一人前になれよ!前原大臣
(日刊ゲンダイ2010/4/23)
すぐヘソを曲げ「辞任」を口走る駄々っ子

≪この辺が「お子ちゃま大臣」と呼ばれるゆえんだ。前原誠司国交相(47)が、高速新料金の見直しに反発、また政権を引っかき回した。「自分がいない場所で決めるなら、この立場ではいられない」と辞任を匂わせたかと思えば、翌日には「(閣僚を)続けさせていただきたい」と、あっさり続投宣言だ。メンツを潰されたことにヘソを曲げ、辞める気もないクセに、思わせぶりな態度を取るなんて、幼稚すぎる。民主党叩きの大マスコミを喜ばせただけで、“こども店長"以下のレベルだ。
◇小沢発言がなければ道路官僚の手玉に取られただけ
そもそも、この問題は、前原大臣の力不足、無見識が引き起こしたことで、文句を言える筋合いはない。高速利用者の8割が現行料金から値上げとなる新料金は、道路官僚が思惑絡みでつくり上げたもの。そこを見抜けなかったのだ。
「新制度は『昨年末に小沢幹事長が提出した党要望を受け、休日1000円など割引制度の財源を高速道路建設に回す前提でつくられた』とメディアは伝えていますが、事情は違います。党要望の念頭にあったのは、地方の不採算道路の整備のみ。割引廃止で浮いた2・6兆円の半分以上という1・4兆円もの巨額財源は求めていません。国交省が、事業費8000億円もの東京外環道をはじめ、高速道路建設の続行を打ち出したのには驚いた。そんなに浮いた財源があるのなら、値上げ幅を圧縮するのは当然でしょう」(民主党関係者)
党要望を拡大解釈し、小沢幹事長から“お墨付き"を得たような形で、図に乗って巨額予算をふんだくる。道路官僚の狡猾なワナを見抜ける能力が前原にはなかったのだ。
そればかりか、「道路行政は利害関係者が多く、あらかじめ党に相談すれば紛糾する」と、馬淵副大臣らごく一部で新料金制度の検討を進めたことが、与党内の反発を招き、混乱を大きくさせた。
「何事も新聞報道が先行し、国交省に説明を求めても、なしのつぶて。前原大臣は党側に一切の相談もなく、官僚の言いなりに改定制度を発表したのです」(ある民主党議員) 小沢幹事長が「値上げはおかしい」と“鶴の一声"を発し、馬淵副大臣に「役人の言う通りやったら絶対にダメだ」とハッパをかけたのも当然だ。こども大臣がシッカリしていれば、オトナの出る幕はなかった。
◇少しは「こども店長」を見習えば?
きのう(22日)の鳩山首相との会談後、前原は「現時点において見直しは行わない」と息巻いていたが、「国権の最高機関である国会における審議を踏まえ、国交省で総合的に検討させていただく」と付け加えることを忘れなかった。
回りくどい言い回しだが、要は小沢幹事長らと本気で対立することは避け、関連法案審議後の見直しは受け入れるということだ。
道路官僚の手前、大臣としての体面を保ちたいのだろうが、格好をつけている場合ではない。自身の無能ぶりを恥じるべきだ。
独断専行で突っ走り、分が悪くなると、言動がコロコロ変わり、勝手に迷路にハマリ込む――。今回も、八ツ場ダム問題やJAL再建で繰り広げた前原お得意のパターンだ。
デキの悪い子供だって、3回も同じ過ちは繰り返さない。こども大臣より、「こども店長」の方がよっぽど有能ではないか。少しは見習って、早く一人前になれよ、前原大臣。≫