「鳩山首相は米国に媚びる必要ナシ」 (日刊ゲンダイ 2010/4/24)


今度は「ウォールストリート・ジャーナル」がこき下ろし

鳩山首相を「最大の敗者」とこき下ろした米ワシントン・ポスト紙の醜悪なコラムが話題になった。世間の耳目を集めるのに2匹目のドジョウを狙おうとでもいうのか、今度は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルが鳩山政権を痛烈に批判している。

22日付(電子版)に、米保守系シンクタンク、アメリカンエンタープライズ政策研究所(AEI)のマイケル・オースリン日本部長が寄稿し、「ジャパン・ディッシング(日本切り捨て)」の時代に突入したと切り捨てたのだ。

オースリン氏は、普天間基地問題をヤリ玉に挙げているのだろう。日米関係はこれまで、貿易摩擦時代の「ジャパン・バッシング(日本叩き)」、対中重視・日本軽視を強めたクリントン政権時代の「ジャパン・パッシング(日本外し)」など紆余曲折があったと指摘。その上で、現在、鳩山政権は米国に一貫した政策を提示することができず、「オバマ政権からひんしゅくを買い、徐々に無視されつつある」というのだ。さらに、「日本の政治エリートは、米政府内で日本の評価がいかに下がっているかを知れば、日本叩きや日本外しの時代が懐かしく思えるかもしれない」と言いたい放題だ。
普天間問題では、来週27、28日にキャンベル米国務次官補が来日し、政府高官と協議することになっている。しかし既に米側は日本政府に対し、海兵隊の地上部隊とヘリ部隊の駐留場所の距離を「65カイリ(約120キロ)以内」とするよう条件を出しているとも伝えられた。それで、キャンプ・シュワブや徳之島は180キロ程度離れているため米側が認めないと、政府内に懸念の声が上がっているらしい。ちょっと待て。米国はこれまで日本の対応を「アイデアであってプランではない」と一蹴してきたではないか。それが、この一変は何なのか。「同盟国」と言いながら、見下した姿勢で日本をバカにするような米国に、そこまで屈する必要はない。
「今回のことで、米軍基地が日本の防衛のためにあるのではなく、訓練のための基地であり、紛争地域へ派遣するための本拠地にすぎないことがバレてしまった。米国は国際的な視野を失って、世界的な枠組みの中で、日本のことを考えていない。

思いやり予算で基地を置いてもらっているのに何を言っているのか、というのが国民のホンネではないですか」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
鳩山首相は、“対等な日米関係"の精神で堂々と媚(こ)びない交渉をすればいいのだ。