美化や憧れさえ差別なの? | ジュキ、林檎でキャッチボール in New York

ジュキ、林檎でキャッチボール in New York

バツイチ、子連れでニューヨークに渡り、チェリストと再婚。ニューヨークでのバイリンガル育児と日々の日記

夜寝る前、公園で、電車の中で、暇を見つけては本を読んでいます。


かなりゆっくりペースですが、先月面白い本を借りたので、途中で挫折することなく進んでいます。


ナイジェリアの作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ氏の長編小説、「アメリカーナ」をチビリチビリ。

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これが、かなりピリ辛、笑える、面白い。


主人公は、留学を目的に渡米したナイジェリア人女性。


アフリカ人として、白人社会のアメリカでの経験、アフリカ系黒人との摩擦などを繊細な観察力と辛口なユーモアで綴ります。


アメリカの行き過ぎた上辺だけのPC(political correctness)、異文化や人種の美化や憧れの中に存在する差別…複雑過ぎて、唸ります。


主人公が、とても心優しい白人系アメリカ人とやり取りする際の会話と心の動きが印象的です。


いわゆる、「差別感のない」アフリカに興味がある白人女性。


黒人文化、黒人、アフリカ…主人公に関係すると本人が解釈する事柄や人を「素敵」「美しい」などの美化する言葉を連ねて褒めます。
"Oh look at this beautiful woman"
"I worked with this beautiful person..."

それに対して、主人公は

「単に『黒人』って言っていいのよ、別に。黒人がみんな『美しい』わけじゃあるまいし」

とピシャリと言い放ちます。

この瞬間に2人の間に友情が生まれるのですが、これは、『憧れ』や『美化』が相手を異人とくくり、uncomfortable にさせる瞬間を上手く描写してる、と思いました。

主人公は同時にアメリカ社会の肌の色を見ないようにする(color blindness)滑稽さも辛辣に批判します。

アフリカ人とアフリカ系アメリカ人の間の温度の差など、私の知らない世界も垣間見ることができ、同時に自分自身の中にもある差別感さえも浮き出るように感じ、ぐさぐさ、ドキドキ。


まだ半分しか読んでいませんが、心に残る一冊に出会った気がします。

When a book strips you naked, you know you met a (the) lover of your mind. 


Juki