アニメ全26話+映画版、観ました。
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主に金沢の老舗旅館を舞台に、主人公「緒花」を中心とした人々の話。
観終わってまず一番に感じたのが、この作品の存在意義に対しての疑問。これをアニメでやる必要はどこにあったのだろう?

繰り広げられるドラマは間違いなくアニメーションなのだが、視覚の温度としては昼下がりのメロドラに向くそれに終始していた。破天荒までいかないストーリーの起伏やデフォルメ化を極めて抑えられたキャラクター達の絵が、良い意味でのアニメらしさを殺していたように思う。

さて、まずアニメシリーズについて。
全体的に気持ちの良い空気感と、温もりを抱えたキャラクター達。好きな感じ。
「緒花」の可愛いさは好感度が高くも、ちょいと設定にインパクトに欠けていたのでは?ストーリーを観続けたいと思った推進力は彼女にあったはずだったが、終わってみればどんな子だったか微妙。弱点らしい弱点が特に無かったからだよねー。境遇にこそドラマティックはあったものの、パーソナルな部分は割と普通だったことが残念だったなあ。「緒花」以外のキャラの方がよっぽど濃かった。
作画や演出もどうかなー。現存する金沢という土地を味わえるものでは無かった感の方が強い。もっと金沢にいっぱい魅力はあったんじゃないか?方言や名物料理という分かり易いネタとか。やたら不便な1両電車の登場シーンが多く、そんなのは田舎の魅力では無い。美しい筈の自然風景も特筆するほどには感じられず、動物も半置き物的な青鷺くらいしか登場しない。なんかこの制作チームは、田舎が好きではないような気がしてならなかった。

映画では、まさかの母親が主人公的なポジに。
「緒花」「母親」「婆さん」という三世代の女性それぞれの人生を省みるオムニバスシャッフルのような作りであったが、「緒花」はアニメシリーズで評したようにキャラが弱い上に、人生を醸すには時間が薄過ぎた。一方「婆さん」はキャラに筋が通り過ぎており、旅館=「婆さん」という絶対領域化していたし。こうなるともう人間臭さという点で「母親」の濃さが浮き彫りになり、その人生こそ最もドラマティックになるのは自明の理。
恐らく制作の意図とは異なる結果になったであろうこの現象には、違和感を通り越して嫌悪感すら。こんなの全然観たいものでは無かったよ。せっかく完結したテレビシリーズの良ささえ潰し兼ねない駄作だったと思う。

ちゅーこって。
テレビシリーズは75点。映画は40点かな。