[参院選] 全選挙区当落最終予想   (日刊ゲンダイ2010/7/5)

何から何まで裏目の学会・公明は狂わんばかり 鳥取「32歳、1児の母」と国際学者が大激戦

─埼玉,北海道,和歌山,大分,鳥取,宮崎,新潟,岩手
予想は左が政治評論家の浅川博忠氏、右が政治ジャーナリストの野上忠興氏。○当選圏内、△やや優勢、▲あと一歩、※大接戦。


埼玉(改選数3)
△△島田智哉子47 民現

▲○大野 元裕46 民新
△○関口 昌一57 自現
▲-西田 実仁47 公現
--伊藤 岳50 共新
--日森 文尋61 社新
▲-小林 司39 み新
公明党の最重点選挙区だ。前回の参院選では過去最高の62万票を集めたのに、苦杯をなめた公明党は一時、候補者擁立を断念。西田を比例に回したが、鳩山政権が迷走したものだから、一転、選挙区に戻し、議席奪還に舵切りした。
それが菅政権の誕生で、また逆風に。学会、公明幹部は狂わんばかりだ。
「今回、議席を落とせば、次はもう出せない。長年、自、民、公で分け合ってきたのに、完全撤退になります」(公明党事情通)

しかし、情勢は苦しい。ここはまず、民主の現職よりも新人が強い。中東問題の専門家でTVで顔を売った大野(写真右上)だ。知名度があるから、当選圏内。自民は現職が強く、2人は安泰。3議席目を巡って、民主の現職と公明、みんなが争っているが、民主・島田が抜けつつある。
「公明党が滑り込むとしたら、みんなの党が躍進して、自民と民主の票が分散し、当選ラインが下がるケース。しかし、菅政権で民主が息を吹き返し、みんなの党が息切れした。これじゃあ、みんなも公明も届かない。民主が2人当選しそうです」(事情通)
民主は衆院では15区中14区を独占する。埼玉は民主王国になりつつある。

◇全国一の逆風選挙区では1人がやっと


北海道(改選数2)
△○徳永 エリ48 民新
▲▲藤川 雅司53 民新
○○長谷川 岳39 自新
--畠山 和也38 共新
--中川 賢一43 み新
ここで民主が2議席を独占すれば、60議席=単独過半数が見えてくる。試金石の選挙区だ。北海道は鳩山、小林千代美、石川知裕、荒井聡と民主のスキャンダルが連発炸裂した。とりわけ、北海道教職員組合(北教組)による不正資金事件で小林が辞職し、組合は動きづらくなった。組合支援を受けるのが藤川だ。
世論調査では長谷川がリード、徳永が続く。面白いのは2人とも無党派狙いということだ。
「長谷川は前回、衆院選に続く挑戦。YOSAKOIソーラン祭りのプロデューサーで、知名度があるお祭り男。徳永はみのもんたの元付き人で、リポーターに転じた。カギは徳永の得票です。徳永がもっと伸びれば、長谷川の票が減る。そうすると、藤川の当選が見えてくる」(選挙事情通)
みんなの党の中川は元道庁職員。父親の義雄氏は自民、伊吹派の現職参院議員だが、公認を得られず、今回はたちあがれ日本の比例で出馬する。親子で出馬、しかし、政党が違う。選挙区は息子、比例は親父のすみわけになるのだろうが、こうした戦法では勝てるわけがない。◇自民の牙城に小沢ガールズが猛追


和歌山(改選数1)
▲-島 久美子54 民新
△○鶴保 庸介43 自現
--吉田 雅哉34 共新
和歌山は自民の牙城だが、ひょっとするとひょっとするかもしれない。島が追い上げているからだ。当初は20ポイント近く引き離されていたのが、調査によっては13ポイント差もある。
島には小沢ガールズの太田和美、小原舞、小沢チルドレンの岸本周平ら衆院議員が付きっきりで支援する。街宣は1日64カ所という日もある。小沢流のドブ板が自民の城を侵食している。


◇イケメンVS.トライアスロンの男の戦い


大分(改選数1)
△△足立 信也53 民現
▲▲小田原 潔46 自新
--山下 魁33 共新
足立はイケメン医師。小田原は金融マンでトライアスロン選手。
なかなか、見応えがある選挙区だが、やはり大分は民主が強い。衆院の3区は民主、社民、民主。自民が付け入るスキがない分、足立が当選圏に入りつつある。


鳥取(改選数1)
※△坂野 真理32 民新
※▲浜田 和幸57 自新
--岩永 尚之53 共新
昨夏の衆院選で大接戦となった鳥取は、民主党がテコ入れする「最重点区」のひとつ。今回も、松下政経塾出身で医師の民主新人・坂野(写真左下)と、国際政治学者の自民新人・浜田が大激戦を展開している。
坂野が「32歳、1児の母」を売りに女性や無党派層を取り込む一方、浜田は石破政調会長のバックアップを受け、地元業界や団体を回り、確実に票を固めている。
勝敗を握るのは、自民を離党して民主比例から出馬した現職・田村耕太郎票の行方だ。地元政界関係者がこう言う。「田村票がそのまま坂野に流れると思ったら甘い。田村の支持者は何の説明もなく、一方的に民主にクラ替えしたことに、フザケルナ! と怒り心頭です。田村票が浜田に流れる可能性もある」
これが大激戦に拍車をかけているのだ。一方、浜田は「知名度はあるが、インテリすぎて選挙向きではない」(地元関係者)という評価も。ここは最後までわからない。



◇小沢「番記者」出馬も口蹄疫が大誤算

宮崎(改選数1)
※▲渡辺 創32 民新
※△松下 新平43 自現
--馬場 洋光41 共新
民主新人の渡辺は元毎日新聞の小沢「番記者」。地元行脚に同行した経験を生かし1000回超の辻立ちを行ったが、知名度不足は否めない。
もっとも、自民現職の松下にも不安材料がある。04年の参院選で民主の支援を受けて自民と戦った過去があり、組織が一枚岩ではないのだ。
大接戦になっているが、明暗を分けそうなのが口蹄疫問題だ。赤松前農相の対策遅れで、地元では民主党政権批判が噴出。感染拡大を防ぐために選挙活動が制限される事態にもなった。知名度で劣る渡辺にとってはダメージ。

◇2人区なのに「民主1人」…真紀子の夫が圧勝

新潟(改選数2)
△○田中 直紀70 民現
△○中原 八一51 自新
--武田 勝利46 共新
▲-近藤 正道63 無現
「2人擁立」の2人区にあって、新潟の民主候補は、田中真紀子の夫・直紀ひとり。民主は社民党の現職議員・近藤を推薦する予定だったが、連立離脱で予定が狂った。
情勢は目下、田中と自民新人の中原が拮抗。田中は、義父・角栄が築いた自前の組織票と真紀子人気で盤石。一方、元県議の中原は、県議や市議の支援を受けている。
苦しいのは無所属で出馬し“社民色”を隠した近藤。民主の選挙協力が揺らぎ、不利な展開。


◇幹事長辞任でもテッパンの小沢王国

岩手(改選数1)
○○主浜 了60 民現
--高橋 雪文40 自新
--瀬川 貞清60 共新
--伊沢 昌弘63 社新
小沢一郎のお膝元・岩手は、民主党のテッパン選挙区。昨夏の衆院選でも県内4議席を独占した「小沢王国」の本領発揮で、現職の主浜が圧倒的強さでリードしている。元県議の自民新人・高橋は小沢批判を強めて追うが、主浜に歯が立たず。