●【民主党代表選】菅氏選出へ 幹事長に岡田・仙谷氏浮上

(産経ニュース  2010.6.4 01:30)

民主党代表選出馬会見を終えた菅直人副総理=3日午後、東京・永田町の民主党本部(鈴木健児撮影) 鳩山由紀夫首相(党代表)の退陣表明に伴う民主党代表選で、菅直人副総理・財務相(63)=東京18区=の当選が確実な情勢となった。代表選は4日投票される。菅氏と樽床(たるとこ)伸二衆院環境委員長(50)=大阪12区=が3日、それぞれ記者会見で正式に立候補を表明した。党内最大勢力の小沢一郎幹事長のグループが同日夜、自主投票を決めたため、他の党内各グループの支持を取り付けた菅氏の勝利が確定的。菅氏は当選しても、小沢氏を主要ポストで起用しない考えを示している。

 菅氏は会見で、小沢氏の「政治とカネ」の問題に触れ、「国民の不信を招いたのだから、小沢幹事長はしばらく静かにした方が、ご本人、民主党、日本の政治にとっていいのではないか」と述べた。

 さらに、「小沢幹事長には昨日、今日の段階でも、ごあいさつにうかがいたいと申し上げているが、いつであればいいとのご連絡をいただいておりません」と述べ、小沢氏への不信感をあらわにした。

幹事長辞任が決まっている小沢氏が率いる民主党の現執行部は、4日午前の両院議員総会で新代表を選出後、同日中に国会での首相指名選挙と組閣を終える日程を予定している。

 菅氏は夏の参院選に「本格政権」の態勢で臨むため閣僚、党執行部とも大幅入れ替えを想定している。この人選を慎重に進めるために、菅陣営には、4日に首相指名選挙と宮中での首相の親任式は行うが、組閣は週明けの7日以降がよいとの意見がある。

 菅氏は会見で、16日までの国会会期について「このままの日程でいけるのか、延ばさないといけないのか、(新首相になれば)判断しなければならない」と述べ、延長があり得るとの認識を示した。

 「菅政権」の人事では、幹事長に岡田克也外相、仙谷由人国家戦略担当相の名が挙がっている。官房長官には枝野幸男行政刷新担当相が浮上している。

 一方、出馬表明した樽床氏は、三井弁雄(わきお)国対委員長代理や松本剛明衆院議院運営委員長ら小沢氏に近い中堅・若手の一部に支援されている。

 だが、小沢グループの「一新会」は3日夜、自主投票を決定。同じく若手の「一新会倶楽部」も事実上の自主投票となった。一新会では、樽床氏に加えて菅氏や原口一博総務相、田中真紀子元外相を推す声が出て紛糾し、意見集約できなかった。小沢氏は3日夜、衆院赤坂宿舎で原口氏と会談したとされるが、小沢グループは原口氏擁立には至らなかった。

菅氏の選対は同夜も民主党国会議員(423人)への働きかけを続けた。同選対幹部は、「厳しめで○(菅支持)が236人、×が73人、△(未定)が33人だ」と自信をみせた。別の選対幹部は「260人の支持は確保した」と述べた。

 菅氏は3日夜、都内のホテルに、仙谷国家戦略相、枝野行政刷新相とこもって政権構想や演説原稿を練った。

 前原誠司国土交通相、野田佳彦財務副大臣、横路孝弘衆院議長、旧民社党系の各グループは、菅氏支持を決めた。岡田氏は菅氏との会談で「権力の二重構造は好ましくない」と、小沢氏の影響力排除を求めた。

 代表選の立候補受け付けは4日午前9時から行われ、11時からの両院議員総会で候補者の演説後、投票が行われ、昼過ぎには新代表が決まる。



●「菅首相」の公算=4日に民主代表選、樽床氏伸びず-小沢グループは自主投票
 (時事通信 2010/06/04-01:50)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol


 鳩山由紀夫首相の後継を選ぶ民主党代表選は3日、菅直人副総理兼財務相(63)と樽床伸二衆院環境委員長(50)の一騎打ちとなる構図が固まった。菅氏が幅広い支持を集める中、最大勢力の小沢一郎幹事長を支えるグループは自主投票を決定。小沢グループの結束が乱れることで、菅氏の優位は動かないとの見方が強まった。代表選は4日午前に告示され、党所属国会議員423人の投票で昼すぎに新代表を選出する。
 新代表は同日午後の衆参両院本会議で第94代首相に指名され、夜にも新内閣が発足する運びだ。
 菅氏は3日夜、党本部で記者会見し、正式に出馬を表明。「これぞ本来の民主党と言える民主党をつくらなければならない」と述べ、党改革に取り組む決意を示した。小沢氏の処遇に関しては「しばらく静かにしていただいた方がいい」と、要職に起用する考えのないことを明らかにした。
 樽床氏も会見し、「世界のリーダーは新しい世代に若返りしている」と述べ、世代交代の必要性を強調した。小沢氏との関係については「すべて親小沢、反小沢の二極に分ける考え方には立っていない」と述べた。会見に先立ち、松本剛明衆院議院運営委員長、三井辨雄国対委員長代理ら小沢氏に近い中堅・若手約40人が集まり、樽床氏の擁立を決めた。
 菅氏は、小沢氏と距離を置く議員に支持を広げており、前原誠司国土交通相と野田佳彦財務副大臣をそれぞれ中心とする議員グループは3日、相次ぎ菅氏への支援を決定した。岡田克也外相や玄葉光一郎衆院財務金融委員長は、「権力の二重構造」の是正などを条件に支持を表明。横路孝弘衆院議長を中心とする旧社会党系グループも、菅氏支持を決めた。 
 菅氏側近は同日夜、「勝てるだろう」と自信を示した。同氏の陣営は、小沢色が強い衆院当選1回議員の切り崩しも目指しており、両院総会に先立つ4日午前に新人限定の決起集会を開く予定だ。
 一方、奥村展三総務委員長、松木謙公国対筆頭副委員長ら小沢グループの中核メンバー約30人が3日夜、国会近くに集まり、対応を協議。樽床氏も顔を出し、支援を要請したが、菅氏を推す声や独自候補擁立を求める意見も出てまとまらず、自主投票となった。小沢氏周辺は「流れは菅氏だ」と劣勢を認めた。
 羽田孜元首相のグループも同日午後、自主投票を決めた。
 代表選の立候補受け付けは4日午前9時から1時間。同11時からの両院議員総会で、候補者による政見演説の後、投票を行い、昼すぎに新代表が決まる。新代表は直ちに幹事長ら党役員を指名し、国民新党との連立協議に臨む見通しだ。