「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



こんにちはクマ


訪問ありがとうございます。




ブログでは、趣味の小説を公開したり、写真や手作り品を発表したり、家族であるハムスターの様子を紹介したりしています。


コメント欄はありますが、私へのお手紙と捉えているので、記事への公開はしていません。

なので、周りを気にせず、気楽に書いていってくださいませ(*^ω^*)




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ベル<おしらせ>


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お久しぶりです。 


お元気ですか。


今日は、バレンタインデーですね。


突然ですが、野いちごでまたお話を書き始めました。


久しぶりなので楽しんでいます。最後まで書きたいので、〆切のあるコンテストにも挑戦しています。


よろしければ読んでみてください。



平日は仕事から帰ってきた後に更新しています☺️




 「設定④御曹子たちの溺愛シンデレラ」


 http://www.no-ichigo.jp/read/book/book_id/1689971







第1話はこちら↓




「2人とも…」
サトシは生きている。それがわかっているのに、いくら探しても居場所が分からない。このまま規定時間を過ぎたらゲームオーバーだ。サトシから離れたのは私。私のせいだ。
「サトシを死なせるわけにはいかない。私のトキメカシを助ける方法はないの?」

「…あるよ」


「教えて、カズナ。私にできることは何でもする」
「ペアでクリアできなくても、生き残る方法は…俺みたいに、なんらかの事情で片方だけになってしまえば、死なずに再挑戦ができる。こうして復活できた俺が証明する」
サトシがどこかで生きているなら、規定時間になる前に私がカズナと一緒に戻れば、サトシは死なずに助かるってこと?
「ネズミがいなくなっても、お前のトキメカシは新しいパートナーを見つけて、すぐに戻ってくるさ」





つづく









第1話はこちら↓




私はわからないと首を振る。
「じゃ、教えてあげる」
カズナは困惑する私の視線を捉え、私の呼吸に合わせて話し始めた。
「ネズミと一緒に元に戻りたいからだよ。だから、トキメカシに戻った」
「私と…一緒に…そんなことでき…」
途中まで言ってハッとした。カズナと一緒に元に戻る方法は…ある。
「方法があるのは知ってる。なぜなら、俺と一緒に来たトキメクは、その方法で元に戻っていったから」
つまり、カズナのペアであったトキメクは、新しいトキメカシに変更して、その人と一緒に元に戻ったということだ。自分の携帯の画面を見た。右下の数字は減り続けている。



「ネズミのトキメカシは見つかってない。このままだとネズミも、探しているトキメカシも、揃って死ぬ」





つづく






第1話はこちら↓




「何が…あったの?」

「…理由を答えたら、さっき俺の言ったことをちゃんと考えてくれる?」

「さっきの話って…」


「俺がネズミのそばにいるって話」


私は数分前の出来事を思い出して、ボッと体が熱くなるのを感じた。私がカズナの言動に反応するたび、携帯が激しく振動する。

「そ、そばにって…今もいるじゃない」

「俺が言っているのは、そういう意味じゃない。ネズミの心に深く入りたいって意味だよ」

カズナは立ち上がり、ゆっくり私の前まで歩み寄ってくる。そして脚絆から携帯を取り出すと、私に画面を見せた。

切ったと言っていた電源が入っている。

「トキメカシを辞めた俺が、こうしてまたトキメカシに戻った。何故だかわかる?」






つづく






第1話はこちら↓




「そうか。電源を入れたら、隠しておくことはできないんだな。だったら、話すしかないよな。…ああ、そうだ。俺は、トキメカシだった」

カズナの告白を聞いて驚き、声が震える。

「『だった』って…昔はトキメカシだったってこと?」

カズナは、ちょっと笑って頷いた。

「ああ、俺もゲームでここに来たときは、トキメカシだった」

「なんで、言ってくれなかったの?」

「ネズミと会ったころは、トキメカシを辞めていたから」

囲炉裏の炭火を突きながら言うカズナの頬が、ボウッと再び勢いを増した炎に照らされ、赤く染まっている。



「辞めていたって…」

私は、自分の携帯をギュッと握りしめた。

「辞めていたって言えば、自分の意思で辞めたように聞こえるだろうが、そうじゃない。俺は、ゲームに参加できなくなっていた。だから、このままここにいるしかないと思って、電源を切っていたんだ」






つづく








第1話はこちら↓

『短編 1.弟みたいなキミにときめくなんてありえない』【ファーストステージ】あと数分で私の誕生日。私は、12時ちょうどに送るスタンプを選んでいた。「うーん、サトシにはこれでいいか」携帯の中で、ネコが鯛を釣り上げて…リンクameblo.jp





すると、私の胸の高鳴りと共鳴するように、携帯がブルブル震えた。


サトシが呼んでる!


とっさにそう思った私は、カズナの腕を払って立ち上がると、ポケットから携帯を取り出した。



画面の文字を目で追った後、信じられないという気持ちでカズナを見る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


トキメクはトキメカシに遭遇した


    新しいトキメカシに 

 ▶︎変更する     変更しない


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


新しいトキメカシって…。

周りを見てもカズナしかいない。どんなに考えてもカズナしかいない。でも、私がゲームの話をしたときは、何も言わなかった。どうして黙っていたの?

「カズナは、トキメカシ…なの?」

確かめるようにカズナに尋ねた。

「ゲームのこと、知ってたの?」

カズナは一瞬キュッと眉根を寄せたが、すぐにいつもの表情に戻ってフーッと息を吐いた。






つづく








第1話はこちら↓





悲しくなって涙が溢れてくる。いきなりこんなところに来て、もう二度と戻れないなんて。
「戻りたい…」
不安と絶望感に襲われて、溢れる涙を抑えきれず、両手で顔を覆って泣いた。

「どうにもならないのか?」

私は、両手で顔を覆ったまま首を振る。

「…わからない。私だけじゃ…もう…」

森を吹き抜ける強い風が、すだれをカタカタ揺らしていた。カズナは立ち上がり、細く開いた窓をバタンと閉める。私は顔を両手で覆ったまま、絶望感に押しつぶされそうになっていた。長い沈黙を破り、囲炉裏の焚き火がバチンと大きく弾けたその時、


「俺がいる」


カズナが私を抱きしめた。後ろから、なんの前触れもなく。

「俺が…ネズミのそばにいるから」


突然すぎる出来事に、私の心は大きく揺れた。カズナの優しい声と体温を近くに感じて鼓動が速くなる。






つづく








第1話はこちら↓



「ネズミ、戻ったぞ」
カズナが扉の前に立って声をかける。中から返事はない。心配になって扉を開けると、ハルはぐっすり眠っていた。カズナは静かに近寄ると、ハルの寝顔に向かって呟いた。
「悪いが、お前を利用する。俺は元に戻らなければいけないんだ。待っている人がいるから」
カズナは、マーサの宿から借りてきた布団を、ハルの体にそっと掛けた。気配を感じたハルが目を覚ます。
「ん…んー…あ、カズナ、おかえり」
「ただいま。メシ、持ってきたから、一緒に食べよう」
「うん、ありがと」
囲炉裏端に座ると、カズナが私の目を見て静かに話し始めた。



「ネズミの言ってた男だけど、これだけ探しても見つからないなら、きっともう見つからないと思う」
「……」
私は携帯の画面を見る。数字が減っている。サトシは生きている。だけど、サトシが見つからず、これが0になったら…。
「探している男が見つからなかったら、ネズミはどうなるんだ」
「…元には戻れないんだと思う」
私は病気にならずとも、ここで一生を終えるしかないんだろうか。






つづく







第1話はこちら↓




「それでさ、携帯の裏にSと書いてあったので、とりあえず"エース"と呼んでる」

「Sか…」
ネズミが言っていた男の名前と頭文字が一致していることや体の特徴などで、エースがネズミのパートナーだと断定した。
「ネズミには、このことは絶対話すな。エースはここに閉じ込めておいてくれ。記憶が無いなら好都合だ。予定通り行う」
カズナは、左足の脚絆から携帯を取り出すと電源を入れた。



「協力するよ。上手く…いくといいね」
「ありがとう、頼りにしてる」
カズナが笑ってマーサの肩をポンと叩くと、マーサはぎゅっと体を硬くした。マーサはポケットから携帯を取り出すと、電源を入れた。
「寂しくなるな…」
画面を指でなぞりながら、宿屋を出て小さくなっていくカズナの背中を、見えなくなるまで見送っていた。






つづく