小沢側が嫌う枝野幹事長起用の吉凶

(日刊ゲンダイ2010/6/7)
小沢嫌いの大マスコミは、反小沢の急先鋒・枝野の幹事長起用を好意的に報じている。敵の敵は味方だ。おかげでミーハーな無党派層が振り向き、菅への期待を押し上げる効果もあった。それはそれでプラスだが、不安も尽きない。
枝野は政策通としてテレビでも顔が売れている政治家だが、鳩山政権のスタート時は無役だった。藤井財務相(当時)の辞任による玉突きで、ようやく大臣になったものの、ポストは“城なし大名”のような行政刷新相。ライバルの前原が射止めた国交相と比べると軽量で、仕事も少なかった。
それが今回は幹事長である。菅の次も狙える好位置だ。野心マンマンだろうが、心配だ。
政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「枝野さんは、旧さきがけ時代に菅さんの下で活躍しています。薬害エイズの問題も、被害者との打ち合わせや役人との交渉で汗を流していたのは枝野さんでした。菅さんにとって枝野さんは、非常に信頼がおける政治家なのです。しかし、党務の経験は、ほとんどありません。年齢も46歳と若い。年齢と経験がものをいう幹事長としては、物足りない。強力なリーダーシップを発揮した小沢さんの後だけに、なおさら線が細く感じます」
それでも参院選は、すでに小沢がレールを敷き、候補者もそろえてある。ボロを出さずに乗り切れるかもしれない。
問題は、その先だ。
「民主党が参院選で単独過半数に届かなければ、連立の組み替えが必要になる。そのときに、ほかの政党とうまく話をつけられるのか。寝業のひとつもできなければ、国民新党の亀井代表と渡り合えないし、公明党とのパイプがないのも気がかりです。みんなの党の渡辺代表ともソリが合わないともっぱら。いまから選挙後が思いやられます」(民主党事情通)
その難局を乗り切れば、枝野もひと皮むけるのだが……。