小沢一郎 前原大臣を痛烈批判 (日刊ゲンダイ 2010/5/10)

「私を批判して人気を取っている」


◆軍団150人動き出す
ついに“前原排除"に動き出すのか――。小沢幹事長の一言が民主党内で波紋を広げている。絶対に他人の悪口を言わない小沢一郎が、前原国交相を痛烈に批判したからだ。
前原批判が飛び出したのは7日夜。宮崎市内での党県連幹部との会合の席だ。
「前原大臣は議員経験が浅い。役人の手のひらで踊らされている感じだ」「私のことを批判して人気を取っている」とバッサリ切り捨てた。
言っていることは、まさにその通り。民主党議員なら、誰もが納得する内容だ。
しかし、これまで小沢一郎は、どんなに自分が批判されても、決して他人を批判しなかった。4月末、前原大臣が小沢幹事長を口汚く罵った時も、「前原君がどういうことを言ったか、まったく関心ない」と聞き流していた。
ところが、今回は正面から批判しているのだから異例だ。前原批判を口にしたのは、小沢軍団150人が「前原排除」の動きを強めている事情があるらしい。
「小沢グループは、前原大臣にカンカンになっています。前原大臣が連休中、記者とのオフレコ懇談で、鳩山首相や小沢幹事長の悪口を言いまくっていたからです。『首相は普天間問題で責任を取ることになると思う』と退陣勧告までしている。小沢周辺は『なに様のつもりだ』と、いきり立ち、連休明けの10日にも“前原発言"を問題にするつもりだった。小沢側近は、小沢一郎に対しても『このまま前原の勝手を許すのですか』と不満を強めていた。どうやら小沢一郎が突然、前原批判をしたのは、自分が一言、言っておかないと、周囲が暴発しかねないと考えたからのようです。一種のガス抜き。実際、小沢幹事長が前原批判をしたことで、小沢グループの怒りも多少、沈静化しています」(民主党関係者)

◆オフレコ放言に鳩山周辺もカンカン
小沢軍団が激怒しているのは、小沢幹事長が一度、前原大臣に助け舟を出して救ってやったのに相変わらず小沢批判を繰り返しているからだ。
「高速道路の料金制度の見直しで大モメになった時のことです。前原大臣が『実質値上げ』を打ち出し、これに民主党議員が『選挙で無料と言ったのに値上げではウソをついたことになる』と大騒ぎになった。150人規模で『値上げ阻止議員連盟』を設立して、前原大臣をつるし上げるつもりだった。あのまま議員連盟が誕生していたら、前原大臣は潰されていたはず。それを聞きつけた小沢幹事長が、直前に官邸に乗り込み『見直し』を撤回させたのです。結果的に、小沢幹事長が“ちゃぶ台"を引っくり返した格好になり、悪者になった。でも、本当は前原大臣は小沢幹事長に救われたようなものです」(小沢グループ関係者)
オフレコ懇談で鳩山首相に「退陣勧告」をしていたことがバレた前原大臣は、帰国後、大慌てで官邸まで出向き、手のひらを返したように「閣僚は全員一致して首相を支えるべきだ」と言い繕ったが、鳩山首相も不信感を強めているらしい。
記者団におだてられ、鳩山首相や小沢幹事長の悪口を連発したのだろうが、火遊びが過ぎると自分に跳ね返ってくると自覚した方がいい。