「内閣支持率20%割れで与党苦戦」は当たるのか?  (日刊ゲンダイ 2010/5/15)

「普天間」「政論審」で形成逆転

◇参院選予測・「支持政党なし」6割が固唾をのんで見守っている
時事通信社の5月の世論調査で、鳩山内閣の支持率が19・1%と初めて2割を切り、比例の投票先も、自民党が民主党を抜いてトップに立った。メディアは、「参院選前に民主深刻」「危険水域」と騒ぐが、政党支持率で見れば、依然、民主が自民を引き離している。このまま参院選で民主党は苦戦するのか? 改選121議席の行方を、選挙予測に定評がある専門家に聞いた。

◇政党支持率は民主がまだ1位
「3年前は1人区が民主党の23勝6敗でした。これが今回は、15勝を奪い合う互角の戦いになるでしょう」
こう話すのは政治評論家の浅川博忠氏だ。比例の投票先で自民が民主を逆転している現状を受け、獲得議席数は、民主が改選議席から10減らして44、自民が8増の46と予測する。
目を引くのは、みんなの党の10議席とたちあがれ日本の3議席。
「民主党が2人擁立する2人区で、みんなの党が有力な候補を立てれば議席獲得の可能性が高くなり、結果的に民主を共倒れに追い込む。たちあがれ日本は、石原都知事の人脈で著名人を3人程度立てれば、という前提で3議席としました」
一方、政治ジャーナリストの野上忠興氏は、「内閣支持率20%割れで大騒ぎする必要はない」と冷静だ。重視すべきはむしろ政党支持率だという。
同じ調査で政党支持率は、民主17.0%、自民13.2%、公明4.0%、みんなの党2.5%、共産1.6%。残りの社民ほかは、1%未満。支持政党なしが57.7%だった。

◇潮目はこれから変わる
「なんやかんや言っても、権力を持っている政権党は底力があるもので、大負けはありません。自民党は政党支持率が下げ止まらないので厳しい。みんなの党は、この辺りで頭打ちでしょう。ただ、民主・社民・国民新党の与党3党で過半数を取ることは難しくなりました」
野上氏が最も注目するのは、「支持政党なし」が6割近くにまで達していることだ。表の野上氏の予測で合計が10議席前後足りないのは、支持政党なし層の動向により議席がまだまだ流動的だから。この層が今後のカギを握る。
「鳩山・小沢がこれだけ叩かれたら、内閣や民主党の支持が落ちていくのは当然。しかし、離れた支持は、自民やみんなの党には行っていない。現在、『支持政党なし』の人たちは、普天間問題や小沢幹事長の政治とカネの問題の行方を、固唾(かたず)をのんで見守っているのです。普天間や小沢さんの政倫審を機に潮目が変わる」
そこが、民主が形勢を逆転するタイミングだ。