みんな好き勝手言ってドッチラケ選挙 [参院選 争点は民主60議席 全選挙区当落最終予想]

(日刊ゲンダイ2010/7/8)

◇「普天間」余波で民主不戦敗
《予想は左が政治評論家の浅川博忠氏、右が政治ジャーナリストの野上忠興氏。○当選圏内、△やや優勢、▲あと一歩。》

【沖縄(改選1)】
○△島尻安伊子45 自現
伊集 唯行59 無新
▲山城 博治57 無新
普天間騒動の余波で、民主は候補擁立を断念。与党系候補ゼロの異例の選挙区に。民主は昨年の衆院選で県全体の3分の1にあたる25万余りの比例票を獲得した。その票の行方が焦点だが、どの党も迷走が目立つ。
公明比例候補との共闘で、自民の島尻が一歩リード。与党時代は県内移設を推進してきたが、現在は移設反対にカジを切った県連と足並みをそろえ、「県外移設は県民の総意」と、真逆の主張を展開している。
「もっとも、後援者には経済効果への期待から移設容認派も多い。そのため、島尻氏は『台所から政治を変える。消費税が上がれば、おかずが一品なくなる』と“4児の母”を前面に出し、普天間への言及を避けています」(地元関係者)
自民は党公約に「米軍再編を着実に進める」と書き、消費税増税を掲げる。島尻の主張は、党本部と正反対の立場だ。
社民と共産は野党統一を模索したが、不発。
社民推薦の山城の出馬表明は6月中旬と出遅れ、伸び悩む。不戦敗の民主は、県連代表で比例出馬の喜納昌吉が「沖縄に基地は造らせないよ」と県内を訴えて回り、党本部に逆らっている。
“ないち”とのねじればかり見せつけられ、選挙はドッチラケ。各党とも沖縄の有権者をナメていないか。


◇番狂わせは「プリンス」の奮闘次第
【福島(改選2)】
△○増子 輝彦62 民現
▲▲岡部 光規41 民新
▲○岩城 光英60 自現
岩渕 友33 共新
▲ 菅本 和雅42 み新
経産副大臣として“原発票”を固めた増子が、圧倒的に強い。残る1議席も、岩城が優位に選挙を進め、自・民が議席を分け合う構図は変わらないように映る。
番狂わせは、岡部の後見役を買って出た地元選出の玄葉政調会長のガンバリ次第だ。
玄葉は、佐藤栄佐久前知事の娘婿。県内全域に張り巡らされていた旧佐藤後援会がフル回転し、従来、自民候補に流れていた佐藤票が岡部に回れば、面白い展開となる。
イケメンの岡部は、女性票も期待できる。はたして、逆転はあるか。



◇最後まで大接戦
【富山(改選1)】
▲▲相本 芳彦54 民新
△△野上浩太郎43 自元
高橋 渡47 共新
自民現職の河合常則が引退表明し、新人2人と元参院議員の3人が争う構図。
相本は元北日本放送のアナウンサー。昨年の衆院選で無所属で立候補(富山3区)するも落選。
今回は民主の公認をもらい、連合富山の推薦も受けている。民主は蓮舫(1日)、菅直人(2日)と幹部が現地入りして全面バックアップだ。
が、保守基盤の強い土地柄。自民の野上は元衆議院議員の父を持つ。07年の選挙で落選して以来、地元をこまめに回って住民の話を聞くなど地盤を固め、最後まで大接戦だ。


◇自民票分裂 現職が余裕見せれば民主独占
【宮城(改選2)】
△△桜井 充54 民現
▲ 伊藤 弘実36 民新
△△熊谷 大35 自新
加藤 幹夫46 共新
菅野 哲雄61 社新
▲ 菊地 文博50 み新
市川 一朗73 無現
諸派を含め、8人が立候補する激戦区だ。
自民県連は高齢の市川を退け、公募で松下政経塾出身の熊谷を擁立。しかし、4選を目指す市川が反発し、無所属出馬ながら「執行部とのコネ」(地元関係者)で、党本部から全国唯一の推薦を取り付けた。
これには、県連がさらに反発し、来県した谷垣総裁の市川応援阻止に動くなど、足を引っ張り合っている。
自民分裂で、民主は議席独占を狙うが、現職の桜井が大人になりきれない。政調会復活で、政調会長代理に就任。「陳情の窓口役」としての期待から、自民に回っていた業界票も流れ、アタマひとつ抜け出している。
「少しでも桜井氏の組織票が伊藤氏に回れば、民主独占の目もあるんです。でも、桜井陣営は手放そうとしない。伊藤陣営は完全に『風』頼みの選挙戦を強いられています」(地元政界関係者)
それでも、伊藤は仙台市内の住宅地をくまなく回り、猛烈に熊谷を追い上げる。
宮城で議席独占を逃せば、民主党の単独過半数は遠のく。◇小沢戦略を完全に無視 前原の度量が試される


【京都(改選2)】
△○福山 哲郎48 民現
▲▲河上 満栄39 民新
△○二之湯 智65 自現
▲ 成宮真理子40 共新
中川 卓也50 み新
公明党は自主投票、府の医師会は民主も推薦……。二之湯は頼みの組織票が離れ、なりふり構わぬ“ドブ板”選挙を繰り広げる。それでも支持は広がらず、決して盤石ではない。 民主は、踏ん張り次第で2議席独占もあり得たはずだが、反小沢派の頭目・前原国交相が率いる府連は、小沢の「2人区2人擁立」戦略を完全に無視。新人の河上の選挙に、まったく手を貸そうとしない。官房副長官として、ほとんど地元に帰れない福山が、優位に選挙戦を進めている。孤独な戦いを強いられた河上は、全国屈指の基礎票を誇る共産党の成宮や、公示1日前に出馬表明した、みんなの党の中川にもリードを許す苦しい展開だ。本当に前原は器の小さい男である。
◇官房長官の地元なのに


【徳島(改選1)】
▲△吉田 益子50 民新
△▲中西 祐介31 自新
古田 元則62 共新
▲ 小池 正勝58 改現
「勝てそうにない」と自民は現職だった小池を公認せず、二転三転の末に公募で元銀行員の中西を擁立。小池は新党改革に走り、舛添党首はここ徳島で第一声を上げた。自民党がこれだけ混乱なら民主新人が断然優勢のはずだが、地元関係者によれば、吉田は県議選で落ちた経験もあり、政治家の魅力に乏しいとか。仙谷官房長官の地元だけに民主は負けられない戦い。突き抜けられなかったら、仙谷の評価はガタ落ちだ。