財務官僚の「高笑い」を許していいのか

(日刊ゲンダイ2010/6/22)

鳩山・小沢が潰され、管は言いなりの最悪展開
民主党政権が誕生し、官僚支配打破が注目されたとき、エコノミストの紺谷典子氏はこう語ったものだ。
「官僚を甘く見てはダメですよ。日本で一番怖いのは財務官僚です。彼らは、税務署を握っているうえに、予算配分権で他省庁の役人を支配下に置いている。司法、検察も自由に動かせる。逆らったら政治家は潰されます」
なんだか、その通りになった。政治主導を進め、特別予算や埋蔵金の見直しを主張した鳩山・小沢体制は、検察・税務に潰された。「ジャマ者は消せ」とばかりに見事にやられてしまった。
「特別会計の中にもぐり込まされた埋蔵金は09年度時点で70兆円。毎年10兆円切り崩せば、数年は消費税を上げる必要はないのです。しかし財務官僚は、この隠し資産の運用益を自分たちの自由に使いたい。これが、OBも含めた財務省一家の力の源泉にもなっている。だから、埋蔵金をこれ以上は減らしたくなかった。そういう事情が分かっていれば、なぜ8カ月間、鳩山首相と小沢幹事長はずっと叩かれたのか、財務大臣だった菅さんがなぜ後継についたのか、そこが見えてくるのです」(経済アナリスト・菊池英博氏)
鳩山・小沢失脚劇を目の前で見てきた菅は、首相に就任するや消費税増税に傾いた。財務官僚と対立する気のないことを宣言したも同じだ。「市民活動家」と思っていた国民は、「いつから財政再建論者になったんだ」と驚いている。
「菅首相は、日本をギリシャのようにしてはいけないと叫んでいますが、日本は世界一の対外債権保有国。まったく事情は違います。彼の増税理論は、すべて官僚と御用学者に仕込まれたものです。そこまで保身のために魂を売り、民主党らしさを失ってもいいのか。情けなくなりますよ」(菊池英博氏=前出)
アメリカに従属し、財務官僚の言いなりになったら、自民党時代の首相と何も変わらないよ、菅首相。