自民党 参院選CMに進次郎起用が問題化   (日刊ゲンダイ 2010/7/5)

各局てんやわんや 自粛のテレ朝はエライ!

最後の無党派票獲得には、テレビCMが何よりも大事と、自民党が今月から小泉進次郎(29)の政党CMを流し始めた。落ちるところまで落ちたものだ。「いちばん」「日本を守る責任」とか言いながら、いちばんの谷垣総裁の役者不足を認め、1年生議員にすがる不甲斐なさ。王道を行く政治を捨てたのか。
この自民党の人材払底というか、奇襲戦法は民放各局をも悩ませている。当選1回の進次郎の参院CMを放送するかどうか、過去に例がないだけに、各局で対応が分かれているのだ。
対応が分かれる理由は、政党CMに関する2つのルールだ。放送局を所管する総務省には「出演は党首が望ましい」との見解があり、民放連の基準には、現職議員の出演について「選挙事前運動の疑いがあるものは取り扱わない。ただし、党派を代表しての出演は例外」との規定がある。
テレビ朝日は「政党CMの出演者は政党の代表者またはこれに準じる者、が原則。小泉氏はそれに当たらない」との理由から、早々と“お蔵入り”を決断。英断だ。しかし、他の民放キー局は放送を検討中で、一部ローカル局は「CM後半で谷垣総裁も出演しており、小泉氏は“党首に準じる者”と判断した」として、問題のCMを流すなど、各局の見解は定まらない。


◇総裁隠して1年生議員の人気にすがる自民の“禁じ手”は「日本を守る責任」に矛盾するゾ
議員歴1年足らず。政治家としての実力は未知数の進次郎が「党首に準じる」とはチャンチャラおかしい。そもそも、こんな禁じ手が許されたら、各党タレント議員のCM競争になって、それはもう政治決戦ではなくなる。
しかし、そんな常識も自民党には通じない。選挙戦は、この“ヒヨッコ”議員に頼りきりだ。「参院選の顔」として、党首級の活躍の場を与えているのだから、情けない。
「進次郎議員は秋田、山梨、四国4県など連日、党の重点区の応援遊説に引っ張りだこ。遊説告知の看板も、党首や幹部の名前そっちのけで、『進次郎氏来る』です。進次郎氏が表紙の政党ビラも新たに作製し、有権者にばらまいています」(自民党関係者) 田舎のじいさん、ばあさんが「自民党の一番偉い人は、小泉元首相の息子サンになったのかい?」と誤解しないか心配だが、勢いづく進次郎は3日の東京・原宿の街頭演説で、こんな若者批判をブッていた。
「今の若者の間には、ほどほどの努力で、ほどほどの幸せを手にしようという考えが蔓延している。それでイイのか!」
曽祖父の代から続く政治家一家の“21光”で議員となったアナタにだけは言われたくない。自民党の人材不足は、“努力知らず”の議員を増長させている。