明暗クッキリの選挙区 (日刊ゲンダイ2010/6/26)

青木幹雄の息子は◎ 輿石東は▲

参院選が公示になり、熱戦が続いているが、そんな中、マスコミや政党による世論調査が出揃いつつある。それを見ると、下馬評とは大違い。あの有名人、大物の当落が見えてきた。
◇以外にシブトい自民の地盤
「えっ、あいつがこんなに強いの!」と目をむくのが秋田選挙区の自民党候補者、石井浩郎だ。元巨人選手、レストラン経営者。苦戦は必至とみられていたが、調査によっては約40ポイントもの支持を集めているものもある。民主党は首相が代わってよみがえった。それでも石井はビクともしない。これにはちょっと驚いてしまう。
自民党では脳梗塞で引退に追い込まれた青木幹雄の長男、青木一彦も強い。島根選挙区はもともと保守の牙城だが、一彦は元秘書でパッとしない。厳しい見方がされていたが、すでに5割近くを固め、民主党候補を寄せ付けない横綱相撲だ。
小沢一郎前幹事長がいきなり、応援に入った民主党の輿石東参院議員会長はどうか。
「今回最大の激戦区でしょう。自民党は谷垣総裁はもちろん、安倍晋三元首相に他党の平沼赳夫・たちあがれ日本代表や石原慎太郎都知事も応援に入っている。
輿石はあわてふためいているでしょうね。ある調査では5ポイント差。別の調査では2ポイント差。かろうじて輿石が勝っていますが、民主党の重鎮が自民の新人相手にこの数字は情けない。多分、逆転されるでしょう」(選挙事情通)
中曽根弘文元外相(群馬)も後援会が重なる前群馬知事が民主党の比例代表から出馬することから苦戦が予想されたが、強い。圧勝ではないが有利に戦いを進めている。
安倍晋三の弟、岸信夫(山口)はタレントの原田大二郎を20ポイントくらい引き離している。
こうして見ると、自民党の強固な地盤はなかなか盤石なのである。
もっとも、選挙分析に定評がある政治ジャーナリストの野上忠興氏は「まだまだ分からない」と言う。
「たとえば、山口県の原田大二郎はなかなか演説がうまいんですよ。この時期に世論調査をすれば、まだ、現職が有利になる。問題は相手の勢いで、上昇の折れ線グラフだと逆転の可能性がある。山口や島根はまだ波乱があるとみています」
ちなみに選挙のプロはワールドカップで日本が勝ち進むと民主有利と言う。消費税への怒りが薄れてくるからだ。
輿石もサッカー頼みだろう。