G20「日本は例外」って何?
(日刊ゲンダイ2010/6/29)

仲間外れなのか、管首相の高等戦術なのが
27日、先進国が2013年までに「財政赤字を半減する」目標を盛り込んだ首脳宣言を採択したG20サミット。菅首相が首脳たちの記念撮影でモタつく場面が見られたが、菅首相の外交デビューの評価はどうだったのか。
「一言で言えば、菅首相はサミットで相手にされていませんでした」 国際事情に詳しいジャーナリストがこう指摘する。
「海外メディアの多くは、1000兆円近い巨額赤字を抱える日本の財政再建策など本気で信じていません。むしろ日本の政治の体たらくに黙っていられないようで、首相がコロコロ代わる状況を皮肉って『菅氏はわずか3年で5人目の首相であり、“回転ドア指導者”』と笑いのネタにしています」 ずいぶんコケにされたものだが、原因は長期の債務残高がGDPの約2倍もあり、世界で最悪の状況にあるせいだ。
海外メディアは、「他の先進国に比べて“質の悪い”財政状況を浮き彫りにした」(ロイター通信)などと酷評している。
たしかに、菅首相がサミットで説明した財政健全化計画は、国と地方の「基礎的財政収支」について15年度までに赤字比率(対GDP)を半減するもので、そもそも首脳宣言の13年に間に合わない。
「欧米先進国はこんな危ない日本と同じに見られるのを嫌って、首脳宣言を守らなくてもよしとする“例外”扱いにし、体よく仲間外れにしたのです」(前出のジャーナリスト)
菅首相がサミットの席で説明した消費税10%を含む財政運営戦略は首脳宣言に明記されたが、これも体のいい扱いだ。
東海東京証券チーフアナリストの斎藤満氏がこう言う。
「イタリアやギリシャの借金はGDPの110%程度ですから、サミットに出席した各国が日本を警戒するのは当然といえます。ゴルフにたとえれば、ハンディ36以下で回れないゴルファーと同じで、コースに出られないのです。さすがにサミットから追い出すわけにはいかないので、“例外”としたのです」
この「例外的」扱いは、消費税10%をサミットの手土産にした菅首相の高等戦術なのか。それとも本当に仲間外れなのか。その答えは、今後の株価や為替相場で占うしかない。