[自民]1人区“大健闘”の謎が解けた こっそり復活していた公明との選挙協力

(日刊ゲンダイ 2010/7/7)

石破政調会長まで「比例は公明に」と演説

参院選の勝敗を決する29ある1人区。大手メディアが行った「期日前投票」の出口調査に民主党の選対が仰天した。なんと「8勝21敗」という大敗だったからだ。この数字は極端としても、「8勝8敗 13選挙区接戦」が現時点での大方の予想である。
政権から転がり落ち、支持基盤が崩壊状態の自民党がなぜ強いのか。日本の七不思議級のナゾだが、真相が見えてきた。 自民党が1人区で優勢なのは、野党転落で解消したはずの「自公選挙協力」を大々的に復活させたためだ。

公明党は表立っては、自民党候補の推薦を見送っている。しかし、県連レベルでは連立時代と同じように「選挙区は自民、比例は公明」と選挙協力に踏み切っているのだ。
「自民党と公明党は、29ある1人区のうち23の選挙区で協力しています。秋田、群馬、富山、石川……。鳥取では石破茂政調会長までが街頭演説で『比例は公明候補に』と呼びかけている。とくに、四国、九州では、11選挙区すべてで“政策協定”を結び、公然と選挙協力しています」(公明党事情通)
政権交代後、公明党は連立の象徴だった太田昭宏代表を引退させ、かつて小沢一郎とイチイチ・ラインを築いた市川雄一を復権させるなど、10年つづけた自公路線を捨て、民主党にシフトしたはず。


それが土壇場になって、再び「自公協力」に踏み切ったのは、選挙に切羽詰まったからだ。
「公明党は改選議席の選挙区3、比例区8が至上課題です。ところが、比例の8が厳しい。目標をクリアするには、自民党と選挙協力して比例票をもらうしかないのが実情です。自民党にとっても、各県に平均17万票ある創価学会票は喉から手が出るほど欲しい。利害が一致。結局、よりを戻すしかなかったのです」(政界関係者)
鳩山政権から菅政権に代わったことも大きかったという。
これまで公明党は、なにかにつけ「反公明」で動いてきた菅直人を「仏敵」扱いしてきた。いまさら手を組むわけにはいかないのだ。

「昨年夏、政権交代が起きた時、公明党は本気で民主党にスリ寄るつもりだった。与党にいることが安全だからです。しかし、この10カ月間で状況は二転三転。いまは民主党を参院で大きく過半数割れに追い込んだ方が高く売れる、与党になる近道と考えているのです」(永田町事情通)
投票率が低くなれば、この公明・学会票によってとんでもない選挙結果になりかねない。