再任11人の大臣たちは官僚の掌中にある (日刊ゲンダイ2010/6/8)

菅新内閣は、11人の大臣が再任することになった。
「前内閣で目立った実績もない大臣ばかり。官僚とケンカするような、突破力のある大臣はひとりもいません。それどころか、官僚の手のひらで転がされて、言いなりになってきた。その象徴が普天間問題です」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
普天間移設をめぐっては、官邸が検討した候補地を外務官僚や防衛官僚がことごとく潰しにかかった。しかも、本来なら首相を支え、移設実現のために汗をかくべき北沢防衛相や岡田外相も官僚に丸め込まれた。
内閣の一員でありながら、先頭に立って移設に異を唱え、首相の足を引っ張ったのだから、どうかしている。
「官僚の手に落ちたのは、国家戦略担当だった仙谷大臣も同じ。公務員制度改革に乗り気でなく、官僚寄りの発言を繰り返していた」(民主党関係者)
政治評論家の本澤二郎氏もこう言う。
「外相や国交相はじめ官僚と手を握った大臣が居座ってしまった。日本をダメにしたのは、明治以来続く“官僚政治”です。本来は行政官に過ぎない官僚が、立法権や、司法の人事権まで牛耳っている。この官僚支配にメスを入れるというから、国民は拍手喝采し、政権交代を実現させた。『脱官僚』は、いわば民主党のアイデンティティー、至上命題ですよ。ここで踏ん張って官僚支配を打破できなければ、日本は破滅に向かって一直線。国民の失望も計り知れません」
その通りだ。重要なのは「脱小沢」より、まずは「脱官僚」だろう。それなのに、菅新総理からして財務官僚に歓迎されている始末。薬害エイズ問題で厚生官僚とやり合った威勢の良さは、見る影もないから心配になる。
国民から託された「脱官僚」という使命を忘れれば、今度こそ民主党は完全に見放されてしまう。