検察:幹部一変!今度は「親民主」シフト (日刊ゲンダイ2010/6/12)


検事総長に「小沢起訴」潰した大林氏

政府がきのう(11日)の閣議で検察のトップ人事を決定した。すでに報じられていた通り、定年を迎えて退官する樋渡利秋検事総長(64)の後任には、大林宏東京高検検事長(62)が充てられる。その後釜には、笠間治雄広島高検検事長(62)の就任が決まった。
近ごろの検察の暴走は目に余るが、民主党政権にとってこの人事はどうなのか。
「典型的な“赤レンガ組”の大林氏は、小沢起訴に反対し、潰した人物として有名です。また、笠間氏は『捜査の神様』といわれるスゴ腕の検事で、最高検次長検事だったとき、現場から上がってきた西松事件に反対したといわれている。証拠第一主義だから『立件は難しい』と判断したのでしょう。だが、笠間氏が昨年1月に広島高検検事長に就任して東京を離れると、『鬼の居ぬ間に』とばかりに強硬派が突っ走り、昨年3月の西松事件に至った。これを機に検察の暴走がエスカレートしたのは周知の通りです。今回、検察組織のナンバー1と2が“現実派”に変わります」(司法関係者)
西松事件にゴーサインを出した東京地検のトップも異動する。地検検事正の後任とみられているのが、鈴木和弘最高検刑事部長である。
「鈴木氏は穏やかな人物として知られています。地検ナンバー2の次席検事に小沢捜査で検察リークの中心的役割を担った強硬派の大鶴基成氏が就いたから、どうなるかと思ったが、この布陣では彼もムチャはできませんよ」(前出の関係者)
そして、最も気になるのは、暴走捜査を主導した東京地検の佐久間達哉特捜部長の処遇だ。
「来月までには異動するでしょう。左遷? とんでもない、東京を離れ、どこかの地検で検事正になるだろうから栄転です。一連の小沢捜査の責任を取らされて左遷されたのは、西松事件以来、現場で指揮した直告1班の元副部長・吉田正喜氏だけ。分かりやすいトカゲのシッポ切り人事です」(司法ジャーナリスト)

かくして、強硬派は影を潜め、民主党政権との対立は徐々に解消されていくことになりそうだ。