首相“理解を得られず”陳謝
(NHK 5月28日 23時56分)


鳩山総理大臣は、アメリカ軍普天間基地の移設問題の政府方針を閣議決定したことを受けて、記者会見し、「沖縄県民の理解を得られず、社民党の福島党首を罷免せざるをえない事態に立ち至った。こうした状況のもとで、閣議決定に至ったことはまことに申し訳ない」と陳謝したうえで、「今後もこの問題の全面的な解決に、命がけで取り組んでいく」と述べました。

この中で、鳩山総理大臣は、閣議決定した政府方針に関連して、「現時点でも、最も大切な沖縄県民の理解を得られるには至っていない。また、連立のパートナーである社民党の福島党首にも理解をいただけず、罷免せざるをえない事態に立ち至った。こうした状況のもとで、閣議決定に至ったことは、まことに申し訳ない思いでいっぱいだ」と述べました。さらに、鳩山総理大臣は「検討を重ねる過程で、沖縄県民の皆さんや、徳之島の住民の方に、多大なご心配や不安をあおる結果になり、おわび申し上げる」と陳謝しました。そのうえで、鳩山総理大臣は「きょう決定した政府案がなければ、基地周辺の住民の危険性の除去や、沖縄県民の負担の軽減のさらなる前進はかなわないと確信している。この一歩を出発点に、今後も基地問題に取り組み続けることが、みずからの使命だ。また、これまで申し上げてた、地元、アメリカ、連立与党の3者の理解が得られるよう今後も全力を尽くす」と述べ、負担軽減などの取り組みを続け、理解を得たいという考えを示しました。そして、鳩山総理大臣は「本日、私は厳しい決断をした。今後も、この問題の全面的な解決に向けて、命がけで取り組んでいく」と述べました。また、鳩山総理大臣は、普天間基地の移設のめどについて、「沖縄県民や名護市民の理解を深めていくことに誠心誠意、心を尽くしていきたい。現行案の移設期限である西暦2014年までに、できるかぎり完了できるようなスケジュール観を持って進めていきたい」と述べました。さらに、鳩山総理大臣は「沖縄の負担軽減のためには、全国の皆さんの理解と協力が何よりも大切だ。沖縄の痛みをわが身のことと考えて協力していただきたい」と述べました。また、鳩山総理大臣は、福島大臣を罷免した理由について、「根本的な部分で基地問題に対する考え方の違いがあった。今回、日米が名護市辺野古で合意した以上、政権の責任において守らなければならないことは言うまでもなく、どのような文書でも署名がなされないのであれば、罷免せざるをえないという状況になった」と述べました。そのうえで、鳩山総理大臣は、社民党との関係について、「福島大臣には『できれば連立の中で、これからもご協力を願いたい』と伝えた。福島氏からは、『連立を維持するのは、そう簡単ではないかもしれない』という話があったが、私としては連立を維持していきたい。社民党が望むのであれば、新たな閣僚が閣内に入ってもらうことも、当然、視野にあるが、それは、社民党自身が議論して決めることだ」と述べました。そして、鳩山総理大臣は「参議院選挙では、普天間基地の問題が大きなテーマになることはまちがいないと思っており、しっかりと戦っていかなければならない。民主党や連立与党の考え方に国民が理解を深めてもらうよう最善を尽くすしかない。そのことによって、責任を果たしていきたい」と述べました。一方、鳩山総理大臣は「わたしは50年、100年かかっても、国の平和は自分たちで守れるようにしなければならないと思っており、自衛隊も含め、今から考えていく必要がある。さらに日本の安全保障をトータルで考えていくなかで、憲法を変える必要があるのか、このままでいいのかは議論されなければならない」と述べました。また、鳩山総理大臣は、これまでの政権運営について、「政治主導を掲げ、普天間に限らず、さまざまなテーマで努力してきたが、必ずしも十分機能してこなかった部分があると思うし、政治家が『全部自分たちがやる』という発想で、片意地を張りすぎてしまい、優秀な官僚の知識や知恵を十分使わずに行動してきたきらいがあるかもしれない」と述べました。



社民党、参院選は協力維持も 連立是非は30日判断

(日経電子版 2010/5/28 23:28 )消費者・少子化担当相を罷免された社民党の福島瑞穂党首は28日、党本部で記者会見し、連立与党からの離脱について、全国の都道府県連合の幹事長が集まる30日の会議を経て判断する考えを表明した。社民党は声明を発表し「連立のあり方について重大な決定をせざるを得ない。30日の会議で全党的な議論を行い、誤りのない最終判断を下したい」と連立離脱の可能性を示唆した。
社民党内では連立離脱論が強まっているが、7月の参院選での与党3党の協力関係は維持したい考え。重野安正幹事長は28日、民主党の小沢一郎幹事長に電話し「選挙はよろしくお願いします」と頼み、小沢氏も「協力していこう」と応じた。

 福島氏は記者会見で、米軍普天間基地移設に関する政府の対処方針を「私は激しく失望している」と批判。「鳩山由紀夫首相は『辺野古の海を埋め立てるのは自然への冒涜(ぼうとく)だ』と言った。言葉に責任を持つ政治をやらなければならない」とも語った。


首相、小沢氏と会っていた 27日夜、福島氏処遇協議か

(asahi.com 2010年5月29日1時26分)

鳩山由紀夫首相が27日夜、民主党の小沢一郎幹事長と首相公邸で会談していたことがわかった。消費者担当相だった社民党の福島瑞穂党首が普天間問題で政府方針に反対姿勢を強めていた局面で、福島氏の処遇を協議したものとみられる。

 福島氏は政府方針を閣議に諮るなら署名を拒否する意向を表明しており、首相と小沢氏は、福島氏を更迭した場合に社民党が連立離脱するかどうかなど、政権への影響について意見交換した模様だ。



民主党、支持離れ懸念…福島消費者相罷免で

(読売新聞 2010年5月28日23時37分 )


 沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、鳩山首相が28日、社民党党首の福島消費者相を罷免したことについて、民主党には懸念が広がっている。

 参院選の選挙戦略の練り直しが迫られるほか、混乱を招いた首相の支持がさらに低下する可能性があるからだ。連立重視の小沢幹事長と首相の距離が広がるのではないか、との見方も出ている。

 「しげちゃん、誠に申し訳ない。だけど、今までのよしみもあるし、選挙はお願いします」

 小沢氏は28日夜、社民党の重野幹事長に電話でこう述べ、福島氏が罷免となった事態をわびるとともに、参院選での選挙協力は続けたいとの意向を示した。

 小沢氏は今回の騒動について、周辺に「閣僚人事は政府の話だ」と話すなど、無関心を装ってきた。しかし、28日には国会内の幹事長室で輿石東参院議員会長と会談、関係者と電話で社民党の情勢について協議するなど、水面下で調整に動いた。表だって動き、「内閣に小沢氏が手を突っ込んだ」との批判を浴びるのを回避したかったようだ。

 党内では、「辺野古回帰」や罷免という決着に、小沢氏はいらだちを募らせている、という見方が出ている。小沢氏周辺は「『県外移設』は3党連立の時に約束したようなものだし、首相も沖縄で『県外』と言った。そもそも5月末という期限を設ける必要もなく、首相の独り相撲で党が信頼を失った」と首相を批判する。

 小沢氏周辺に限らず、党内では首相の対応に不満の声がくすぶっている。

 民主党幹部は、社民党の連立離脱を回避するよう首相に求めてきた。社民党の連立離脱は政権基盤を不安定にするうえ、参院選での社民党との選挙協力が不透明になるからだ。25日には山岡賢次国会対策委員長、26日には輿石氏がそれぞれ首相官邸を訪ね、首相に社民党との連立の重要性を説いたが、結局、首相は受け入れなかった。

 党副幹事長の一人は28日、「福島氏の主張には一理ある。ついこの間まで首相がこだわっていたことを言って罷免されるのだから、首相の方が分が悪い」と語った。平田健二参院国会対策委員長も28日の記者会見で、「辺野古回帰」について、「首相が説明をする必要がある」と首相の説明責任の必要性を強調した。