●小沢氏 次の代表選に別候補を

(NHKニュース 6月4日 21時10分) http://bit.ly/dzbGTn

民主党の小沢幹事長は、みずからに近い議員グループの会合に出席し、民主党の代表選挙で菅新総理大臣が新たな代表に選出されたことについて、「樽床氏の獲得した129票はわれわれの団結の証しだ」と述べたうえで、9月に行われる見通しの次の代表選挙に、菅新総理大臣とは別の候補者の擁立を目指す考えを示しました。

4日に行われた民主党の代表選挙で、小沢幹事長に近いグループは自主投票としましたが、幹部の間では樽床衆議院環境委員長を支援する動きが出ていました。これについて、小沢幹事長は、グループが4日夜に開いた会合に出席してあいさつし、「皆さんには、私自身が抱えている問題もあって、私自身がこの戦いに参加することができず、申し訳なかったが、樽床氏が負けたからといって129票という数字は決して恥ずかしい数字ではなく、われわれの団結の証しだ」と述べました。そのうえで、小沢氏は「皆さんの中には、色々な人間関係や、われわれの仲間から候補者が出なかったこともあって、同じ投票行動を取ることができなかった人もいると聞くが、次に同じような戦いがあったとき、もう一度団結すれば過半数を制することは決して不可能ではない」と述べ、9月に行われる見通しの次の代表選挙に、菅新総理大臣とは別の候補者の擁立を目指す考えを示しました。



●進む「小沢外し」…「組閣本部」は3日から始動  


(読売新聞2010年6月5日03時08分) http://bit.ly/aQmD7e


 

菅新首相(民主党代表)は内閣・党役員人事で小沢幹事長と距離を置く議員を要職に充てる方針だ。

 「脱小沢」の動きに対し、党内では警戒や反発も広がっている。

 4日、国会から民主党本部まで慌ただしく動き回った菅氏は、その日程の合間を縫うように、官房長官への起用が固まった仙谷国家戦略相、党幹事長に内定した枝野行政刷新相との3人での会談を重ねた。

 「完全に3人でやっている。何も入ってこない」

 中堅議員は、人事や党運営の情報が漏れてこないことを恨めしそうに嘆いた。

 菅氏は「人事は白紙」と強調、週明けに先送りしたが、3日夜には東京都内のホテルで仙谷、枝野両氏とひそかに会談、「腹案」を伝えていた。3氏による事実上の「組閣本部」は既に始動していたのだ。

 3氏は1996年に旧民主党が結党された時の「オリジナル民主党」メンバーだ。菅氏は「官房長官、幹事長、国会対策委員長がしっかりしていれば長期政権が狙える」と周囲に語っていて、政権中枢に仙谷氏らを据えることで「民主党らしさ」を取り戻し、内閣支持率回復につなげたい考えのようだ。この「新トロイカ」が主導する新政権の特徴が「脱小沢」になるとの見通しに反論する声は少ない。仙谷、枝野両氏とも、「反小沢」の筆頭格。菅氏は「ポスト鳩山」への意識からか、小沢氏との表だった対立は避けてきたが、新政権の人事では「反小沢」「非小沢」の登用で「小沢外し」に走るとの見方が専らだ。小沢氏が自由党を解党して民主党と合併したのは2003年。この時の代表は菅氏だった。その後、小沢氏が権勢を誇るようになり、「オリジナルメンバー」には、「庇(ひさし)を貸して母屋を取られた」との不満が募った。

 小沢氏は自らの資金管理団体「陸山会」を巡る事件で、近く、検察審査会の2度目の議決を受ける。再び「起訴相当」と判断される場合に備え、「今から小沢氏と一線を画していた方が得策」(菅氏周辺)との判断もあるようだ。「小沢氏の側にも検察審査会の心証を意識して、当面は静かにする動機がある」と見て、今が「脱小沢」の好機だとする分析もある。

 仙谷、枝野両氏は、前原国土交通相が中心の「凌雲会」に所属している。政策や政治理念でも、菅氏とは微妙な距離があるとも指摘されている。ただ、菅氏自身は「自分が首相になったら官房長官は仙谷さん」と、早い段階で決めていたフシがある。菅氏が理想とする官房長官像は「中曽根内閣の後藤田正晴官房長官」。警察官僚出身で、ペルシャ湾への掃海艇派遣を主張した中曽根首相に「閣議でサインしない」と抵抗した姿に、弁護士で、菅氏との激しい議論も辞さない仙谷氏を重ねているのだ。

 一方、枝野氏は政治の幅を広げるためにも「政策より党務をやりたい」と国対や党内調整に意欲を示していたという。幹事長の要職は望外とも言えるが、菅氏は「仙谷―枝野」ラインで、絵に描いた餅と化した「政府・与党一元化」を再構築する狙いもあるようだ。(政治部 円入哲也)



●民主幹事長に枝野氏起用方針 蓮舫氏の入閣も浮上


(朝日新聞 2010年6月5日3時2分) http://bit.ly/8X116F


衆院本会議で首相に指名され、一礼する民主党の菅直人代表。右手前は拍手する鳩山由紀夫首相=4日午後2時36分、国会内、川村直子撮影
 菅直人・副総理兼財務相(63)が4日、衆参両院の本会議で第94代首相に指名された。菅氏は新たな閣僚、党役員人事に着手し、官房長官に仙谷由人・国家戦略相の起用を決めた。党幹事長には枝野幸男・行政刷新相を充てる方針だ。正式な組閣は8日、党人事は7日にそれぞれ行う。菅氏は国民新党代表の亀井静香金融相と会談し、連立政権の継続を確認した。国民新党が求める郵政改革法案の今国会成立のため、16日までの会期を2週間程度延長する案が政権内で浮上している。その場合、鳩山政権が固めた7月11日投開票の参院選日程もずれ込む。

 閣僚人事では、菅氏側近で鳩山由紀夫首相の補佐官を務めた荒井聡氏の入閣が固まった。国家戦略相か農林水産相への起用が検討されている。野田佳彦財務副大臣は財務相へ昇格させる方向だ。事業仕分けで知名度を上げた蓮舫参院議員の消費者・少子化担当相への起用も浮上している。いずれも小沢一郎幹事長とは距離を置いてきた議員だ。

 さらに菅新首相は、党内で「非小沢」の代表格の仙谷、枝野両氏を、それぞれ内閣と党の要に起用することで、小沢氏の影響力を排除する姿勢を打ち出したい考えだ。参院選後の連立組み替えも視野に、みんなの党などから抵抗感の少ない両氏を、今後の連携の窓口にすることも想定していると見られる。

 菅氏は3日の代表選の立候補会見で、小沢氏に対して「しばらくは静かにして頂いた方がいい」と明言しており、今回の人事構想は、こうした考えを反映したものといえる。

 ただ、菅氏の姿勢には、小沢氏に近い議員グループが強く反発している。

党の資金や選挙対策を仕切る幹事長への枝野氏起用について、「そんな露骨な人事をするのか」(小沢氏側近議員の一人)といった不満が噴出。小沢氏のグループが人事への反発から「反菅」で結束すれば、政権基盤はたちまち不安定化しかねない。

 一方で足元の菅氏のグループからも、「人事構想を(前原誠司国土交通相のグループの)仙谷、枝野両氏だけで進めている」といった反発が噴出している。

 こうした状況を受けて、菅氏は4日の記者会見で「多少の時間をいただき、官邸、内閣の一体性、党の全員参加を目標に、しっかりした体制をつくりたい」と語った。民主党内には当初、4日に党人事と組閣を終える案があったが、菅氏は7日に両院議員総会を開いて党役員人事を決め、8日に組閣して菅内閣を正式に発足させる方針だ。

 ただ、菅氏に近い議員は「党内の反発を押し切るなら、一気に人事を決める手もあった」と語り、菅氏が人事を先送りしたことで、主導権を発揮できなくなる事態を懸念している。一度内定した人事を差し替えるような事態になれば、早くも指導力に疑問符がつくことになる。

 また、菅新首相が「全員参加」を強調したことで、党内の各グループの猟官運動が激しさを増し、調整が困難になる可能性もある。



●菅新首相、郵政改革法案が最初の関門 国会延長論も浮上


 (朝日新聞 2010年6月5日3時2分) http://bit.ly/dpLtmS


菅直人新首相にとって待ったなしの課題は、最終盤の国会をどう乗り切るかだ。連立を継続する国民新党が成立を強く求める郵政改革法案の取り扱いを誤れば、最大の正念場の参院選を前に政権が失速しかねない。

 菅氏は党代表選出後、国民新党の亀井静香代表と会談した。同法案の「速やかな成立を期す」こと、民主、国民新、社民で合意した3党連立合意を「引き継ぐものとする」ことで合意し、連立維持を確認した。亀井氏は「今国会で成立させて参院選を堂々と戦う」と満足げに語った。

 しかし、16日までの会期内に同法案を成立させることは困難だ。菅氏は4日の会見で「今国会で成立を期すことに全力を挙げていきたい」と、亀井氏に同調した。ただ、その一方で「基本は会期で終わるのが普通だが、新体制ができた中で議論が必要だ」と、延長に含みを持たせた。

 与党内では2週間程度延長した上で、参院選を7月25日投開票とする案が浮上している。ただ、7月11日で固まっている日程を動かすことは、選挙準備を進めてきた参院側の反発を招く可能性がある。

 一方、菅氏は会見で、小沢一郎幹事長が休止させていた党政策調査会を復活する考えを表明した。「政調会長が閣内の役職を兼ねることを検討してもいい」と述べ、政調会長を閣僚に起用して、同党が掲げる「政策決定の一元化」を強める考えを示した。

 民主党は昨年9月以降、党所属議員からの政策提言は、各省政務三役が参加する政策会議で吸い上げる一方、自治体や業界団体などからの陳情は、窓口を幹事長室に一元化して政府に伝える仕組みを整えた。

 だが、各省政策会議には権限が与えられず、形骸(けいがい)化。陳情改革は、幹事長室への権限集中を招いた。このため多くの議員に「政策に関与できない」という不満が強まり、党内から政調復活を求める声が高まっていた。