●村木被告弁護側の最終弁論要旨 

(共同通信 2010/06/29 19:28) http://bit.ly/d7LiEm


 厚生労働省の文書偽造事件で、元局長村木厚子被告の弁護側の29日の最終弁論要旨は次の通り。

 【検察官主張の不合理性】

 検察官は冒頭陳述で、国会議員の要請を受けた障害保健福祉部長が「円滑に法案を成立させるため、有力議員の機嫌を損なうことなく依頼を処理する配慮が必要だと考えた」と主張し、部長から指示を受けた村木被告には「凛の会」の実体がいかなるものでも証明書を発行することが決まっている「議員案件」だという動機があると主張した。このような一般的な要請は犯罪の動機としてあまりに薄弱だ。

 検察官は、組織ぐるみの共謀が成立していたと主張するが、民主党の石井一参院議員から要請を直接受けていない村木被告が、上司に相談もせずに逸脱し、部下を巻き込んで違法行為に踏み切ったとする筋書きはあまりに不自然。村木被告が最低限の資料提出すら求めず、決裁を省略して、犯罪行為である証明書の偽造を指示しなければならない理由はない。

 【捜査の問題】

 大阪地検特捜部は村木被告を起訴する前に石井議員に事情聴取しなかった。また取り調べ時に録音、録画をせず、検察官がメモを作成していたのに弁護人の証拠開示請求前に破棄しており、著しく正義に反する。

 村木被告の手帳や業務日誌などの物証に関与を裏付けるものは一切なく、強圧的な取り調べにより、不合理なストーリーに沿う内容の検察官調書を大量に作成。結果として冤罪を発生させた。女性キャリア官僚である村木被告を起訴するという結論ありきで、強引な捜査と起訴に及んだ。

 【倉沢被告の石井議員への依頼の有無】

 2004年2月下旬ごろ、凛の会設立者の倉沢邦夫被告が石井議員に凜の会に対する証明書発行の口添えを依頼した事実はない。

 石井議員は公判で、04年2月25日午後1時に倉沢被告と会ったことは絶対あり得ないこと、倉沢被告から凜の会について話を聞いたのは06年11月6日の1回限りであると証言。客観的資料でも、04年2月25日に石井議員が千葉県のゴルフ場に午後2時まで滞在していたことが明らかで、倉沢被告が口添えを依頼することは全く不可能。

 【石井議員の障害保健福祉部長に対する要請の有無】

 石井議員が04年2月下旬ごろ、同部長に電話して証明書の発行を要請した事実はない。

 倉沢被告から石井議員への依頼という前提を欠く。同部長の検察官調書では、国会で政府委員として答弁後、石井議員から電話で「初答弁だそうで大変そうやね」と切り出されたとされている。しかし、政府委員の誰が答弁するのかは直前に決まるのであって、答弁に立った04年2月25日、石井議員はゴルフ場でプレーしており初答弁を知る方法はない。検察官の作文であることを推認させ、調書は信用性が低い。

 【村木被告から上村勉被告への指示の有無】

 04年6月上旬ごろ、元同省係長上村勉被告が村木被告に凜の会から発行申請や資料提出がないため、形式的な決裁ができないことを伝えて、村木被告が上村被告に決裁のないまま証明書を発行するよう指示した事実を推認させる証拠はない。

 自分の単独犯であると記載している上村被告の被疑者ノートは具体的で信ぴょう性は高い。取り調べの検事から「上村さんがうそをついていると思われてしまう」と孤立感を与えられて虚偽の自白に導かれた。

 【村木被告による証明書の交付の有無】

 村木被告が倉沢被告に証明書を交付した事実はない。

 倉沢被告の手帳には04年6月上旬に厚労省に出向くことの予定の記載がない。村木被告から証明書を受領したとする倉沢被告の証言は極めて不自然。いつ厚労省に出向いたのかという単純なことも証言が変遷し続けたのは、実体験がないことを示している。検察官への迎合性の強い倉沢被告が、検察官の要請に応じ、証明書を村木被告から受領したという点を維持した可能性は高い。




●郵便不正裁判結審…村木元局長改めて無罪主張


(読売新聞2010年6月29日16時57分) http://bit.ly/cOLWhw


 郵便不正を巡る偽の障害者団体証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長・村木厚子被告(54)(求刑・懲役1年6月)の最終弁論が29日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。


 弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。

 弁護側は「検察ストーリーが成り立たないことは明白。村木被告は違法・不当な捜査の犠牲者だ」と述べ、大阪地検特捜部の捜査を批判した。判決は9月10日。

 弁護側はまず、証明書発行が「石井一参院議員(75)が口添えした『議員案件』だった」とする検察側主張について、自称障害者団体「凛(りん)の会」元会長・倉沢邦夫被告(74)(一部無罪、検察側控訴)が口添えを依頼したとされる日に、石井議員が千葉県でゴルフをしていたことを根拠に、「大前提が崩壊している」と反論した。

 また、厚労省元係長・上村(かみむら)勉被告(40)(公判中)が同僚の目を気にして深夜や早朝に証明書を作成したとする点にも触れ、「検察側は、証明書の作成は議員案件で、組織として対応していたと主張しており、(上村被告の行動は)不合理極まりなく、矛盾に満ちている」と検察ストーリーを酷評した。

 捜査についても、特捜部が押収した村木被告の業務日誌には凛の会の記載がなく、倉沢被告の手帳にも村木被告の名前がなかった点などを挙げ、「客観的証拠を軽視、もしくは無視する一方で、関係者を呼び出しては、検察ストーリーに沿った調書を作成することに力を注ぎ、その結果、冤罪(えんざい)を発生させた」と結んだ。

 この後、村木被告は「証明書偽造には一切、かかわっておりません」などと、意見陳述した。閉廷後、記者会見した主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「法廷で真相究明はできたと思う。判決については、心配していない」と無罪判決に自信を見せた。



●郵便不正事件:村木被告側、冤罪主張し結審…9月に判決
(毎日新聞 2010年6月29日19時26分)  http://bit.ly/apJkiO


厚生労働省の郵便不正事件の最終弁論で、大阪地裁に入る村木厚子被告=大阪市北区で2010年6月29日午後1時11分、貝塚太一撮影 郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、障害者団体と認める偽証明書の作成を部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)=休職中=の公判が29日、大阪地裁(横田信之裁判長)で結審した。弁護側は最終弁論で「検察は村木被告が関与したとする構図をあらかじめ立て、強引な取り調べで関係者に認めさせた。冤罪(えんざい)は明らか」と主張。村木被告は「一日も早く無実が明らかになり、普通の生活がしたい」と意見陳述した。判決は9月10日。

 この事件では、大阪地検特捜部の取り調べに問題があったとして、横田裁判長が検察側の証拠の中核である重要な供述調書を証拠採用しなかった。村木被告に無罪が言い渡される公算が大きい。検察は懲役1年6月を求刑している。

 最終弁論で、弁護側は「村木被告は(証明書を発行する)最終決裁権者。正規に証明書を発行することも可能で、偽造を指示する理由などない。荒唐無稽(こうとうむけい)な構図だ」と、検察側主張の矛盾を指摘した。

 検察側は証明書の発行は、石井一・民主党参院議員(75)から厚労省元部長に口添えがあった「議員案件」と主張する。弁護側は「石井議員も厚労省元部長も公判で口添えを否定しており、何の証拠もない」と反論。「強引な取り調べや誘導で構図に沿う調書の作成に力を注ぐ一方、村木被告の無実を裏付ける客観的証拠は無視した」と特捜部の捜査を批判した。



●厚労省元局長、無実訴える意見陳述 郵便不正事件

(asahi.com 2010年6月29日14時54分) http://bit.ly/9cY9XF


 郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長の村木厚子被告(54)=懲役1年6カ月求刑=の第22回公判が29日午後、大阪地裁(横田信之裁判長)で始まった。弁護側は最終弁論で「検察側は(元局長が事件に関与したとする)ストーリーに沿った調書を作成し、冤罪を発生させた」と主張。元局長もこの弁論後の意見陳述で改めて無実を訴える見通しだ。公判は同日結審し、9月にも判決が言い渡される。

 元局長の事件への関与をめぐっては、2004年の証明書発行当時の部下だった元担当係長の上村(かみむら)勉被告(40)=同罪で公判中=らが捜査段階で認めたとされるが、元局長の公判の証人尋問で相次いで説明を翻した。横田裁判長は5月、上村被告らの供述調書の大半について、「検事の誘導があった」などとして証拠採用しないことを決定。立証の柱を失った検察側は今月22日の論告で、推論を積み重ねて求刑するという極めて厳しい状況に追い込まれている。



●村木元局長、改めて無罪主張=「検察捜査の犠牲者」-判決9月・郵便不正、大阪地裁

(時事ドットコム 2010/06/29-18:03) http://bit.ly/9DQhao


 障害者団体向け割引郵便制度の悪用事件で、偽の団体証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成罪などに問われた厚生労働省元局長村木厚子被告(54)の最終弁論が29日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。弁護側が「検察ストーリーは成り立たないことが明白。村木被告は違法、不当な捜査の犠牲者にほかならない」と改めて無罪を主張し結審。判決は9月10日に言い渡される。
 村木被告は「一日も早く無実が明らかになり、普通の暮らしができる日が来ることを願っている」と意見陳述した。
 検察側主張によると、石井一参院議員の口利きを受け、厚労省が組織的な対応を決定。村木被告が部下の元係長上村勉被告(40)に証明書を作成させたとされる。
 これに対し、弁護側は、村木被告が自ら権限を持つ決裁を省略して証明書の偽造を指示したとされることについて「荒唐無稽(むけい)」と指摘。大阪地検特捜部の捜査について「客観的証拠を無視する一方、関係者を呼び出しては、ストーリーに沿った調書を作成しており、重大な問題がある」と批判した。
 その上で、石井議員は、自称障害者団体元代表倉沢邦夫被告(74)から口利き依頼を受けたとされる日時に千葉県でゴルフをしており、口利きについても証人尋問で否定したと反論した。



なぜか産経は現時点では報じていない


▲厚労省元局長に懲役1年6月求刑 

(産経ニュース2010.6.22 22:20) http://bit.ly/aSuQlK


 障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の論告求刑公判が22日、大阪地裁(横田信之裁判長)で開かれた。検察側は「福祉の向上を図る制度の趣旨に反する悪質な犯行で動機に酌量の余地はない」として、懲役1年6月を求刑した。弁護側は29日に最終弁論を行い、結審する予定。

 検察側は論告で、証明書は村木被告から元係長の上村勉被告(40)=公判中=への指示で作成され、村木被告が障害者団体「凛(りん)の会」元会長、倉沢邦夫被告(74)=1審一部無罪、検察側が控訴=に手渡したと主張。 「有力国会議員への配慮から、安易に無審査で証明書を発行した」と指摘した。そのうえで、「最終決裁権者の村木被告の決断なしに証明書は発行されず、日本郵政公社に多額の損失を与えた結果は重大」と指弾した。

 公判で合計13の事実の真偽が争点になったが、多数の関係者の供述調書が採用されなかったため、検察側は論告で、3つの争点について言及しなかった。