支障が出るなら、その程度の実力しかなかったってこと。それだけだよ。
それとも何?
ニノはおれのこと…信じてなかったの?」

「違っ…!!」


咄嗟に顔を上げた。

そんな訳ないじゃない。
大野さんの才能は、唯一無二のもの。

信じてなかったのは、オレ自身だったのかもしれない。

あの人より…

…櫻井さんよりも深くアナタを愛している自信が無かったんだよ。

大野さんは、オレの手を取り抱き寄せた。
ふわりと香る懐かしい匂いに、目の奥が熱くなる。


「おれは何があっても負けないし、揺るがない。
これからも自分の描きたいものを描くし、自分の足で歩いていく。
だからさ、見ててよ。おれの隣で。
これからもずっと…」

「…っ、うぅ…」


溢れ出る涙がシャツを濡らすのに
大野さんは構わず…オレを抱きしめていた。







つづく



miu