「みんなの党」を支持する日本国民はマゾか [金子勝の天下の逆襲] (日刊ゲンダイ2010/4/27)

「たちあがれ日本」「日本創新党」に続いて、舛添要一が率いる「新党改革」が結成された。新党ブームといっていい。
最大の特徴は、どの新党にも、「政党」としての理念や哲学、政策がまったく見えないことだ。「平沼新党」「舛添新党」などと議員の個人名で呼ばれているように、メディアで名前が売れている政治家が、沈み始めたタイタニック「自民党号」から逃げ出し、当選が厳しい議員が、その知名度を頼って集まっているだけのことだ。「政党」の体をなしていない。

たとえば「たちあがれ日本」は、平均年齢69歳の老人だけが集まって、一体何をしようというのか。自民党の河野太郎が「私が総裁になったら、いずれ出ていってもらう人たちだった」と語ったのは、極めて説得力があった。若者に希望を与えるような政策は出せそうもない。
「日本創新党」は、結党会見で「日本は壊れかけている」「だから構造改革をしなければいけない」と訴えているが、壊れかけているのは、あなたたちです。この国をさらに壊す気か。自治体の首長経験者の集まりだが、いまどき、構造改革やりましょうだなんて、庶民の暮らしも分からずに、よく首長が務まったものだ。

最後は「舛添新党」だ。なぜ、この人が「総理にふさわしい」ナンバーワンなのか、さっぱり分からない。なんの業績もないではないか。厚労大臣時代は、年金記録問題で追いつめられ、ひたすら「やります、やります」と連呼していただけだ。新型インフルエンザ騒動の時は、ドタバタしてパニックに陥っていただけ。なにより、小泉政権時代の「医療崩壊」政策に賛成してきた人だ。経済政策といえば、「日銀の量的緩和によるデフレ克服」と「法人税の減税」を口にするだけ。これでは日本経済は沈没するだろう。

そもそも「新党ブーム」のきっかけとなった「みんなの党」が、なぜもてはやされるのかも不思議だ。目玉政策は公務員叩きしかなく、小泉改革の“落とし子"のようなものだろう。これほど小泉改革の後遺症に国民が苦しめられているのに、「みんなの党」が選挙で議席を伸ばすとしたら、日本国民はマゾというしかない。