パワハラ失業からの這い上がり | パワハラ上司に宣戦布告したサラリーマンの実録日誌

パワハラ上司に宣戦布告したサラリーマンの実録日誌

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パワハラで私を退職に追い込んだ元上司からの電話。
それは、私の再就職のために協力するという予想外の内容だった。

彼は一言も謝罪の言葉は口にしなかったが、おそらくは私に対して申し訳ないという気持ちが少しでもあったのであろう。

それに、自分自身も私の後を追うようにして、社長からの冷たい仕打ちにあって退職することになったのだから、私のつらさを身をもって感じたせいもあっただろう。

私は前社のパワハラで心はズタズタに切り裂かれ、激しいフラッシュバックを伴うPTSDで苦しんでいた。
また、失業による経済的苦境は私を不安のどん底に突き落とした。

だが、私にはゆっくり静養するなどという余裕はなかった。
追い立てられるようにして、次の仕事探しに奔走せざるを得なかった。

そしてある日、ハローワークから突然電話があった。
それは、以前出した退職理由の訂正を求める異議申立書の結果を伝える内容だった。

職員は事務的だがやや申し訳なさそうな雰囲気でこう言った。

「相手の会社を呼び出して話を聞いたのですが、自己都合退職とのことで変わりはありませんでした。」

私はまた抗議したい気持ちになったが、また、前のように何時間も抗議しても、彼らの対応は変わらないだろうと思ったので、わかりましたとだけ答えて電話を切った。

退職理由について会社が嘘をついた場合、失業保険の支給総額ががくんと下がることがある。
でも、労働者はそういう時に、どうしようもなく無力な存在だ。

会社がクロと言えばクロ、シロと言えばシロで、文句があるなら訴訟でも起こしてみろ、というのが現状の制度が労働者に強いている現状である。
それを痛感した今回の出来事であった。

さて、私は、ハローワークの求人を検索すると共に、自分でも転職エージェントに登録して職探しを続けていた。
そしてあるエージェントのオフィスに面談に行ったときのことであった。

「安達さんが前勤めていたのは何と言う会社ですか?」

「あ、はい、Tという会社です。」

「えっ?Tですか?
去年、2人位、その会社を辞めた人に会いましたよ。」

私はとても驚いた。
わずか10人ちょっとの小さな会社なのに、こんな片隅の転職エージェントに2人も退職者が訪れているとは…

在籍時に、先輩社員が言っていたことを思い出した。
少し前に古参の社員が社長に冷たい仕打ちを受けて、キレた状態になって退職していったのを見たと。

このパワハラ会社、私だけではなく、相当に多くの被害者を出してきた極悪な会社だな。
私はそう改めて思った。

私は2か月かけて、ある外資系の会社の3次面接にたどりついた。
その面接は何とか通過したが、最後の難関が待っていた。

「前と前々の会社の上司の連絡先を教えてください。
レファレンスチェックを行いますから。」

そう言われた私は、前の会社のパワハラ上司の顔を思い出した。
彼は私に協力すると言っていたが、本当にポジティブな発言をしてくれるだろうか。

私はとても不安に駆られたが、勇気を出して、パワハラ元上司に電話をした。

「レファレンスチェックをお願いしたいのですが…」

「ああ、いいよ。
良かったね、いい会社が見つかって。

どうなったか、心配してたんだよ。」

元上司の言葉に私は安堵した。
彼が協力してくれなかったら、私はレファレンスチェックで落とされていたに違いない。

私がこのパワハラ元上司を許す気持ちになったのは、まさしく、この協力のおかげであった。
彼がレファレンスチェックで私のことをどう伝えたかは知る由もないが、とにかくそれは無事に通過したのだった。

だが、今に至るまで、あのパワハラ社長への恨みは消えていない。
あの卑劣な行為は、人間としては最低の裏切り行為であった。

こうして私は、3か月の失業期間を耐えて、ついに新しい職場への転職を勝ち取った。

前の会社の社長は、「お前はここを辞めたら転落人生しかないな」と私に呪いの言葉を吐いた。
だが、驚くことに新しい会社の年俸は、前の会社よりも上であった。

それは私の生涯最高の給与額でもあった。
私はその社長の呪いの言葉を3か月かけて、ついに頭の中から追い払ったのであった。

それは、まさしく奇跡的な転職成功であったと言っても過言ではなかった。

だが、現実はそれほど甘くはなかった。
高い給与は、イコール天国ではなかった。

この新しい外資系企業の職場で、私はまた新たなパワハラ上司にめぐり合うのであった。
それは新たな地獄の始まりであった。

3社連続の凄まじいパワハラは、こうして最終章の幕を開けた。