「起訴相当」が一転「不起訴相当」か [小沢事件]検察審査異常事態

(日刊ゲンダイ2010/7/2)
補助弁護士が決まらない前代未聞 審議が開けない?

小沢事件を審査している「検察審査会(検審)」が“異常事態”に陥っている。一般有権者から選ばれた審査員に事実関係や法律解釈を説明する「補助弁護士」が決まっていないというのだ。補助弁護士の「不在」が本当ならば、今後の審査は一体、どうなるのか。
「検審の補助弁護士は、1回目はつけてもつけなくてもいい任意だが、2回目は義務で必ずつけなればいけない。各検審が地元弁護士会を通じて選任する仕組みですが、小沢事件のように1回目に補助弁護士がついた複雑な事件の場合、2回目も同じ弁護士が選任されるケースが多い。事件の概要や法律解釈について、一から把握するよりも早いからです。明石市の花火大会事故を担当し、当時の県警副署長を『起訴相当』と議決した神戸の検審も、1回目、2回目ともに補助弁護士は同一人物でした」(法務省事情通)
小沢事件でも「慣例」に従えば、1回目に補助弁護士についた米澤敏雄弁護士が“再登板”するのが自然だ。
ところが、米澤氏所属の事務所は「(米澤氏は補助弁護士を)降りたので、一切関係ありません」(担当者)というのである。小沢事件を審査している東京第5検審事務局も「(状況は)答えられない」という。
この時期に補助弁護士が決まっていないとすると、検審の2回目の議決が出るのは、早くても9月以降。議決内容も大きく変わってくる可能性がある。
「東京第5検審は、1回目に『起訴相当』議決をした審査員11人のうち、4月末に6人が交代し、残り5人は7月末に交代するため、再議決は7月中にも出るとみられていた。しかし、いまだに補助弁護士が決まっていないとすれば、7月はとてもムリ。となると、『起訴相当』と判断した1回目の議決に関わった11人すべての審査員が交代し、あらためて審査することになる。1回目の議決の審査員が5人残っていれば、2回目も『起訴相当』になる可能性が高かったが、新メンバーが白紙から審査するとなれば、議決も変わってくる。検察の処分通り、常識的な『不起訴相当』になるかもしれません」(司法ジャーナリスト)
検審が「起訴相当」と判断すれば、小沢は離党するとみられているが、逆に「不起訴相当」になれば一転、9月の代表選に打って出る可能性がある。