めざすはwin-win:95点の遅い翻訳は要らない? | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

前回のブログでも紹介したが、JAT大阪セミナーが昨日大阪梅田で開催された。http://ameblo.jp/asca-co/entry-11159066054.html JAT(日本翻訳者協会)の方との交流はあるものの、イベントの参加は初めてだった。


第二部:まずは年収500万!~いま、エージェントとの付き合い方を考える~というテーマで。私はエージェントとして、その他、ソースクライアント、機械関係、ネイティブ、映像などさまざまな分野のフリーランス翻訳者の方と一緒に登壇し、結構緊張した。フリーランス翻訳差として生き残るために、さまざまな工夫や取り組みをされているのが興味深い。

JATメンバーはフリーランス翻訳者なのでエージェントはある意味敵対する?フリーランス翻訳者が納得できるレートで安定した収入を確保するにはソースクライアントと直接取引することが重要なので、料金が低めに設定されるエージェントとの仕事はしたくない気持ちもわかる。
ところが参加者は意外にエージェントとの仕事をしている人が多く、少なくともリーマンショックの後はエージェントとの付き合いが重要になってきた、という声が印象的だ。
私がエージェントだからではないが、これからプロとして仕事を続けるならエージェントとの付き合いは避けて通ることはできず、いかにいまく付き合うか、だと主張する。
多くの翻訳者と接する中で、優秀な翻訳者が営業的な仕事が得意でない場合も多い。見積もり調整や、納期折衝など、私が翻訳者ならあまりそうした仕事はしたくない。マネージャーが雇えるだけの収入が見込めるなら別だが、その費用はエージェントに託すほうがリスクヘッジにおいても賢明だと思う。
エージェントは翻訳が仕事なので、優秀な翻訳者をいかにうまく発掘し、育成し、仕事を与え、お互いが成長しあうのがミッションだ。翻訳者にいかにいい仕事を効率的に進めてもらうのか、そればかりを考えていることだろう。また、どんな仕事がこれから増えて、市場がどこに向かうか、こんなこともエージェントは知っている。フィードバックをどうもらうのか、いかに料金交渉をするのか、ソーシャルメディアをどう使うのか、など質問が飛び変わった。

プロである以上、スピードと量を意識してほしい、といつも私は訴える。85点の早い翻訳と、95点の遅い翻訳はどちらが好ましいか、という問に対して、「95点でも遅ければいらない」と本音で応えてしまった。
完成度が不要というわけでなく、早さに付加価値があること言いたかった。


このセミナーでは熱い質問が飛び交い、終わったあとの交流会でも議論が続いた。いかにプロとしていい仕事をして生き残るのか、必死さが伝わってくる。
私たちも気を引き締めてエージェントとしての価値を高めたい。


今日は高松でセミナーが開かれ、18日には東京渋谷で井口さんのセミナーも開催される。皆さんボランティアなのに、熱い取り組みに頭が下がる。
翻訳者、翻訳業界、皆で市場の活性に取り組みたい。