民主党は菅内閣でもっと官僚主導になる (日刊ゲンダイ2010/6/7)


新内閣の顔ぶれを見て、心配になるのは、民主党の一丁目一番地、政治主導がうまくいくのか、ということだ。
菅新首相からして、財務相になったとたん、消費税増税を言い出し、財務省の幹部から「とても勉強している」と褒められたというのだ。財務官僚のエラソーな「物言い」にはカチンとくるが、こうした“褒め殺し”は彼らのオルグの常套手段だ。表面的には菅も取り込まれているように見えるのだ。
「仙谷官房長官は国家戦略担当相として、公務員制度改革に携わった。しかし、その国会答弁で、役人の給与引き下げに否定的な見解を示した。民主党のマニフェストには人件費の2割削減がうたわれているのに、人も給与も減らさず、どうやって、達成するのでしょう。公務員改革に前向きとは思えません」(元公務員制度改革事務局企画官で現・政策研究大学院客員准教授の原英史氏)
そのほかの閣僚もほとんどが再任。顔ぶれを見回しても、役人と闘っている大臣なんていやしないのだ。
「公務員のやる気が失われると、国力がそがれると発言した直嶋経産相の再任に、役人たちは大歓迎。北沢防衛相も普天間の海外、県外移設を早々と潰しに回り、官僚は『よく話を聞いてくれる』と喜んでいました。前原大臣も八ツ場ダム凍結や羽田空港のハブ化など、役人が卒倒しそうなことを次々に打ち出したが、何ひとつ実現していない。上手に役人がコントロールしているからでしょう」(霞が関事情通)
長妻厚労大臣もすっかり、骨抜きにされているし、心配になる大臣ばかりなのだ。
菅は政権交代のはるか前から事務次官会議の廃止を打ち出すなど、脱官僚のパイオニア的存在だっただけに、期待が失望に変わったら、鳩山政権の二の舞いになる。