●消費税は社会保障のために使われてきたか?

(大脇道場 2009-01-21) http://bit.ly/dogUG3


 「国の将来に対して責任を持つ、ということも大事なことだと思っておりますが、今日本としては中福祉をいうのであれば、中負担ということがどうしても必要だということで、私は景気回復の後に消費税の増税をお願いする、ということを申し上げました。無責任なことはできない。そういうのが政府・自民党だと、私はそこを一番申し上げたいと思っております。」

 これは、麻生総理の年頭記者会見(4日)での発言だ。来る総選挙では、消費税増税を争点にするという。「福祉を望むなら消費税増税を」と。消費税は導入の時も「高齢化社会を支える財源を」が掛け声だった。

 政府は、消費税は地方財源分4割を除いて、基礎年金、老人医療、介護の財源に当てられていると説明しているが、それは帳簿上の話だ。では、実際に消費税が導入されてから福祉や社会保障がよくなったのか?そんな事は無いだろう!が実感だ。

 では具体的に見てみよう。

消費税3%導入は1989年(竹下内閣)、5%アップは1997年(橋元内閣)だ。

まず医療費を見ると、
 ★サラリーマンの医療費の窓口負担は、88年1割から97年2割になり、2003年には3割に。
 ★高齢者の医療費は、88年外来が月800円(定額)から、今では1割(月上限1万2000円)、「現役並み所得者」は3割(上限4万4400円)に。
 ★94年には入院時食費負担導入。
・・・・・以上合計で年間約2兆円の負担増。

社会保険料関係(健康保険、厚生年金、雇用保険)はどうか?
 ★消費税導入前は、年収500万のサラリーマンで年間約45万円から、現在は介護保険料を含めて約65万円。
 ★国民年金保険料は88年の7700円(月額)から、1万4410円へ2倍化。
 高齢者は、介護保険料負担が始まり、国保料の上がり、後期高齢者医療の保険料負担も増えた。
・・・・・これらの社会保険料は、年間7兆円の負担増(事業主負担は除く)。

その他失業給付や生活保護は削られ、障害者負担は増えた。

 これらを合わせると、消費税導入以来20年間で年間約10兆円の国民負担増と言われている。
消費税により年間13兆円の税収増にもかかわらず、国民の負担が年間10兆円も増えているのである。消費税を社会保障に使うなんて真赤なウソということがわかる。

(上記にあげた社会保障関係の切捨てに加え、この間の庶民増税は以下のリンクを参考にどうぞ。特に小泉内閣の社会保障費2200億円削減路線以来、社会保障切捨てが加速していることを付け加えておきます。)
  こんにちわ!消費税をなくす全国の会です:・ 【PDF】世にも恐ろしい小泉内閣の「大増税スゴロク」

 では消費税による13兆円もの税収はどこに消えたのか?
以下のグラフをどうぞ。


 過去20年間の消費税収は、実に201兆円にのぼるが、この間に企業による法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の合計は164兆円減となっている。つまり、消費税増収分は法人税の減収の穴埋めに使われたと言うわけだ。

 なんてことは無い。今も財界・大企業が消費税増税と抱き合わせで法人税の減税を盛んに迫っているが、・・・こう言うわけだ!

1989年 竹下内閣が消費税3%導入。
この年、企業の法人税率は42%から40%に、更に翌年は37.5%に引き下げ。
1997年 橋本内閣が税率5%にアップ
翌年には法人税率が34.5%に引き下げ。

 さらに、この20年に使われた軍事費は、約25兆円。
数字が明らかにしているように、消費税が社会保障のためどころか、大企業減税と軍事費のために使われたことが、消費税の真実だ。ここにも、大企業奉仕、アメリカ言いなりの政治の根本的な姿が現れている。

 当ブログでは何回も言ってきたことであり、同じことばっかり言って少々恥かしいが、社会保障財源のためになどと言うまことしやかな口実のウソを見抜き、広く国民の中に知らせることが求められている。


●消費税 大企業は1円も負担しないどころか、「益税」まで・・・!

http://bit.ly/95wTHG

12月27日に「 はつこめ6花 」さんより次のコメントがありました。

消費税は、輸出企業には還付される税

自動車など、部品に消費税が入った価格で購買し、組み立てます。
その完成品を海外で売った場合、消費税は国内法なので、製品に含まれていた消費税は、後に還付されて、輸出大企業では、結果、消費税の負担はありません・・・と聞いていますよ。
弱い下請けが負担を強いられる税制のようです。

 ご指摘の通りです。ご存知のように消費税の増税を執拗に迫っているのは大企業です。
結論から言えば、結果的には大企業は消費税は1円も払わずに済み、しかも「益税」はあるわ、輸出還付金までもらうわという仕組みになっているからです。

では、消費税をめぐる大企業と中小事業者の立場についてみて見ましょう。

消費税と大企業について
 消費税は仕組みの上では、消費者が負担し、事業者(大企業、中小企業、自営業者など)が税務署に収めるようになっています。より詳しく言うと、消費税は「売り上げにかかった消費税」から「仕入れにかかった消費税」を差し引いた額を、事業者が税務署に納める仕組みです。

 [大企業も買い物すれば消費税を負担する」というのは形の上では当然です。形の上では企業も原材料を買うときには、その価格に消費税5%を上乗せしたものを買います。そして製品を販売する時には5%の消費税を上乗せします。そしてその「売り上げにかかった消費税」分から「仕入れにかかった消費税」分を差し引いた額を納税します。

 しかし、「買い物をするときに消費税を払う」ということと、「実際にその消費税が自分の負担になる」ということは、まったく違います。

負担の実態はどうか?
 大企業も税務署に消費税を納税しますが、実際は、下の図のように大企業が「仕入れ」で払った消費税は、「売り上げにかかった消費税」、つまり消費者から集めた消費税から差し引かれてしまい、大企業自身の負担にはならないのです。
 この場合、実際に消費税を負担しているのは、この大企業の製品を買った消費者ということになります。(下図の「通常の取引なら」を参照)」


 もし、「売り上げ」より「仕入れ」の方が大きくて、差し引いてマイナスになった場合は、逆に税務署から企業に還付金が支払われます。工場を新設した場合などがそうです。輸出企業の場合は、輸出分には消費税がかけられないので、「仕入れ」時に支払った消費税が還付される仕組みまであります。実際、輸出大企業の「輸出戻し税」は年間2兆円にものぼります。

「益税」を産む仕組み
 この場合の「仕入れ」とは、原料や部品を買う場合だけではなく、商品の運送費や倉庫代、製造機械の購入費、工場やビルの賃貸料、水光熱費、派遣労働者の派遣料など、およそ企業活動の上で必要な商品やサービスの購入のすべてが、「仕入れ」とみなされます。すべてが、いわば所得税でいうところの「必要経費」扱いで免税となる仕組みと同じになるわけです。


 大企業の中には、部品などを納入する下請け中小業者などに「消費税分の単価切り下げ」を無理強いして、仕入れの際に実質的には消費税を払っていない場合もあります。それでも帳簿上は消費税を払ったことになっていますから、売り上げにかかった消費税から引くことができます。
 この場合は、消費者と下請け業者が消費税を二重に負担する結果となり、税務署に納税されない分が大企業の「益税」になってしまいます。(上の図の「仕入れ単価切り下げで、消費税分2億円を納入業者に負担させると」を参照)

 益税・・・消費者(下請け等も含む)が負担した消費税額の一部が事業者の手元に残ってしまった場合の、その税のことを益税という。

 結構七面倒くさいですが・・・、消費税は、仕組みとしては末端消費者から見れば単純なようですが商品生産・流通過程全体のからくりを上手く使えば、力関係の強い大企業が消費税を全部価格に転嫁できるために、要するに、大企業自身は実質的には1円も負担しなくていい仕組みが出来上がるということのようです。しかも還付金などでさらに儲けがある・・・!

だから、大企業にとっては消費税が増税されても少しも困らないどころか、「増税は大歓迎」なのです。

次は下請けや中小業者の場合についてみてみましょう。