人気タレント岡部失速も票の分散で民主2議席見えた [参院選 争点は民主60議席 全選挙区当落最終予想]

(日刊ゲンダイ2010/7/7)

◇トラブル続きが「災い転じて」となるか
《予想は左が政治評論家の浅川博忠氏、右が政治ジャーナリストの野上忠興氏。○当選圏内、△やや優勢、▲あと一歩、※大接戦》
【大阪(改選3)】
△○尾立 源幸46 民現
△△岡部 まり50 民新▲▲北川イッセイ67 自現
▲○石川 博崇36 公新
清水 忠史42 共新
山分ネルソン祥興36 改新
大川 朗子52 社新
川平 泰三53 み新
岡部が終盤になって失速。いまのところ当選確実なのは公明党の石川だけ。残り2議席を、岡部、尾立、北川の3人が争う大激戦だ。
「当初、関西で圧倒的な知名度を誇るテレビタレントの岡部がトップ当選するとみられていました。ところが、支持が広がらない。芸能人なのに気の利いた演説ができないのです。しかも、なにが気に入らないのか、日程をドタキャンするなどトラブル続き。民主党にとっては思わぬ誤算です」(府政関係者)
ただ、岡部に集中すると思われた民主票が尾立に流れ、結果的に民主党が2議席を確保する可能性が高まっている。自民党の北川は高齢のうえ、府議、市議の多くが、参院選と同じ7月11日に行われる市議補選にかかりきりのため、陣営の動きは鈍い。◇自民系乱立がどうでるか

【福岡(改選2)】
△○大久保 勉49 民現
△○大家 敏志42 自新
篠田 清62 共新
吉村剛太郎71 国現
▲ 佐藤 正夫55 み新
堤 かなめ49 無新
常識的に考えれば、民主党の大久保と自民党の大家の当選が濃厚。ただし、波乱要因は自民系候補が3人も出馬していることだ。
国民新党の吉村は、現職の自民党議員だったが公認を得られず離党し、国民新党に入党。みんなの党の佐藤も、自民県連総務会長を務めていた元自民党県議だ。自民票が分散すれば、民主系無所属の堤が2議席目に滑り込む。
堤は、無所属での出馬になっているが、レッキとした民主・社民の「統一候補」だ。出遅れているが、九州女子大の元教授と思えないほど、気さくで腰が低い。



◇原田大二郎 岸王国を倒せるのか
【山口(改選1)】
▲ 原田大二郎66 民新
〇〇岸 信夫51 自現
木佐木大助55 共新
岸―安倍の強固な保守王国とはいえ、下野した後は危機感が漂う。岸はすでに県内の支持者回りを2巡した。
ギリギリになって俳優の原田を擁立した民主は、長妻厚労相が安倍元首相のお膝元である下関に応援に入るなど、自民を追い詰めるが壁は高い。
【香川(改選1)】
※▲磯崎 仁彦52 自新
藤田 均50 共新
※△岡内須美子57 無新
自民の磯崎がやや優位。世論調査では、無所属の岡内が4~5ポイントの差で追っている。
岡内は無所属だが、出馬会見に小沢一郎が同席した小沢系候補だ。高松市の元副市長。民主、社民、国民の統一候補の位置づけだ。自民の磯崎は支持層以外ではほとんど知名度がないだけに、執行部がテコ入れすれば、逆転可能だ。


◇大激戦 残り2議席を民主、自民の4人が争う
みんなの水野はなぜ強いのか

【千葉(改選3)】
▲△小西 洋之38 民新
▲△道 あゆみ44 民新
△△椎名 一保58 自現
▲▲猪口 邦子58 自新
斉藤 和子35 共新
古閑比佐志47 改新
▲▲水野 賢一43 み新
民主と自民が2人ずつ擁立。その結果、民主も自民も票が割れ、漁夫の利でみんなの党の水野がリードの展開だ。
「水野は昨年の総選挙で落選(千葉9区)したクラ替え組だが、実父が中尾栄一元建設相、養父が水野清元建設相。自民党議員として4回当選しているから、千葉では知名度もある。みんなの党の選挙区候補では当選にもっとも近い立場にいます」(政治評論家・浅川博忠氏)
残り2議席をめぐり、民主、自民の4人がデッドヒートだが、有権者の4割は投票先を決めていない。まったく読めない状況だ。
知名度からすれば、自民の猪口が抜け出して当然。しかし、KYな性格が響いているのか、選挙区を回れば回るほど票を減らしている。選挙演説も「グローバル経済化した世界の中で日本経済の優位性を……」と超難解。これじゃ無党派層も逃げ出す。
民主党は県連主導で擁立した小西が民主支持層の半数を固め、公募で選ばれた弁護士出身の道は社民系がバックアップ。2議席確保もありえる状況だ。投票率が低くなれば、30万票ある公明党が当落のカギを握ることになりかねない。


【長崎(改選1)】
※▲犬塚 直史55 民現
※△金子原二郎66 自新
渕瀬 栄子54 共新
中嶋 徳彦35 み新
衆院議員を5期、県知事を3期務めた金子がリードしている。
「知事を引退、参院選出馬も固辞していたが、候補者が決まらず引き受けた。それでも知事12年の強みで、県内の企業や業界団体をくまなく回り、演説会もこまめに開いて票を固めている」(地元事情通)
民主は2月の知事選で大敗。現職なのに知名度で劣る犬塚は苦しい。

【鹿児島(改選1)】
※▲柿内弘一郎56 民新
※△野村 哲郎66 自現
山口 陽規57 共新
民主の柿内と、自民の野村が、まったく互角の戦いを繰り広げている。ただ、戦い方は正反対だ。
民主の柿内は弁護士出身。鹿児島県連では初の公募候補だ。街頭演説が中心の空中戦をしている。対する自民の野村は、公示前から小さな集会を重ねて足場固め。
民主も自民も鹿児島を重点選挙区としている。最後の1週間、大物を次々に応援に送り込む予定だ。どちらが勝つか、党本部の力量が左右しそうだ。◇「竹下王国」に異変!地元人気アナが青木Jr.を急追

【島根(改選1)】
▲ 岩田 浩岳34 民新
△〇青木 一彦49 自新
石飛 育久32 共新
▲ 桜内 朋雄41 み新
世襲に成功した青木幹雄の長男・一彦は、少人数のミニ会合を繰り返し、地盤固めに必死。「竹下・青木王国」だけに県議らも血相を変えて運動するが、集票マシンの建設会社はかつての3分の2まで減少し、足元は揺らいでいる。
民主党にとって島根は、24日の公示日に枝野幹事長が地元入りした最重点区。青木に先行を許しているが、地元テレビ局のアナだった岩田との差はどんどん縮まっている。大逆転は可能だ。