敗戦に揺れる学会「鉄の結束」
2009年11月9日 AERA
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20091109-01-0101.html

自公10年間で公明党の独自色は失われ、学会員の公明離れが進んだ。
「学会員だから公明に入れてくれるという時代はもう終わったんです」(公明党国会議員)
 都内在住の50代学会員は今回、共産党に入れた。共産党と言えば学会の宿敵のはずだが、それでも今の公明党に入れるよりはマシに思えた。
「せっかく連立を組んでいたのに、自民党の暴走を止められなかった責任は大きい」
 とりわけ、生活保護世帯への母子加算廃止を、公明党が推し進めたことには失望した。弱者救済こそが、公明党の売りなのではなかったのか。


学会員のパワー減退

 宗教学者の島田裕巳さんは学会の活動力そのものが、そもそも低下傾向にあるのではないかという見方を示す。
「生まれた時から信仰を得ている二世会員が増えたことで、非会員を説得して引き込む力が失われていったのではないか」
 サラリーマン、共働きが増え、活動に割く時間そのものが減っていった。池田名誉会長が高齢のためか、表にあまり出てこなくなった。
「そういった要因が、会員のパワーを下げている」(島田さん)
 学会には低所得者らをターゲットに教勢を伸ばした時期があった。長引く不況ゆえ、生活困窮者に学会が手を差し伸べる下地は眼前に広がりつつあるようにもみえるのだが、この不景気こそが、会員の活動自体を鈍らせる理由にもなっている。ある男性学会員が語る。
「昔は何部も聖教新聞を取って周りに配っていた学会員が多かったが、今はそんなことをできる余裕のある家は減った」
 かつて学会の聖地だった大石寺参詣や一大イベントの文化祭がなくなり、「信仰の勝利」を実感する場面は選挙活動くらいになった、と話す会員もいる。その選挙活動すら報われないとなれば、学会の求心力も失われかねない。
 冒頭の人事。西口氏の後任は置かれず、関西の最高参与として池田氏の長男博正氏が就任した。実力者の西口氏を棚上げし、博正氏への禅譲に道筋をつけるつもりではないか──そう見る学会関係者も中にはいる。
 だが、別の学会関係者はその見方をこう否定した。
「学会のあり方が変わり、活動方針も含めて模索しなければいけない時期。そんなときに単に二世だからという理由で博正さんに実権がわたると思っている人はいませんよ」