第149回国会 決算行政監視委員会
平成12年8月8日 第1号
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/149/0058/main.html
石井(紘)委員 民主党を代表して質問を行います。
 この前に行われました総選挙の後、あのやみのフィクサーと言われる許永中氏の関連で中尾元建設大臣が逮捕されたわけであります。次いで、七月の二十一日になりますと、この絡みで、やはり黒幕の一人とされてきた画商である福本邦雄氏も逮捕された。こうした動きというのは、東京地検の特捜部が、一連の大がかりな疑獄事件にまさに本腰を入れて捜査に取りかかっているということを示すものだと思われるわけであります。
 このブラックマネー、数十億と言われる黒い金が政界周辺に乱れ飛んだ事件の解明、この解明に当たって、東京地検は、福本氏が主宰をしておった三宝会、このいわば勉強会といったものの人脈に大変な関心を深めているというふうに思われるわけであります。
 この会の名称はお亡くなりになった竹下登氏が命名したものだと言われておりますが、この竹下氏のほかに、この会には、お亡くなりになった小渕前総理やあるいは逮捕された中尾栄一氏、あるいは山崎拓議員、鈴木宗男議員、その他多数の国会議員の名前を初めとして、政財界あるいはマスコミ界のそうそうたる方々の名が連ねられていると言われているわけであります。
 今まさに捜査当局の手によってこの真相解明の作業が進められておりますから、いずれこの真相、全貌が明らかにされるだろうというふうに思いますが、この多額の黒い金というものがまさに政界を揺さぶり、それがまた今日、現時点での政局に大きな影響を与えているわけであります。
 この事件というのは、許永中あるいは福本邦雄から始まって、石橋産業あるいは若築建設、三宝会あるいは政界、そして建設省、道路公団、あるいはまた北海道開発庁とか沖縄開発庁、こういう中央官庁に至るまでこの波風を広げているわけであります。
 そこで、我が党も、この短い国会の中でたびたびこの点での真相解明を試みてきたわけでありますが、野党の質問に対して、政府の方は一向にまじめに対応をしたとは言えないのではないか。例えば、先日も予算委員会で、我が党の生方議員の質問に対して森総理は、その人たちを信じているというようなことで答弁を逃げてしまう。まさに私たちは今、ロッキード事件のときにこうした灰色の問題に対してどういう対処をしてきたかということを思い起こさなければならないだろうと思うんですね。
 あのときに初めて灰色高官という言葉が生まれました。それは、法律的には問題が見当たらなくても、政治家としては、政治家というのは一般の方々よりは責任が重いんだから、そういう政治的、道義的な責任というものがあるんだ。そしてその基準というものをつくったんだろう、国会がまさにそういったものをつくったんだろうというふうに思うんです。
 法務大臣にお伺いしたいと思いますが、その灰色高官というもののいわば定義、あるいはそのときの灰色高官の基準といいますか、そうしたものはどんなものであったか。そのときにまさに法務省が秘密会に出ていってその灰色高官の名前を発表したわけでありますから、法務大臣に伺いたいと思います。
○保岡国務大臣 お尋ねのとおり、政府は、昭和五十一年の十一月二日、衆議院のロッキード問題調査特別委員会においていわゆる灰色高官の氏名などを説明したところでございますが、これは、衆参両院議長裁定の趣旨にのっとって各党の合意が得られたところを踏まえて、同委員会の委員長から提案された基準に従って、捜査の結果、刑事責任を問うことができないと判断された者について秘密会において行われたものだと承知しております。
 その際、同委員会の田中伊三次委員長から、「従来の委員会及び理事会の審議の経緯にかんがみ、時効で不起訴になった者、職務関係はないがトライスターの売り込み等に関して金銭を受け取った者など五名、すなわち三十ユニット関係五名をとりあえず政治的道義的責任がある者といたしたいと存じます。」との提案があったことから、これに該当する五人の国会議員の氏名を明らかにしたものと承知しております。
 議員がおっしゃるように、一般的に灰色高官の基準というものは存在しないものと考えます。
○石井(紘)委員 灰色高官の基準というものは存在しないというふうに言われましたが、平成四年十一月三十日の予算委員会、宮澤総理の答弁というものがございます。「政治的道義的というようなことを言おうとすれば、その基準をどうするかということはその目的のために決めなければならないということにならざるを得ず、」中略いたしますが、そして「結局委員会の委員長が御発言になって、こういうものについてこれを灰色と呼ぼう、そういう御決定がありまして、」云々というふうに宮澤総理が答えておりまして、この基準というものはあるのであります。
 今の法務大臣の答弁は、それは訂正してもらわなければなりませんね。いかがですか。
○保岡国務大臣 私は、国政調査の国会でのあり方をどういう範囲にするか、そういうことについては、今委員もお話しになったように、委員会で決めるということになるのが手続だと思います。
 したがって、一般的に基準というものがあらかじめあるというものではないと承知しておりますし、また灰色という名称をつける道義的、政治的責任というものについても、私は、これはいわゆるということで灰色高官、灰色政治家という定義があるものとも思いません。
○石井(紘)委員 このことで余り時間をとりたくないのですけれども、宮澤総理のその後の言葉をさらに続けますと、「そしてその後、たしか秘密会のようなところで、仮にこういうふうに言葉を決めたらどういう人がそれに該当するかということについて法務当局にお尋ねがあって、それでその秘密会で、そういう基準であればこれこれというお話になったのではなかったか」、こういうふうに答弁をしておられます。
 このときは、確かに、一般的には、今法務大臣が言われるように、そのときそのときで基準を決めるということ、そういう意味だろうと思いますが、このときはこのときの基準というものをつくった。そして、それは具体的に、例えば金銭の授受はあったけれども職務権限がなかったとか、したがって、いわゆる犯罪の構成要件をだから満たさなかったとか、あるいは犯罪の構成要件は満たしておるけれども時効にかかっておったとか、そういうことで灰色高官というものの定義をして、そしてこれこれの人たちでありますということで法務大臣が特別委員会の秘密会でもってこれを公表したんですよ。それは、法務大臣、あなたの答弁は違っていますね。
 それで――どうぞ。
○保岡国務大臣 今議員が御指摘の点は、いわゆるロッキード事件における調査特別委員会というものにおいて定めた基準のことであって、一般的な基準をそこで定めたという趣旨のものではないと思います。
○石井(紘)委員 ロッキードのときの特別委員会で問題になって、そこでその基準を定めたんだから、そのほかのところで一般的に定めるなんて、あなた、そういう詭弁を言っちゃいけませんよ。ほかのところでそんな問題はないじゃないですか。あるわけがないじゃないですか。まさに、だからそこで、国会の中では特別委員会をつくって、そしてやって基準をつくったのです。何をとんちんかんなことを言っていらっしゃるか。もう一度きちっと整理をしてもらわないと困りますね。
 これは時間をとりますから、そういう答弁があったということで今後に回しておきたいと思います。
 そして、政治家というのは、そういうふうに必ずしもぴたっと犯罪要件を構成しなくても、政治的、道義的に重い責任という立場があるわけだから、政治倫理というものをきちっとしなきゃいけないというので、そのときに政治倫理綱領というのができた。これにはこう書いてあるのです。
  政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。
  ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。
こういうふうに前文に書いて、そして五項目ありますが、簡単ですから最初だけ読んでみますと、
  われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。
こういうふうに格調高く、はっきりと書いてあるわけですね。
 ですから、さっき三宝会と言いましたけれども、今あの事件の捜査が行われておりますけれども、そういう中で明らかに何十億円というブラックマネーが政界に飛び散っているわけですから、そういう過程の中で出てきている人、こういうのを灰色高官と言わなければならないわけです。何も、法に触れていないとかいるとか、そういう問題ではないのだということです。
 官房長官はこれをどういうふうにお思いになりますか。
○中川国務大臣 政治倫理綱領は、私どもも審議に参画をして、昭和六十年に議決をされたものである、このように思います。これは、政治家の一人として当然これを尊重し、遵守していくべきものと、このように思います。
○石井(紘)委員 今、あなたの問題も出ますから。
 官房長官は、今回の事件で、私が言う、こういういわば灰色の方々を国会に呼ぶべしと言ったときに、それを信頼をしているとかなんとかで、これは総理の言葉ですが、無視するという態度は許されない、そういう、法に触れているとか触れていないとかいう問題ではないのです。政治家の責務なんですね。
 ですから今回の、今出ている人々を、ロッキード事件のときと同じように、法務省から、今すぐとは言いませんが、いずれこの捜査が一定の進展を見た段階で公表をすべきであるというふうに思いますが、官房長官、どう思いますか。
○中川国務大臣 お尋ねの趣旨は、特定の事件について捜査が終了した場合に、その捜査の中間報告を求めるといったようなケースについてのお尋ねであろうと存じますが、それは、国会で当該の委員会あるいはまた国会の諸機関でそういう議決がなされまして、それをまた政府は政府として判断させていただく。特にこの件に関しては、法務大臣の御判断ということになろうかと存じます。
○石井(紘)委員 ちょっと最後はよく聞き取れなかったのですが、国会でのしかるべき議決がなされるなりという手続がとられれば、それは公表するなり、あるいは国会に参考人として招致するなり、そうした対応は考えられると、そういうことでよろしいですか。
○中川国務大臣 参考人その他については、これはもう委員御承知のとおり、それぞれの委員会で議決をなさって決定をしていくことでございまして、政府がそれについて言及をすべきことではございません。
 今委員がおっしゃったのは、捜査の中間報告についてどうかということでございますから、過去の例でも、国会の議決があって、それをまた政府が法務当局、これは捜査の進展にもよると思いますが、それを議決に基づいて判断をした、そういうケースがあったということは承知しておりますと、こう申し上げたわけであります。
○石井(紘)委員 先ほど道路公団のことを言いましたが、道路公団にも来てもらっているわけですが、名前が出た若築建設、これへの公団の発注高というものは、中尾栄一氏が建設大臣に就任して以降かなり急激にその実績が伸びておるということのようでありますが、それはどうなんでしょうか。九六年、七年ぐらいからの数字を比較的に出していただけるのでしょうか。
○村瀬参考人 私どもの若築建設に対する発注の件数と額を九三年度から申し上げさせていただければと思います。
 まず九三年度でございます。これは五件で三十五億三千五百万でございます。それから九四年度は、これも五件で二十九億四千六百万でございます。それから九五年度、これは一件で、額は二十三億二千四百万という数字になっております。それから九六年度でございますが、これは五件で四十五億四千三百万、それから九七年度は、六件で三十五億五千四百万、それから九八年度、五件で五十一億三百万、それから九九年度、五十一億五千万という数字になっております。
 今申し上げましたように、九三、九四年度の契約金額でございますけれども、九七年と同程度であるという数字になっておりまして、九五年度が、その中では比較的少ない数字になっているということでございます。
 それからまた、若築建設の受注額が、九五年度から九六年にかけて数字で倍増いたしております。この要因でございますけれども、これは、規模が大きく、透明性、客観性の高い一般競争入札によるものでございます。かつ、この一般競争入札につきましては、JV、いわゆる特定建設工事共同企業体としての受注が、件数でこの年に一件から三件になったということの結果として、金額的に二十三億から四十二億にふえたということでございます。したがいまして、これは一般競争入札、かつジョイントベンチャーとしての競争入札の結果であるというふうに考えておるところでございます。
○石井(紘)委員 藤井総裁がこの一連の事件に名前が出てきているわけですね。藤井総裁をこの委員会で要求しても出さない、ほかの委員会でも出さない、これはどういうわけですか、建設大臣。
○扇国務大臣 今、国会で御要望のあったことは私存じませんけれども、改めて今私から担当として申せということでございます。
 これは、御存じのとおり司直の手によってるる捜査中でございまして、私も今まで三度ばかり本人と面接もいたしましたし、事情も聴取いたしましたけれども、ある程度捜査上影響するので言うなということを、司直の方から口どめをされているということもございまして、やがて皆さんの前に司直の結果もるる公表されると思いますし、私も自分自身のでき得る限り、知り得る限りの情報は公開いたしておりますので、きょうは副総裁でお答えさせていただくということでございます。
○石井(紘)委員 私が今聞いたのは、各年度ごとに若築に対する発注高がどうなっているか、これはおかしいんじゃないのかということを聞いたので、それが捜査上の秘密で総裁が出せない、そういう理由になるんですか。
○扇国務大臣 お答えいたします。
 今、総裁がなぜ出てこないのかを答えろとおっしゃったのでお答え申し上げたのですけれども、道路公団としての受注高がおかしいじゃないかという御説明をしろということでございましたら、これは改めて私から申し上げます。
 御存じのとおり……(石井(紘)委員「今、もう答弁あったの、それは」と呼ぶ)だから、それで私は副総裁としてお答えになりましたからと申し上げたのです。内容はよろしいですか。――はい、それでは失礼いたします。
○石井(紘)委員 この道路公団の問題は、そういうことで、総裁が来ませんのでこれ以上続けられませんから、別の機会にさせていただきます。
 それから次に、北海道開発庁。
 鈴木宗男さんが北海道・沖縄開発庁の長官をやっておられたのはいつからいつまでですか。
○林政府参考人 お答えいたします。
 平成九年から平成十年まで長官をされておりました。
○石井(紘)委員 かなり大ざっぱな、平成九年から十年までと。まあ結構です。
 その平成九年と平成十年なんですが、北海道開発庁から発注された事業、件数と企業の数、これはどうなっておりますか。
○林政府参考人 お答えいたします。
 その前に、ただいま委員がおっしゃった、北海道開発庁が発注という話でございますが、北海道開発庁は工事の発注はしておりません。御案内のように……(石井(紘)委員「あなたね、そういう余計なことを言わなくていいから。北海道開発庁の予算で言っているんだから」と呼ぶ)
○衛藤委員長 ちょっと待って。委員長の許可をとって発言するように。
 林総務監理官。
○林政府参考人 わかりました。
 北海道開発局におきまして、平成九年度から平成十一年度まで、三カ年における重複しない企業は約二千社でございます。(石井(紘)委員「それだけじゃなくて、あなた、数字あるでしょう、ない」と呼ぶ)いや、ございます。
○衛藤委員長 委員長の許可をとって発言してください。
 林総務監理官。
○林政府参考人 わかりました。
 平成九年度の工事の発注件数は、三千七百四十六件でございます。それから平成十年は、全体で四千二百三件でございます。ちなみに平成十一年は、三千九百八十六件でございます、工事の件数は。(石井(紘)委員「それから企業は」と呼ぶ)
 企業について申し上げれば、平成九年が一千六百三十七社、それから平成十年が一千七百三十二社、平成十一年が一千七百二社でございます。
 以上でございます。
○石井(紘)委員 そうすると、平成九年と十年の企業数で、実数とすると何社になりますか。要するに、平成九年は発注したけれども十年は発注していないとか、十年は発注したけれども九年は発注していないとか、そういうのもあるでしょうから。平成九年と十年の数字、ないですか。なければいいです。
○林政府参考人 お答えいたします。
 平成九年、十年、十一年度の実績社数が千三百六十八社でございます。平成九年度のみの実績社が八十八社、平成十年度のみが七十六社、それから平成十一年度のみが百十五社でございます。それから、平成九年と十年の両年度実績社が百二十五社、平成九年と十一年度の実績社数が五十六社、それから平成十年と十一年の両年度の実績社数が百六十三社でございます。
 以上でございます。
○石井(紘)委員 そうすると、私は、ちょっとここに数字があって、平成九年と十年の実数で千八百八十二社としてありますが、これは正しいですか。
○林政府参考人 委員の今おっしゃった数字、九年、十年ですね、これはいわゆる重複も含めての数字でございます。
○石井(紘)委員 わかりました。
 それで、今の御答弁だと、平成九年度に北海道開発庁が発注をした企業が千六百三十七社ある。このうち、この企業の中から鈴木宗男氏が献金を受けた企業の数を私が数えてみましたら二百七十五社ございました。それから、平成十年の発注先企業は、今の御答弁ですと千七百三十二社というふうに言われましたが、それぞれ金額にすると一兆円と一千億とか二千億とかそのぐらいの数字だと思います、一兆を超える数字だと思いますね。千七百三十二社と言われましたが、そのうちの鈴木宗男氏が献金を受けた企業の数が四百社であります。
 金額は、平成十年が四百社からトータルで八千九百四十五万円、平成九年が二百七十五社からトータルで六千四百八十四万円。北海道開発庁・沖縄開発庁長官をやっていた両年度に受けたものが、金額でいうと、これ二つ足せばいいわけですから、合わせて約一億五千万ぐらいになりますか。
 それから、企業数でいきますと、これは重複したものもありますから、延べで六百七十五社になりますが、実数で四百四十二社であります。こういう千七百社前後の企業に事業を発注しておる。その中の四百四十二社からいわば見返りを私に言わせれば取っておる、こういう姿になっておるわけであります。
 この中には、例の若築建設からの献金も両年度にわたって入っております。平成九年は九万円でございますが、平成十年は三万円ずつ、四回にわたって、十二万円というふうに記載されております。
 これは、北海道開発庁長官でありますから、北海道開発庁の予算というものは、建設省やら農水省やらあるいは運輸省やらの窓口といいますか、北海道開発庁でそれを取りまとめて、事業計画をつくって、枠組みをつくって、そして予算を出していくわけでありますが、いずれにしても、こんなにたくさんの企業から、発注先の企業から政治献金を取る。これは鈴木さんだけじゃないと思いますがね。だけじゃない。これはまあ一種の構造的なものの中の氷山の一角、象徴的なものだと思いますが、こういうのを見て、さっきの政治倫理綱領だとかいうようなものと照らして、官房長官、どんなふうにお感じになりますか。
○中川国務大臣 政治倫理綱領などと照らしてという、そのなどのもう一つは私はわかりませんが、いずれにしても、寄附等の事実関係については十分承知しておるわけではございませんので、お答えは、そのこと自体については差し控えたいと存じますが。
 一方、北海道開発庁長官には、委員も多分御調査の上お尋ねだろうと存じますが、北海道における国の公共事業の指名業者の選定、発注、契約などを指揮監督する権限はないと承知しております。
 北海道開発局が仕事を出していくということは聞いておりますが、開発局のそれぞれの当該業務については、それぞれの省庁、農林水産大臣であったり運輸大臣であったり建設大臣が北海道開発局長を指揮監督できる、このように承知をいたしております。そういう事業所管庁の指揮監督のもとで、北海道開発局でこれら直轄公共事業の工事の発注業務をやっている、このように理解をしておるわけでございます。
 また、政治資金というものは量的制限というのがございますのは御案内のとおりでありますが、同時にまた、国から補助金等を受けている会社その他の法人は寄附できないという質的制限というのもございます。しかし、特定の分野を対象にした規制というのは定められてはいない、そういうことではないか、このように考えております。
○石井(紘)委員 まさに、政治倫理綱領と私が言いましたのは、法律にどうこう定められているとかいないとか、そういうようなことの解釈によって、政治家の行うこうした行為が認められるとか認められないとか、そういう問題ではないんだ。税金が流れていっている先を、そこから取ってくるということが、これは悪いことじゃないんですか。政治倫理上、あるいは政治家のモラル、責任上、悪いことじゃないんですか。
 いいですか、政治倫理綱領には、さっきも読んだように、
 国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。
これは守らないでいいんですか。政治倫理綱領というのは、何のためにあるんですか、これは。
○中川国務大臣 先ほどからお答えを申し上げているとおり、当然これを尊重し、遵守していくべきものだと、このように思います。
 ただ、政治資金というものは、何か一方的に公職にある者が出しなさいと、私は、事実のほどがわかりませんので、支援者が自由な意思で拠出をされる、寄附をされる、そういうのも政治献金の中にはあるのであろうと思います。
 そういう観点から、この倫理綱領は倫理綱領として遵守され、そして尊重されていくべきものである、このように思います。
○石井(紘)委員 先ほど官房長官が答弁をされましたけれども、政府の事業をもらう、仕事をもらう、受けるということは、これはやはり建設会社にとっては死活の問題である。だから、それはもらいたいし、また現に受けている仕事を切られたくない。いろいろな思惑が働きまして政治献金をするわけですよ。政治献金というのは、何もお金があり余っているから善意でもってやるということは、企業の場合はこれは許されないんだ。企業の場合は企業利益に沿った支出をしないと、これは成り立たないんだ。株主からも訴えられるんだ。まさにそこに、根底にそれはそうしたわいろ性というものがあるんです。それを受ける者はそれを知って受けるんです。権限を持っているんです。
 あなたは、北海道開発庁長官、開発庁というのは権限がないんだみたいなことを言ったけれども、それは違いますよ。何のために北海道開発庁はあるんですか、長官がいるんですか。北海道開発庁の権限はちゃんと判例にも出ています。阿部文男さんのあのときの判例にもきちっと出ている。権限がない役所があるわけないじゃですか。そういう詭弁の答弁をしちゃだめです。
 だから官房長官、これは私は、職権乱用ないしは国に対する背任の疑いもあるし、あるいは大変なわいろですよ。だから単純収賄罪というのはいろいろな規定があるんです。これは収賄罪に明らかに当たるんです。
 いいですか、わいろの意義というものが、これは解説書にありますが、「当該利益と職務行為との間に対価関係が必要である。しかし、個別具体的な職務行為との対価性ではなく、一定の職務に対するものであればよい。」これは最高裁判決で、昭和三十三年九月三十日、「職務行為は正当なものであってもよい。」こういうふうにちゃんと判決も出ている。これは明らかに収賄じゃないですか。どう思いますか。
○中川国務大臣 犯罪の構成要件等については法務大臣から御答弁願いたいと存じますが、今委員おっしゃった北海道開発庁長官には権限があるという点でございますが、北海道開発法第五条によりまして、開発庁は、北海道総合開発計画について調査、立案をし、その計画に基づく事業の実施に関する事務の調整、推進に当たること等を所掌事務といたしております。
 一方、北海道開発局、これは開発法の第九条で、開発庁の地方支分部局ではございますけれども、北海道における農林水産省、運輸省、建設省、それぞれの所掌する直轄公共事業の実施事務を所掌しているが、当該事務については、北海道開発法第十条第二項において、農林水産大臣、運輸大臣、建設大臣のみが北海道開発局長を指揮監督することとされている、こういう整理になっておりまして、これは沖縄開発庁についても同様でございます。その趣旨を先ほど申し上げた次第であります。
○石井(紘)委員 あなたが今前段で言った権限に基づいて、北海道開発庁の長官というものは、もちろんこれは相当の権限があるんです。
 それから、国会議員の地位利用、収賄の処罰に関する法律、これは私たちが今出している法案ですが、こうした法律をまたずとも、このように膨大な数の発注先企業から献金を受けるということは、明らかにこれは収賄罪になるのではないですか。
 もう一つ問題提起をしておきたいと思います。沖縄開発庁で、下地幹郎さんという人はいつからいつまで政務次官をやっておられましたか。
○榊政府参考人 お答えいたします。
 沖縄開発庁の政務次官の在職期間は、平成十年七月から平成十一年の十月までの期間でございました。
○石井(紘)委員 沖縄開発庁の政務次官をやっておられた下地さんという方は、沖縄の大米建設というゼネコンの御曹子じゃありませんか。そしてこの方は、その大米建設の副社長をやっておられた方です。現在でも大米建設の相当数の、相当量の株式と、その子会社、大米興産だとか等々の株を相当持っておられます。例えば、大米興産というようなものは、額面で二千三百万円近い株式を保有されておりますし、オーシャンリゾート宮古島というような株式会社の株も、額面で一千二百万円ぐらいのものをお持ちでございます。
 この方が沖縄開発庁政務次官をやっておられたときに発注をしました企業、沖縄開発庁の予算でもって自分の会社に、よく聞いてくださいよ、今言った大米建設とかあるいは南西建設とか、あるいはまだほかにもあるんですが、自分の会社に事業の発注をしておる。これはどういうことですか。これは職権乱用あるいは大変な犯罪行為じゃありませんか。どう思いますか。
 大米建設には平成十年度で六件、約十六億四千万、それから平成十一年には六億七千万。もちろん沖縄開発庁は、ちなみに若築建設にも大変な事業を発注しているんですが、ちょっと御答弁いただきたいと思います。この大米建設とそれから南西建設ですか、それからこの関連の南海建設、これは皆ファミリー企業ですから、これらに対する発注高をわかったら言ってくれませんか。
○榊政府参考人 お答えいたします。
 今御質問の公共事業の発注額でございますが、大米建設につきましては、平成九年度におきまして四億二千三百九万円でございます。十年度におきましては十六億四千百十八万円でございます。平成十一年度におきましては六億七千百四十三万円でございます。
 それから、南西建設の関係でございますが、受注額でございますが、平成九年度はございません。平成十年度におきましては一億二千五百七十九万円でございます。平成十一年度におきましては一億三千二百八十二万円でございます。
 また、南海建設でございますが、受注額につきましては、平成九年度には一億二十七万円、平成十年度は七億三千八十万、平成十一年度はございません。
 以上でございます。
○石井(紘)委員 これは官房長官、あるいは建設大臣でもいいですが、これ、どう思いますか。自分の会社に、沖縄開発庁の政務次官をやっておって、これも権限がないから構わないというんですか。どうですか。
○中川国務大臣 まず第一点目の公共工事の発注につきましては、先ほど北海道についても申し上げましたが、沖縄開発庁も同じようなそういう権限関係の中にございまして、その事業所管庁、農水省、運輸省、建設省、それの指揮監督のもとで指名業者の選定、入札の執行など、適正な手続を経て行われたものでございます。その意味では、政務次官であるからといったような御指摘は当たらない、このように思います。
 また、当該の期間、その下地政務次官は、会社との関係、役職も辞任をされ、そしてまた、就任時、離任時の資産公開資料によれば、御家族を含めてグループの株は保有されていない、こういうふうに承知をいたしております。
○石井(紘)委員 それは間違ったら責任とってくださいよ、株を所有していないというのは。
 では聞きますけれども、大臣は役職を辞すとか、大臣についての閣議で決められた事項がありますね。そうすると、沖縄開発庁と北海道開発庁は、あなたの言うのだと、そうした権限がないからその閣議の申し合わせのらち外にあるということになりますよ。そういう矛盾したことを答弁しちゃだめですよ。
 沖縄開発庁であろうが北海道開発庁であろうが、それらの大臣の場合には同じようにきちっと、権限があるから、みずから役職を辞したり、株の取引やその他の自粛をしなきゃいけないという申し合わせをしているわけでしょう。それなのにどうして政務次官の場合は、それとは違って、権限がないからやってもいいんだということになるんですか。
○中川国務大臣 閣僚、これは政務次官も同様でございますが、営利企業等々の役員を兼職するということをしないというのは、これはもう一般原則で、閣議で申し合わせをいたしておる、こういうことでございます。したがって、沖縄であろうが北海道であろうが、どこの地域であろうが、営利企業の役職は閣僚や政務次官は兼職をしない、こういう申し合わせになっておるわけでございます。一般的に全部適用される、こういうことでございます。
 それから株については、売買が可能なものは信託をする、信託手続をとる。そういう意味では、地位を利用してその株の利益を高めたりあるいは利益を得たり、そういうことはしてはならない、こういう申し合わせになっておるわけでございます。これは一般原則でございます。
○石井(紘)委員 これはまた引き続き、今の、私に言わせれば答弁がかなり雑だと思いますが、そうしたものも吟味をして引き続き取り上げてまいりたいと思います。きょう、私はいろいろやらなきゃならないことがある。
 今、久世前金融再生委員長の大京からの一億円の、献金なのかあるいは党費の立てかえなのか知らないけれども、このお金をめぐって問題が沸騰しているわけですね。自民党というのは、参議院にしても衆議院にしても、どういう比例区の順位の決め方なり公認の仕方というものをやっているのか。これは前にも私は、小渕総理のときに伺ったことがありますが、小渕総理はその点はっきり言われなかった。
 そこできょうは、ちょっと見てみましたら、ちょうどいいぐあいに閣僚の中に、自民党の財務委員長をせんだってまでやっておられた先生、大臣がおられるので、平沼大臣にちょっと伺ってみたいなと思うわけです。
 つまり、こういうことがありました。平成八年に報告をされた平成七年度の収支報告で、土地改良諸団体、土地改良というのは七千数百も全国に改良区というのがありまして、そして都道府県レベルで土地連というものがあって、それに必ず政治団体というものが、政治連盟というものが付随してあるんですね。土地連でのお金の、政治資金のいろいろな動きというのは非常にすさまじいものがあるんです。それはここにいろいろに書いてありますからわからなければ説明をいたしますけれども、その中のごく一部だけを見てみたいと思うんですね。
 例えば、土地改良人自由国民会議、こういう政治団体があるんです。この土地改良人自由国民会議というのは、ちょうど参議院選挙がありました平成七年を見てみますと、このときに自民党の政治団体とお金のやりとりをやっております。自民党の政治団体というのは自由国民会議であります。黛敏郎さんが当時は代表者を務められておりました。土地改良人自由国民会議というのは、福沢達一さんという方が代表者をやっておられまして、私が言う例の新橋の、お化けビルと私は呼んでおりますが、土地関係の諸団体が、幽霊団体も含めてごっそり入っておるそのビルの中に所在地があるわけです。実際に存在はどうもしていないようでありますが、所在地はそこになっている。
 そこで、この土地改良人自由国民会議という政治団体が、自由国民会議という自民党の政治団体に対して四千五百十三万六千円を平成七年四月二十四日に支払った。そうしますと、今度はどういうわけか自由国民会議の方から、その約二カ月後の六月二十八日に六千四百二十万八千円をこの土地改良人自由国民会議に、振り込んだかどうかは知りませんが、拠出している。これはあらかじめ通告をしておきましたのでお調べいただけたかと思うんですが、これはどういうことを意味しているんでしょうかね。
○平沼国務大臣 私、自由民主党の財務委員長をしておりましたのは、平成九年九月から平成十年八月まででございました。したがいまして、平成七年の事案に関しては把握できる立場になかったわけでございますし、また、我が党の財務委員長という職掌は、細かい政治資金の出入りをチェックするような立場ではなくて、党全体の財政の流れが大きな形で正常かどうか、これを財務委員長が財務委員会の小委員を招集して二カ月に一遍大きな形の流れをチェックする、それが財務委員長の立場であります。
 法務大臣の保岡先生も財務委員長を歴任されましたけれども、そういう形で、今御指摘の土地改良人自由国民会議と自由国民会議との細かいやりとりというのは、私は掌握、把握できる立場になかったものですから、それに対して正確な意味でお答えができない、こう言うことは申しわけないんですけれども、そういう立場だったということを御了解いただきたい、こういうふうに思います。
○石井(紘)委員 それはそうだと思いますが、財務委員長をやっておられたベテランでございますので、そういうことはこんなことじゃないかというようなヒントぐらいは与えていただけるんじゃないかと思って私も御質問させていただきましたが。
 なぜ私はこれを取り上げるかといいますと、どうもこれも、参議院選挙の比例区の順番とか、あるいは二万人か三万人か知りませんが、党員集めと深いつながりがあるように感じられてならないわけであります。私も若干の取材をいたしましたが、どうもそんなにおいがするわけであります。
 それと同時に、もう一つは、政治資金規正法と照らしてどうなのか。実は、自由国民会議に支払われたというふうに届け出られているところの四千五百十三万六千円というものは、受け入れているはずの自由国民会議の方の収支報告の中に記載されていないわけであります。
 この点をちょっと、自治省に来ていただいておりますので、自治省に確認をしたいと思いますが、いかがですか。
○片木政府参考人 お答えを申し上げます。
 お尋ねの平成七年の収支報告書でございますが、御案内のとおり、三年の保存期限ということがございまして、昨年の九月中旬までには自治省に原本がございましてこれを確認することができたわけでございますが、三年の保存期間を経過いたしましたため、現在では自治省に原本は存在いたしません。
 そこで、土地改良人自由国民会議の平成七年分の収支報告書の要旨になるわけでございますが、官報告示によらざるを得ないということで、これを確認させていただきました。
 収入につきましては、自由社会を守る国民会議から六千四百二十万八千円の寄附があった旨の記載があるところでございます。支出につきましては、今申し上げましたように官報は要旨のみでございますので、現時点におきましては、相手先等は確認できないということでございます。
 また、自由社会を守る国民会議、今お話しの自由国民会議でございますが、平成七年分の収支報告書の、これも要旨に係る官報告示になるわけでございますが、これを確認いたしましたところ、収入につきましては、個人の党費、会費として十四億九千三十二万円、自由民主党本部からの寄附として四億三千百六十万四千円、その他の収入として二十六万五千六百二十六円と記載されております。支出につきましては、さきに述べたとおり、相手先等は確認できません。
 以上でございます。
○石井(紘)委員 そうすると、その他の収入というのは二十万幾らというのだから、私が言ったのは記載されていないということでしょう。それを何でおっしゃってくれないんですか。記載されていないんでしょう、その四千五百何ぼというのは。
○片木政府参考人 自由社会を守る国民会議の平成七年分の収支報告書の関係、要旨に係る官報告示のお尋ねと思いますが、先ほど申し上げましたような収入の状況でございまして、土地改良人自由国民会議からの関係といった記載はその官報の上ではないということでございます。
○石井(紘)委員 これは政治資金規正法からいきますと、どちらかが、そちらへ出したという方、土地改良人自由国民会議の方が違反しているか、間違っているか、あるいは受けたはずのところが間違っているか、どちらかが間違っている、違反をしているわけですね。
○片木政府参考人 自治省といたしましては、個別の事案について実態を調査する権限を与えられておりませんので、お答えいたしかねる点を御理解いただきたいと思います。
○石井(紘)委員 私は、調査しろとか言っているんじゃなくて、違反しているかしていないかということなんだけれども、それはいいです。これはもう明らかな話ですから、そういう違反があるということをきょう言っておきます。それで、これはいいかげんにしておくと大変なことになるんじゃないかというふうに思いますので、申し上げておきたいと思います。
 幾つかまだ残っている質問があるので、時間の範囲内で、個別の問題を幾つか言いますが、建設大臣お見えいただいておりまして、中海の計画を中止する。その他公共事業で滞っているもの等についての、私たちから言わせればむだな公共事業ですが、今後のそうした公共事業に対する対応方針というものを、自民党、与党の方では一定の形で出されているようでございます。
 そこで、今度は建設省の方はどうなのか、あるいは農水省――ごめんなさい、建設大臣、この中海の問題は農水省です。それからあと川辺川のダムと四国の吉野川の可動堰の件、これを、時間がありませんので、順次農水省からお答えをいただきたいと思います。
○谷国務大臣 農林省の立場で島根県の中海問題についてお答えしたいと思います。
 この問題は、私が農林水産大臣に着任して以来の動きを見ますと、終始マスコミが全く先行しておりまして、我々十二分なニュースをとることができませんでした。しかし、先月の三十一日に、中国四国農政局の局長が島根県知事とお会いになったという経過を明くる日の一日に私は聞かせていただきました。
 要するところ、知事としては、まだ結論は出していない、しかしながら、県議会並びに団体の皆さん方、そして市町村の皆さん方に十二分に話を聞いて結論を出したいと思う、こういうお話であったようでございます。そして、あす夕方に私は、島根県知事の方からお話をぜひしたいということでございますので、お話をお伺いしたいと思っております。
 また、自由民主党の党の方で、いろいろと新聞紙上で見ておるわけでございますが、これは党の立場でやっていらっしゃることで、農林水産省の立場でやっておるわけではありません。
 以上でございます。
○扇国務大臣 今、吉野川と川辺川ダムの話がございました。吉野川の第十堰、これは御存じのとおりでございまして、私が大臣に就任いたしましたときにも記者会見をいたしまして、お聞き及びかもしれませんけれども、少なくとも、これは二百五十年前につくられた固定堰でございまして、両岸二市六町の皆さん方の御意見を拝聴しているところでございます。
 川は御存じのとおり両岸あるわけでございまして、その二市六町の中の一市の徳島で反対住民の皆さん方が住民投票をなさって、反対が多数を占めたという御報告もいただきました。けれども、私どもは、伺いましたら、二市六町の中の川の反対側の皆さん方は、ぜひつくってくれ、それでないと、二百五十年前で治山、利水等々大変心配だからということで御要望もいただいておりますけれども、現在のところ、地元のコンセンサスが得られるとは私は存じ上げておりません。
 ですから、少なくとも私は、今後、地元において皆さん方の話し合い、そして二市六町ございますから、多くの皆さん方の御意見を尊重して、これはその上で地元の御意見を伺って判断していくものと、私としては就任した記者会見で既に申し上げてあります。
 それから、今御質問のございました川辺川ダムにつきましては、これはもう既に御存じのとおり、三十年間で七回も大きな水害に遭いまして、球磨川流域すべての市町村、これは二市六町十一村でございますけれども、すべての皆さん方から事業促進に関する強い御要望がございまして、これも事業は順調に今進捗しております。
 そして、全部の五百四十九世帯、その皆さん方が、水没者の方々すべての移転に対して同意をいただいております。うち四百二十五世帯は既に移転済みでございます。そして、残る方々も平成十二年度内、今年度内でございますけれども、五木村に、最大の代替地でございます頭地代替地に、完成するのに伴いまして移転をされるということでございまして、平成十三年早々までにはすべての方が移転を終了する予定でございます。
 また、工事も順調に進捗しておりまして、本年度は球磨川の漁業組合と漁業補償交渉を行い、ダムの本体工事に着手する予定でございます。
 今委員がおっしゃいましたように、全部むだである、公共事業はむだだと思うという一言をおっしゃいましたけれども、私は、地元の皆さんに対してはぜひ……(石井(紘)委員「そんなこと言っていない、むだな事業はと言ったのです」と呼ぶ)はい、むだな事業だということで。
 私は、どうしても、このように地元の皆さん方すべてが賛成してくださって、地元の皆さんのためにもという、そして住民の皆さんの安全と安心を保障しようということで、川辺川ダムも、御存じのとおり、約二千六百五十億円を使って皆さんの生活の保障をしようということでございますので、これは予定どおり来年には、川辺川ダムに関しては進捗が順調に進むものと存じております。
○石井(紘)委員 今の建設大臣の最後のお言葉は大変残念でございます。私はちょっと期待していたのですけれども。もう少し、お役所の言うままに言うのじゃなしに御自分でお考えいただいて、そして主体的に対応していただきたい。
 それから農水大臣も、まさに自民党がやっているのを、自民党さえもと私に言わせれば言いたいところですが、見直すと言っているんだから、中止した方がいいと言っているんだから、やはりそれはもう少し主体的に、自主的に、農水省のイニシアチブを発揮して、そして早急に中海の中止を決定するという方向にすべきであるということを申し上げて、本当は湯之谷揚水発電の電源開発の問題も取り上げて会計検査院にも質問をしたかったのですが、時間が来てしまいましたので別の機会にさせていただきたいと思います。検査院の皆様には大変失礼をいたしますが、これで終わります。
○衛藤委員長 石井紘基君に、石井君に委員長として申し上げますが、ただいまの質疑の中で、石井委員の発言の中に、当委員会としては、不穏当といいますか、適正を欠くような発言がありましたので、あすの理事会で訂正を含めて協議をさせていただきますので、御了解をお願いいたします。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○衛藤委員長 速記を起こして。