情報を列挙するためのコンマ、セミコロン、コロン | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

コンマ、セミコロン、コロンの使い方は難しい。今回のASCA Bulletin 12号ASCA掲示板で英文で情報を列挙するためのそれぞれの効果的な使い方を紹介している。

日本語だと、ピリオドかコンマ、たまにコロンくらいしか使わないが、英語は分を区切る強さによって使い分ける必要がある。


米国医師会(AMA)の「AMA Manual of Style」によれば、強さの順に、

ピリオド(.)>コロン(:)>セミコロン(;)>コンマ(,) 、つまり、

「年齢範囲:35歳~80歳」を
×「range: 35-80 years」としてはいけなくて
○「range, 35-80 years」とするのが正解。


他にもよく間違えるのが、
「ハザード比:1.90、95%CI:-0.1~0.9、P=0.006」は、
×「hazard ratio: 1.90、95%CI:-0.1 to 0.9、P=0.006」でなくて、
○「hazard ratio, 1.90; 95%CI, -0.1 to 0.9; P=0.006」とする。


詳しくはBulletin 12号9頁を読んでほしい。


上記は日本語を英語にする場合であるが、英語から日本語にする場合も厄介だ。コロンはともかくセミコロンは日本語で使わないので、文章をつなぐ場合、順接か逆説か、など前後の意味で「しかし」とか「だから」などと日本語に加えるものだと思っていた。


ところが昔ある有名な医学書を日本語に翻訳する際、コロン、セミコロンもそのまま残すべき、と監修の先生に厳しく言われた。著者の真意もわからないのに勝手に訳してはならない、と。最初は抵抗したが、医師が読むものであれば読者である医師が判断すればいいわけか、と妙に納得した。

もちろん多くのクライアントがそう思っているわけではないが。

言葉は文化である。


つい日本語の感覚で英語を書いてしまうかもしれないし、その逆もしかり。
面白いが、難しい。