韓国哨戒艦沈没事件、どうなってんの?

(日刊ゲンダイ2010/6/11)

米国国防省も逃げを打ち始めた

◇急に「自己説」「衝突説」に言及
案の定、韓国の哨戒艦「天安」沈没事故の雲行きが怪しくなってきた。
韓国と歩調を合わせ、これまで「北朝鮮犯行説」をとってきた米国が、なんと“逃げ”を打ち始めたのだ。
日本のメディアはほとんど伝えていないが、AP通信が5日(現地時間)、「天安事件」に関してこんな記事を配信した。
「匿名の米国防総省当局者が『天安事件は意図された攻撃というよりも、北朝鮮のハネ上がり分子の仕業か、単なる事故、もしくは訓練の不手際で起きた可能性がある』と語った」
ビックリではないか。天安事件当時、韓国海軍と共同訓練をしていた米軍の元締の当局者が、「事故説」や「衝突説」を口にしたのだ。AP通信の配信だからウソではあるまい。
米政府の豹変の裏には、ロシアや中国の影響がある。先月31日から韓国で天安沈没事件を調査していたロシアの調査チームが、具体的反証を挙げながら、北朝鮮魚雷説に疑問を投げかけ、ロシアの専門家は「韓国海軍はごくつぶしか」とまで語ったのだ。
ごくつぶしとは、こういうことだ。沈没事件当時、韓国海軍は米軍と一緒になって、近くの海域で対潜水艦訓練をしていた。それなのに、北朝鮮の潜水艦に入り込まれ、魚雷まで撃たれたとすれば、マヌケのごくつぶしというわけである。このロシアチームの見解に、中国も追随し、共同歩調だ。さらに、韓国国内でも「北の魚雷説は捏造」「座礁か衝突か」の見方が広まり、韓国の李明博与党は地方選で惨敗した。そんな流れを受け、米政府も軌道修正を始めたというわけだ。
この調子だと、国連安保理で北朝鮮制裁の決議は出そうにない。いまや世界でも、韓国政府の「北朝鮮魚雷説」を支持する国は少数派になっている。
日本の菅新政権は、あまり前のめりにならない方が賢明だ。