141 - 衆 - 予算委員会 - 4号
平成09年10月30日

○田中(慶)委員
そこで、橋本総理、お伺いいたしたいのは、週刊ポストの報道によりますと、ことしの六月に発足した、竹下元総理を最高顧問とし、マスコミ界や第一線のジャーナリストを中心とする三宝会という組織、任意団体、これについて総理は御存じでしょうか。

○橋本内閣総理大臣 
大変申しわけありませんが、私は、実はその週刊ポストの記事自体を見ておりませんし、それからその記事の内容がどのようなものか存じませんけれども、今、とっさに心当たりがございません。

○田中(慶)委員
 理事会で御理解いただきましたように、今、この三宝会をより御理解をいただく意味で資料をつくってまいりましたので、お配りをさせていただきたいと思います。
 この三宝会というものは、私が入手した資料に基づいて今お配りをさせていただいたわけでありますが、この会は、竹下元首相を最高顧問として、財界人七人を代表として、マスコミ界中心に十名の世話人、さらに事務局を、福本邦雄さんという人物が経営する画廊、すなわち、かつて金屏風の舞台となったフジインターナショナルアートに置いてあります。福本さんという方は、竹下元総理と大変親しい人であるということを聞いております。
 この三宝会は、新聞そして雑誌などマスコミの第一線で活躍している人たちを中心に、政財界の関係者が定期的に集まって情報交換する会のようですが、設立趣意書を見ますと、幾つかの問題点があります。その第一は、情報を早く、正確にとらえ、行動の指針とするために、立場を異にする各分野の仲間が円滑な人間関係をつくることを目的とするということが第一。第二は、この会を媒介として、不断に新鮮なニュースによる刺激を受け、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、さらに飛躍を遂げようとするものです。
 この三宝会は、六月に発足したときは、政界の構成は大分変わっているようでありますけれども、政界からは竹下元総理に親しい国会議員も、あるいは事務所の方も参加をされています。となると、この会は、法人会員から主たる活動費を出してもらい、新聞、テレビ、雑誌、その他出版の各社の幹部に協力してもらって、世論操作、世論づくりをする。さらには、最近では、運輸省、通産省、建設省、そして農水省、郵政省、いわゆる利権官庁のOBが五人参加をしております。
 活動費を出す企業は利権官庁の情報を知ることができるわけであります。何しろ趣意書には、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、そして飛躍をしよう、こう明記をされているわけであります。三宝会は、竹下元首相の政治的影響力を飛躍させようとするシンジケートのような役割をするものではないかと思います。
 橋本総理、議会制民主主義を健全に発展、機能させることが政治倫理の最大の課題だと信じております。この点から、三宝会についてどのような感想をお持ちですか、明確にお答えいただきたい。

○橋本内閣総理大臣  今初めて拝見をいたしましたが、この会は、老子の言葉「我に三宝あり、持してこれを保つ。一に日く、慈。二に日く、倹。三に日く、敢えて天下の先たらず」よりとり、三宝会と名づけることとしたと。そうした意味で、
さまざまな分野の方々が集まり、互いに研さんを積まれる。私には、ここに書かれております目的は、そのようにすらりと読めるのでありますが。

○田中(慶)委員 総理の政治倫理あるいは民主政治に対する認識といいますか、大変残念ながら、私は、そのとおり総理が述べられたようなことかなと思っておりますが、この議会制民主主義にとって、マスコミの存在、あり方、極めて重要であります。政治家とジャーナリストが一定の常識を持って交流し合い、お互いに錬磨し合うこと、そしてこの基本的な緊張感、あるべきであろうと思います。それが議会政治の原点であろうと思います。
 この三宝会の問題点は、有名なマスメディアの第一線で活躍している幹部を組織的にそろえ、国民に大変影響力を持っている人たちが特定の政治グループと一緒になって、円滑な人間関係をつくり、職域を超えて足らざるところを補完しようということであります。近代社会、まともな議会政治で考えられない、マスコミを利用した、民主政治に似せた政治支配の発想だと思いますが、総理、どのようにお考えでしょうか。

○橋本内閣総理大臣  私は、マスコミの皆さんもまた情報を必要とする職種の一つだと存じます。仮に、議員の御議論のように、情報の交換というものがここで行われた場合に、その情報の交換というのは悪なのでしょうか。そして、マスコミの方々も情報を提供される、報道、表現の自由という範囲の中で御自分たちも取材をされる、それをしも問題視しなければいけないことでありましょうか。
 私は、少なくとも、今議員から配付をされました資料の趣旨書に目を通しまして、非常に素直にこれを読んで、なぜ、また私に御質問があるのか自体がよくわかりません。

○田中(慶)委員 私は、総理の政治倫理に対する考え方をお伺いしているのであって、特にそういうことを考えてみますと、それでは、この三宝会というものがどんな組織でできているか、今から申し上げましょう。
 朝日新聞の方五人、毎日新聞が三人、読売、共同通信ともに三人、日本テレビ二人、フジテレビ一人、テレビ朝日一人、文芸春秋社三人、講談社二人、プレジデント社一人、選択出版社一人、朝日出版一人。それぞれ重要な人でありますが、あえて名前を申し上げますと、共同の後藤さん、あるいは読売の高橋さん、日経の芹川さん、朝日の佐田さんたちが世話人になっているわけであります。そして、このマスコミ関係が全員、オピニオンリーダーとして政治報道、世論操作あるいはまた世論形成にかかわるマスコミ幹部の顔をそろえているわけであります。
 そして、法人会員として、三十五人から成る有名一流企業の人たちが顔をそろえております。これに、先ほど申し上げました五つの利権官庁のOBが参加をしています。円滑な人間関係をつくる、お互いの職域を超え、足らざるところを補完しようというこの特定な政治グループにより、世論づくり、世論操作を目的とするだけではなく、ある面では政治資金を集めるための環境整備の役割を補っているとも言われております。
 このようにして、それぞれの幹部が、大変基本的に、かつまたこの政治倫理が問われているときに、このような環境の中で世論操作やあるいは政治資金の問題等々、こういうことが予想される。こういうことについて、私は、橋本総理の、少なくてもこの政治倫理等に対する考え方をお伺いしているわけであります。

○橋本内閣総理大臣 今、大変特定の報道機関名、またその報道機関に所属されるメンバーの人名を挙げられましたけれども、その方々が同じ記事を書いておられる、あるいは、すべての問題を同じように共同歩調をとられてキャンペーンをしておられるというように私には思えません。それぞれが厳しい論陣を張っておられる方々ばかりだと思います。
 そして、そういう方々が、御自分の主張は主張として、ともに集まり、それぞれ切瑳琢磨されることが悪いとは私は思いませんし、それでおまえの政治倫理の勘は鈍っているんだと言われれば、これはちょっとやむを得ない。これを読む限りにおいて、私、どうしてこういう行動がいけないのか、よくわからないんですが。

○田中(慶)委員 それでは申し上げましょう。
 橋本総理、この会のもう一つの重大な問題は、よろしいですか、渡した資料にもありますけれども、個人会員に内閣情報調査室長杉田氏が参加しております。あるいはまた、前の大森義夫氏も参加をしております。内閣に関係しております総理として、このことをどう思いますか。

○橋本内閣総理大臣 私は、彼らが個人として、まず第一に……(発言する者あり)

○松永委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。やかましいのはその付近だ。御静粛に願います。

○橋本内閣総理大臣 まず第一に、私は、個人として……(発言する者あり)

○松永委員長 今の静粛でない発言は困ります。(発言する者あり)注意した後に君は発言しているね。御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。
 総理大臣、お願いします。

○橋本内閣総理大臣 まず第一に、私は、個人としての行動に指示をするつもりはありません。ですから、私は、前あるいは現の室長がこれに入っておること、これが個人であるのかどうかということがまず一つの問題点であろうと思います。
 あるいは、個人として脳裏に職を思い浮かべながら参加をしていたとしても、情報調査室という仕事の性格上、情報が得られると思われる場所でそれらの意見を参考として聞いていくことが悪いことだとは思いません。

○田中(慶)委員 すなわち、橋本総理は、内閣としては関係ない、こういうことにとれるわけでありますけれども、個人というならば、すなわち、国家公務員法百二条三項の、職員は政党その他の政治団体の役員、政治的顧問、これらと同様な役割を持つ構成員となることはできないという、この行為に反することになりませんか。
 法制局長官、この問題について見解をお伺いしたいと思います。

○大森政府委員 突然のお尋ねで、何をどういう観点から聞かれているのか、もう一つよく理解できないわけでございますが、そもそも、情報調査室長がいかなる目的で、どういう立場で参加しているのかということ自体を、私は私の立場で了知しておりませんので、そのような百二条との関係でどうだと言われましても、正確な答えをいたしかねるところでございます。

○田中(慶)委員 公務員法の百二条三項に、職員は政党その他政治団体の役員、政治的顧問、これらと同様な役割を持つ構成員となることはできないと。この行為を、すなわち、先ほど資料の中に申し上げておりますけれども、三宝会のメンバーとして内閣の調査室長が加わっているということはいかがですかということ、このことを明確に聞いているんですよ。

○大森政府委員 ただいまお配りいただきました書面の中には、確かに個人会員として杉田和博内閣情報調査室室長なる記載があるようでございますが、これは事実としてそのような個人会員となっているのかどうか、つまびらかにいたしません。
 しかも、この百二条第三項、これは「職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」と規定していることは御指摘のとおりでございますが、この三宝会なるもの、これについては私はきょう初めて知ったわけでございまして、この団体が百二条第三項に言う「その他これらと同様な役割をもつ構成員」となっているかどうかについては、よくわかりませんと答えるのが正確なお答えになろうかと思います。

○田中(慶)委員 法制局長官、あなたにそういう団体の認知をどうのこうの聞いているんじゃない
んですよ。いいですか。公務員法の百二条三項、この解釈を聞いているんです。余計なところに答弁しないでくださいよ。

○松永委員長 では、百二条三項の解釈をお願いします。
 内閣法制局長官。

○大森政府委員 百二条三項の解釈を述べろということでございますが、これはお読みになればおわかりのとおり、「職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」と規定してあるわけでございますから、これ以上に何の解釈を求めておられるのか、私はこれ以上の説明は必要ないと思います。

○田中(慶)委員 長官、いいか。この杉田氏というのは公務員なんですよ。情報室長という、まして内閣の重要な役割をしているんです。日本のいろいろな機密の問題もこの人は知っているわけですから、そういう人がこういう団体に名前を連ねること、これがいいかどうかということを聞いているんですよ、この法律的な解釈の中で。

○大森政府委員 内閣情報調査室なるものが内閣官房に置かれた機関であるということは、これは立場上重々承知しております。その室長である杉田和博氏、その本人についても私は個人的にもよく知っております。
 しかしながら、ここで問題となりますのは、その室長がこの三宝会に個人会員として参加しているかどうか。これは、今お配りいただきましたこの書面によればそのように記載してありますが、事実としてそうなのかどうかということは、これは確かめてみなければわかりませんということが一つでございます。
 それからもう一つは、この三宝会なるものが、この百二条第三項でなってはならないと言われている政党その他の政治的団体であるかどうかということ自体も、この三宝会を十分に、現実はどういう組織であるかということを十分理解しなければ当てはめができない問題でございますから、百二条第三項との関係で問題がないかと言われましても、現在正確な自信を持ったお答えはできないということを申し上げているわけでございます。

○田中(慶)委員 この三宝会なるものが、竹下元総理を最高顧問として、それにかかわる国会議員、それにマスコミ人、企業、こういう形になっているわけであります。ですから、その団体が政治的団体とかどうのこうのの解釈をあなたに聞いているわけじゃなく、そこに内閣情報調査室長の杉田氏が加わっていること、こういうことを私は聞いているんであって、この公務員法百二条との関係、こういう形で、まして国の機密に携わる人間がそういうところにぼんぼん出ていって、そして、この目的に書いてあるでしょう。知らざるところを補い、足らざるところを補って、そしてこの目的遂行のために、こういうことを書いてあるんです。
 ましてや、私人とはいっても国の機密を担当する人間がそういうところに加わって、そしてそれが、この三宝会なるものがどういう団体だかわからないから法の解釈は述べられないという長官では、私はおかしいんじゃないかな。もう一度見解を述べてください。

○松永委員長 田中さん、田中さんね、百二条に該当する団体であるという、あなたは証明をしなければいかぬね。そうした上での質問じゃなければまずいよ。

○田中(慶)委員 冗談じゃないですよ、委員長に見解を聞いているんじゃないよ。

○松永委員長 いや、そこが問題になっているんだよ。

○田中(慶)委員 委員長、それは出過ぎだよ。あなたは公平でやるべきなんだよ。

○松永委員長 いやいや、あなたの質問を聞いてそういうふうに……

○田中(慶)委員 冗談じゃないですよ。あなたがそんな見解を言うんだったら、質問なんてできませんよ。冗談じゃないですよ。

○松永委員長 今の法制局長官の答弁は、あなたの言う……

○田中(慶)委員 委員長に答弁を聞いているんじゃない。

○松永委員長 いやいや、だから、じゃもう一回答弁させても同じ答弁になりますよ。
 じゃどうぞ、法制局長官、もう一回答えてください。そうでなければ質問にならない。

○大森政府委員 たび重なるお尋ねではございますけれども、今まで申し上げましたとおり、情報調査室長杉田和博氏が、いかなる目的で、いかなる資格でこの三宝会の個人会員となっているのか、なっていないのかということにつきましては、十分に調べてみなければ、それを前提としたお答えができないということが一つ。それから、この三宝会なるものが、この百二条第三項で問題としております団体に該当するのかどうかということは、三宝会の実態をなおよく調査してみなければしかと答えることはできない。
 そういう二重の観点から、お尋ねに正面から確定的なお答えをいたしかねるということを申し上げているわけでございまして、これは、たび重なるお尋ねを何度いただきましても、同じ答えしか私としてはいたしかねるということでございます。

○田中(慶)委員 私は、今の日本の政治倫理を、まず金銭的な問題やらあるいは法的な問題を含めて、いろいろな議論をしておかなきゃいかぬだろう。そしてなおかつ、この三宝会という問題の中で、ここに設立趣意書、情報を早く正確にとらえ、行動の指針とするため、立場を異にする各分野の仲間が円滑な人間関係をつくるということと、もう一つは、新鮮なニュースを受け、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、さらに躍進を遂げよう、こういうことであります。
 いいですか。そこには政治家のグループ、マスコミのグループ、まして一流企業の人たちが金を出している、こういうことですよ。当然このことを考えて、単なる仲間意識で、茶飲み友達で集まる、こういうこととは全然違うんですよ。目的は明確にしているんですから。
 そういうことを含めて、総理、総理にお伺いしますけれども、このような、あなたの内閣の一員でありますこの情報調査室長が、極端なことを言えばあなたの命を受けながら、あるいは内閣の機密をしっかりとするこういう人たち、公務員でありながらこのような行動を行っているということについて、あなたの見解は、個人的だから構わないと先ほど述べられているように思いますけれども、少なくても日本の憲法や公務員法の精神に私は反していると思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

○松永委員長 お静かに願います。

○橋本内閣総理大臣 よろしゅうございますか。先ほどから私、この三宝会というものについても、急にこれを見せていただきまして、一読をいたしました感想は申し上げました。
 同時に、内閣情報調査室長がいる、それが問題だという御指摘をいただきました。何か私の指示で入っているかのようなこと、そうではなかったんですね。そうともとれるような御発言がありましたので、ちょっと気になりましたが。
 まず第一に、私は会の存在自体を議員の御質問で初めて知りましたから、この会に行けとも行くなとも、当然のことながら指示をいたしておりません。また、内閣情報調査室長、この職分から、私自身、彼の行動を別に調べようとも思いませんし、また調べてもおりません。彼は、自分の職務を遂行するに必要な情報を入手するため、そしてそれを分析するために努力をいたしております。
 その活動の一環であるのかないのかすら、全く不分明な状況でお尋ねをいただきましたので、先ほどは私は個人であろうという想定で御答弁を申し上げました。そして、その中で行動をしておることについてまで果たして責任を問えるのか。責任を問うということでありますなら、私は、必ずしも委員と意見を一つにはいたしておらないように思います。

○田中(慶)委員 私は総理と、あなたの責任論を
言っているんじゃないんです。政治倫理という問題を含めて、一般国民やあるいは政治家やあるいは公務員や、そういうことを含めて、この公務員倫理や政治倫理の問題は大切な問題ですから申し上げているんです。ですから、あなたに責任をとれなんて一言も言っていません、はっきり申し上げて。
 同じレベルでこういう問題をそれぞれちゃんとしておきませんと、ましてや情報室長という、少なくても国の機密を預かる人間がいろいろなところへ行って、いろいろなことをしゃべってやられたら、日本の国はもちますか。私はそういうことを申し上げているんですよ。(発言する者あり)

○橋本内閣総理大臣 内調室長に限らず、政府の中には、さまざまな情報を持ち、収集したものを秘匿しながら分析し、それをそれぞれの目的に役立てるという職種がございます。
 今、議員の御発言ではありませんでしたが、そういう職にある者がべらべらしゃべったら大変じゃないかというような御意見がございましたが、私は、内調室長たる者が、その職をもって知り得た機密をどこの場所であれ不必要にしゃべりまくるというような人間ではないと信じております。

○田中(慶)委員 いいですか、この目的の中に、新鮮なニュースをもらい、そしてお互いの職場を超え、足らざるところを補完し、さらに飛躍しようということが明確になっているんです。まして総理、いいですか、運輸省の事務次官の経験者、農水省、建設省、通産省、郵政省のそれぞれ事務次官の経験者であるOBの人たちも、すなわち日本のある面での政策機能を全部持っている人たちがここに集まって、民間企業から金を出してもらって、そしてマスコミ各社が全部集まって、そういうことを現実に行っているこの三宝会ですよ。
 ですから私は、そういうことを含めて、悪いのか、こういうことでありますけれども、そういうことに対する政治的な倫理、こういうことを申し上げておるわけであります。
 それじゃ申し上げましょう。三宝会を定期的に主宰するこの福本邦雄氏、先ほど申し上げたように、金屏風でも問題になりました。イトマンの絵画疑惑に関しても、捜査当局より強制捜査を受けている一人です。
 刑事局長、来ておりますか。この疑いというものは、今申し上げたイトマンの絵画疑惑、こういう形でそれぞれ捜査対象になっているようでありますし、捜査当局はこの福本邦雄氏、この人物をどのように認識をされているのかお伺いをしたいと思います。

○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。
 お尋ねのいわゆるイトマン事件のうち、絵画取引に係る事件につきましては、大阪地方検察庁の検察官は、平成三年八月一三日にイトマン株式会社元常務取締役ら二名を商法の特別背任罪で大阪地方裁判所に起訴しているのでございますが、現在公判係属中でございます。
 この問題になりました絵画につきまして、その仕入れ先の一つに御指摘の福本氏が代表取締役をしていた会社が含まれていたという事実はあるようでございますが、いずれにいたしましても、現在公判中の事案に関しまして、審理が行われている状況でございますので、その状況につきまして法務当局として答弁することは差し控えさせていただきたいと存じます。

○田中(慶)委員 総理、いいですか、このような疑惑のある人が主宰して、事務局を務めているんですよ、この三宝会。そして、そこに内閣調査室長がメンバーになっているんです。少なくても、内閣調査室長という立場で情報を収集するという問題から外れているんじゃないでしょうか。
 この情報収集というものがそういう点で、私はある面では、これは何も総理に、あなたの責任とかそういうことを言っているんじゃないんです。こういうことが現実に行われて、世論操作やあるいは世論調査を行われていること、こういうことにあなた自身が危機感を感じませんか。その辺をお伺いしたいと思うんです。

○橋本内閣総理大臣 私は、マスコミの方々がグーループをおつくりになり、それぞれ議論をされる、それが、私自身、いけないと言う種類のことではないと思います。
 それから、その事務局云々というお話まで出てまいりましたけれども、私は、グループがお集まりになった中でだれを事務局になさるかは、そのグループの皆さんの勝手だと思うんです。そのグループがどういう方を選ばれるかということでありましょう。ですから、むしろ私は、議員の御質問を次のように受けとめて、次のようにお答えをいたしたいと思います。
 まず第一に、内調室長がどのような考え方でこの会に本当に参画しているのか否か、そしてそれが業務上必要な行動としてなのか個人としてなのか、そして個人であればどういう理由であるのか、その辺、説明をきちんと一度求めようと思います。

○田中(慶)委員 少なくても国家公務員なんですよ。そういうことを含めて、まして、特に内閣調査室という大変重要な立場にある。こういうところなんで、少なくても私的、公的という問題を超えて、私は、そういう立場の人たち、まして事務局、個人的に私は恨みつらみ、何もありません。しかし、金屏風で有名になったり、イトマンで有名になったり、そして今、なおかつ捜査の対象になっている人たちを事務局にして、それは総理が、その組織がどういうものであろうと関係ないと。
 確かに関係ないかもわかりませんけれども、それぞれ建設省を初めとする、あらゆる日本の公共事業と言われているところの主管のOB、まして事務次官のOBの人たちがそこに全部入る、マスコミ人が入る、そして日本の一流の企業三十五社がそこに全部加わって、お金まで出していて、そしてそこから情報を収集しようと。先ほどの目的、お互いに足らざるところを補い、そして飛躍しよう、こういうことが明確になっているものを、総理は、その調査室の個人そのものがどういう立場で出ているかわからないと。
 それでは、最後に委員長、お願いしますけれども、今かみ合っておりませんから、先ほど総理並びに法制局長官に、この三宝会も含めながら、あるいはこの問題について調査をしていただけますか。

○橋本内閣総理大臣 かみ合っていないと言うけれども、最後のところ、かみ合ったと思うんです、私。法制局の分まで私は責任を負っていません。私が自分で申し上げたことです。内調室長を呼んで私は聞いてみるということを申し上げました。この点はかみ合っていると思います。調査と言われるんであれば、私は調査という言葉をお約束するのではございません。
 今初めてこれを拝見し、そして、すべてこれを事実としてお尋ねがあったことでありますから、少なくとも私は内調室長に、どういう会なのか、どういうつもりなのか、そこのところはただしてみようと思っております。

○田中(慶)委員 先ほど法制局長官が、調査をしないとわかりませんと言ったんでしょう。長官、そうじやありませんか。もう一度言ってください。

○大森政府委員 私は、先ほど、調査をいたしますということを前提とした答弁をしたつもりはございません。
 先ほど申しましたのは、要するに、情報調査室長がいかなる目的で、いかなる立場でこの三宝会の個人会員になっているのか、なっていないのかということをわからないから、それを前提としてお尋ねに対してお答えすることはできませんと申し上げたわけでございまして、私の立場で、そのような調査をするという立場ではございませんので、調査をいたしますというお答えはいたしかねます。

○田中(慶)委員 質問をちょっとゆがめないでください。私は、あなたが調査しないとわからないと言うから、委員長に、少なくても発言を求め
て、この調査をお願いしたいということを申し上げているんですよ。いいですか。委員長に言っているんです。

○松永委員長 それでは、今の申し出の件は理事会で協議をいたします。

○田中(慶)委員 少なくても、この三宝会というものは、先ほど来申し上げているようにマスコミの第一線の人物がたくさん集まっている。そしてまた、その人たちが、それぞれ日本に対し、あるいはまた国民に対して影響力を持っているんです。また、今申し上げたように、内閣の重要な情報にかかわる人たちが参加をしてきている。企業からそれぞれの活動費を出させている。
 これはどうしても特定の政治グループの人たちの情報交換の場、あるいはまた、お互いに研さんしよう、足りないところを補おう、こんなことを言っているわけでありますから、わかりやすく言うと、お互いに利益を求め、あるいはそれぞれ影響力を高めよう、こんなふうにしかとられないわけです。日本を代表するジャーナリスト、そういう人たちがここに参加をして、そして日本がこれからどのような形で、この日本の将来を憂える気持ちはわかりますけれども、そこには利益関係の、事務次官のOBや企業各社が全部加わって、そして日本の将来を憂えていただくことは結構ですけれども、目的が違うんですよ。
 そういう問題を皆さん方に明確に知っていていただきたいのは、ここに集まって、そして日本のこれからの、あらゆる政局の問題も話されているということを聞いているから、私はそんなことを含めて、我々が知らない、総理初めみんな知らないところでいろんなことが行われている、これが現実に、政治倫理としてこういうことが本当にまかり通っていいんだろうか、そんな憂いもあります。
 そして、まして国民の公僕である公務員の倫理という問題がここに問われているわけでありまして、こういうことを含めて考えたときに、私は、こういう問題をもっと大いに議論をしながら、少なくても、お金だけではない、こういうところで行われているこういう行為そのものも我々はよく認識をしながら、こういうところに利用されるようなことのないようにしなければいけないだろう、こんなふうに思っております。