国内移転どこも猛反発で頃合いよしと最後の賭けに出た
きょう午後、首相官邸で徳之島の町長3人と鳩山首相が会談する。物別れに終わるのは最初から分かり切ったこと。それでもセレモニーにこだわる鳩山首相の真意はどこにあるのか。実は、この会談の直後、密使の議員たちがテニアン島に飛び立つことが分かった。
◇オバマ政権にも変化の兆し
サイパンに隣接する北マリアナ諸島のテニアン島に出向くのは民主党の川内博史議員ら6人。9日までの滞在で、現地ではマリアナ諸島の知事やテニアン市長と面会するとみられている。
今年2月、与党議員団がグアム、テニアンを訪問し、テニアン島からは「普天間の移転受け入れ歓迎」の言質を得たものの、話は棚上げになっていた。米政府と日本の外務省、防衛省が「抑止力という観点から困難」と相手にしなかったからだ。
それなのに、このタイミングで鳩山首相の“密使"がテニアンを訪問する狙いは何か。
「“最低でも県外、できたら国外移転"と言ってきた鳩山首相の腹の中には、ずっと米自治領の北マリアナ諸島への移転案があった。しかし、それには米政府の合意が不可欠。難色を示す米政府を交渉のテーブルに引っ張り出すには、日本国内で普天間を引き受けるところがないことを教える必要があった。そのシナリオ通り、鳩山首相の二転三転発言をメディアが騒いでくれたおかげで、沖縄はもちろん、国内どこもが“米軍基地は要らない"の大合唱になっている。米国としては、日本国民と対立することが一番困る。国外移転についても話を聞かざるを得ない状況になってきた。そのタイミングで、民主党議員がテニアンを訪問する意味はとてつもなく大きいのです」(事情通)
鳩山首相が、沖縄訪問で袋叩きにされ、徳之島からも総スカンを食らう光景を、オバマ政権はヒヤヒヤしながら見ているという。「アメリカが鳩山政権を倒した形にはしたくない」「いつ反鳩山の感情が反米国感情に変わるかもしれない」というわけだ。
実際、シーラ・スミス上級研究員は、こんな論文を発表した。
「9万人集会により、沖縄県民の民意が明確に示された以上、県内移設の検討は不要であり、日米両政府は県外移設に焦点を絞った再編計画を練り直すべきだ」「代替地の選択は日本政府が単独で判断できる性質のものではない」
日米共同で代替地を探す段階にきているという指摘だ。鳩山首相の“腹案"実現の機は熟しつつある。