今だからこそDSのADVブームを振り返ろう。 1011角館の殺人 | アドベンチャーゲーム研究処

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【1011角館の殺人】

今だからこそDS向けADVブームを振り返ろう。

 11月29日に『レイトン教授VS逆転裁判』が発売を迎え、来年春には『レイトン教授と超文明Aの遺産』、来年中には『逆転裁判5』も投入予定にして、いまいちDSほど盛り上がってこない、3DSのADV市場。なぜなのか?というのをDSのADVブームを振り返りながら検証していく…というとても回りくどい話題。

↓DSではそもそも土壌があった。

 DSのADVというと、どうも『逆転裁判』銘柄で躍進したイメージがある。実際、牽引役だったのは数字や影響力からみて間違いないのだが、ロンチタイトルの『研修医 天堂独太』(7.7万本)や、『アナザーコード 2つの記憶』(10.5万本)、『THE鑑識官』(4.5万本)など、実は『逆転裁判』のDS上陸前よりスマッシュヒット水準の作品はいくつか出ており、ADVの売れる土壌自体は発売時からあったりした。
 これは、前世代のGBAで『逆転裁判1~3』が発売され、当時冷え込んでいたミステリADVでは異例の大ヒットを収め種を撒けていた点、DS以前の任天堂の携帯ハードではADVが一般的ではなかったものの、このジャンルの携帯機との相性の良さが潜在的な需要としてもともとあった点(例えばワンダースワンでは「ノベルシアター」を筆頭に版権付きのADVが盛況だった実績がある)がうまい具合に結びつき表面化したと言えなくもない。

 それに比べると3DSは、需要の掘り返されたDS末期の流れを受けてそもそもオリジナルADVの投入数が少なく、発売して1年半以上が経過した今でもロンチタイトルの『レイトン教授と奇跡の仮面』が目玉の独占作品…という状態。周知の通り3DSのADVは、PSVitaとのマルチタイトル込みで商業的にも振るっておらず、ADV市場を再活性化させるには、やはり有名タイトルによるテコ入れが必須と言えるだろう。しかし、ロンチで発売された『レイトン教授』にしても、『4』で一旦頭打ちしてしまった『逆転裁判』にしても、単体でDS時代の「それ」に期待するのは、はっきりいって厳しい。こういった状況を念頭に入れれば、話題性という意味で、かけて2倍とは言わないが『レイトン教授VS逆転裁判』はブランドの促進剤として有効な一手(作品として悪魔的な発想云々はもう何度も言っているので割愛するが)と言ってと良いのかもしれない。

レイトン教授と奇跡の仮面(特典なし)レイトン教授VS逆転裁判
『レイトン教授と奇跡の仮面』のセールスは、2011年末時点で累計36.2万本。今はもうちょっと伸びているはずだが、最近再び値崩れ傾向になっているので大きな上積みはできていまい。震災や本体価格など苦境が重なったとはいえ、かつてのミリオンセラーで世界№1アドベンチャー(出展:VGChartz)を自称したシリーズでもこの体たらくなのだから、3DSのADVが苦境なのも頷けるだろう。

↓DS向けADVブームとは、つまり「バブル」だった説。

 内容面でDSのADVを振り返ると、やはり『逆転裁判』を如何に噛み砕くか…というのがひとつのテーマにしていたと思うし、ことミステリADVは『逆転裁判』的な要素のない作品のほうが少なかった印象(まあ、『逆転裁判』自体がクラシックなADVのスタイルだったので当然っちゃ当然の話)なのだが、結局『逆転裁判』を超える…とまでは言わないが横に並べて語れる、少なくとも話題面でそもまで持って行けているレベルのタイトルは2010年末にPSPで発売された『ダンガンロンパ』まで見当たらず、多かったのは数ばかりと思ってしまわなくもない。

 特に『逆転裁判4』を中心に『2』『3』がDSへ移植され、『レイトン教授』『ウィッシュルーム』『DS西村京太郎サスペンス』など大ヒット作が続出、市場的に最も盛り上がった07年頃は、需要の高まりを受けたADVが大量に投入されることとなったわけだが…ここがDSでは一番不味かった。
 というのもこの時期は、具体的な名前は挙げないが古い作品のベタ移植や4~5時間で終わってしまうような新作が数万本捌けて(と同時に壮絶な値崩れを起こして)しまうケースが散見され、内容よりもリリースが優先されるような状況が続いたのだから、やはり商業的にも内容的にも「バブル」だったのだろう。そして「バブル」は弾ける必然を抱えているように、こののちネームバリューのあるもの以外は総崩れを起こしてしまい、この頃(07~08年中盤)に出た新規作で今も家庭用で続いている作品は『レイトン教授』と『THE密室からの脱出』くらいしか見当たらない(『おさわり探偵 小沢里奈』は意外な形で生き残ったが)のだから、なかなかに壮絶だ。と今更ながら回顧できる。

タイムホロウ 奪われた過去を求めてルクス・ペイン(特典無し)
DSバブルで真っ先に挙がる例のアレと言えば、やっぱりこれ。特に河野純子氏が手がけた『Shadow of Memories』(MGS2の体験版がついていたアレ)『タイムホロウ』『ザックとオンブラ』の3枚はワゴンの三連星で、現役で安売りされているのを見かける。

↓後期のDSは『逆転裁判』コピーも円熟期に。

 ADVブームが下火へ向かう2009年代くらいからは、『采配のゆくえ』『名探偵コナン&金田一少年の事件簿』『有罪×無罪』など、『逆転裁判』を意識しながら作品としてクオリティのまとまったADVがそこそこ投入されたが、オリジナル作品はどれも全盛期ほどのヒット規模にはならなかった。まあ、それでも版権ゲームの『名探偵コナン&金田一少年の事件簿』はスマッシュヒットし、『ダンガンロンパ』に繋がったので影響がなかったわけではないが。原因は先の粗製氾濫や、iOSを筆頭としたDL市場の台頭、DS市場の衰退(どうも女性ユーザーが中心だったDSのADV市場にとって、これが一番の痛手だったのでは。と、セールス傾向を見ていると思わなくもない。)から急速に先細ってしまたことで、このADVブームの流れも他ならぬ『逆転裁判』の巧舟氏が手がけた『ゴーストトリック』辺りで打ち止めに。

 その後は3DSに至るまで露骨な『レイトン教授』コピーに取って代わられているが、元ネタ自体が「ADV」というフォーマットとしてではなく「脳トレの発展系」として受けていたこともあり、後追いというだけでは価値がなかったらしく、商業的には脳トレをリズムゲームに置き換えプロモーションにも力を入れていた『リズム怪盗R』くらいしか成功と言える水準にまでは達していない。(質については言わせないでください。)

ザックとオンブラ まぼろしの遊園地TREASURE REPORT 機械仕掛けの遺産ドクターロートレックと忘却の騎士団
どれも「近世が舞台のファンタジー」「パズルを挟む」「芸能人を声優に起用」という三種の神器をフルコンプリートしているのは、歴史・ミステリーですね。うーん、世界ふしぎ発見。もれなく全てが値崩れしているのは壮観。

 ちなみにDSの中~後期と言えば、脱出ゲームがFlash・ケータイアプリ界でブームになったことを受け、その要素を取り入れた作品もそこそこの数が発売されたのだが、どんなに低くても3000円程度が相場の家庭用市場では「脱出ゲーム」オンリーのソフトは商品価値があまり認められず、特化したものはDLソフト化に流れ、フルプライスは「脱出パート」をゲーム性にしたアドベンチャーゲーム(『極限脱出 9時間9人9の扉』『密室のサクリファイス』『theresia』など)という形でリッチ化が図られて行くことになる。

 このため現行の市場では、このジャンルの代名詞と化している『THE密室からの脱出』や、その開発元のインテンスによるその延長線上の作品(どちらもDLソフト込み)を除けば、起用されても「メインシステム」ではなく劇中の「エッセンス」的なモノとして配置した作品が支配的で、純粋に「脱出ゲーム」を売りにしたパッケージソフトは減少していおり、相変わらず無料~数百円でプレイできるFlash媒体主導な状況を見るに今後上向く見込みも薄いだろう。

探偵 神宮寺三郎 復讐の輪舞
神宮寺のサブちゃんも最新作では脱出パートなるものが登場。手数制限を設け、ゲームオーバー時にヒントをもらう(つまり死に覚え)という形で、斬新かつハードボイルドな脱出が堪能できる。いや、そもそもこのソフトで問題とすべきは、そこではない。

↓『レイトン教授VS』『逆転裁判5』で3DSのADVは増えるのか?

 少し脱線してしまったが、このような流れもあって3DSでは『逆転裁判』系に分類されるようなミステリADVはほぼ出ておらず、近年の縮小傾向な家庭用ゲームの事情や、コンパクトな方向性のADV作品がすっかりiOSやAndroido市場へ取り込まれたこともあって、その手の企画が通り難い状況に陥っているのは容易に想像できるだろう。
 もちろん『逆転裁判』『レイトン教授』の新作に合わせ、いくつかソフトは出てくるかと思うが、2シリーズともに女性層に強いものの3DSは女性ユーザーが取り込み不足な点、かつてほど勢いはない点から鑑みれば、やはりDS時代ほどの牽引役に期待しすぎるのも、冒頭で触れたとおり少し荷が重いと言わざるを得ない。

 ということで、3DSでミステリー系のゲームが出てくる可能性はモチロンあるはずだが、それでも数が絞られてしまうことは請け合いだろう。ここは数字の計算できるシリーズものに期待したいのだが、ADVブーム時に発売された『逆転裁判』フォロアーは恩恵を受けたものを含めほぼ絶滅してしまった上に、『極限脱出ADV 善人シボウデス』『探偵 神宮寺三郎』などのシリーズ作が『逆転裁判』以前に出てしまったのは惜しい。特に『極限脱出ADV 善人シボウデス』は、内容的に時期さえ間違わなければもう少し評価されても良かったような気がするので、(恐らく出ると信じたい次回作のためにも)ベターなタイミングで廉価版を出して欲しいところだ。

 まあどちらにしても、3DSには脳トレ層(=高齢女性ユーザー)が不在なので『DS西村京太郎サスペンス』のようなタイプのヒット作は望めないかと思われ、自動的にDSよりもコア(ただし任天堂市場が歴史的・客層的にノベルゲームが土着しにくいので、そちら方向にはならないかと思われる)寄り、ハード性能の向上に合わせリッチ寄りな嗜好性になるはずなので、内容的にDSブームの再来みたいなことにはならない。はず。と思いたい。

極限脱出ADV 善人シボウデス
もうすぐ海外で発売。初代はDSのADVブームがひと段落ついたところでのリリースで「遅すぎた」感があったわけですが、こちらは市場が立ち上がる前だったため「早すぎた」感は否めず。同じく3DSで発売された『探偵 神宮寺三郎 復讐の輪舞』にしても『タイムトラベラーズ』にしてもそうですが、もう少し後で発売したほうが商業的には良かったのではと。まあこっち2つは、それ以前に作り込み不足というのがアレですが。




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「えー、この説明文や日常会話、長くて読んでられないですよねー。
 ちょっとスキップしちゃいましょう。カタタタタタタタタタタタタタタタタッ(16連射)」
というところまで想像できました。適材適所でしょう。


※全盛期の高橋名人と毛利名人を収めた有名な映像。

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【コメント】
久しぶりに『レイトン教授と最後の時間旅行』をプレイしたら、
前のデータでペットのオウムに「ヒノサン」と名前をつけていて困惑。



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