管民主党惨敗 株と景気はどうなる

(日刊ゲンダイ2010/7/12)

株式市場は民主敗北に動揺している。為替が円安に反転してマーケットも一服だったが、政権の行き詰まりという新たな問題が浮上してきた格好だ。
「与党の苦戦は事前に予想されていました。マーケットは、この選挙結果に驚くことはないでしょう。しかし、実際に与党が過半数を割るのは売り材料です。衆参ねじれ国会になれば、必要な法案も通らない。マーケットはジリジリさせられる展開になります。しかも、菅首相の政権基盤がグラグラになれば、分裂含みの騒ぎも予想される。しばらくは政治に足を引っ張られることになりそうです」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
株価がメタメタなら経済も冷え込む。やはり、景気回復には政治の安定が欠かせない。それでも民主が組み替えを焦ったりすれば、最悪の事態に発展する危険性もある。
同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)が言う。
「大慌てで数合わせに走り、みんなの党と組んだりすれば、お先真っ暗です。いまの日本に必要なのは小泉流の構造改革を続けることではありません。民主党は政権交代を果たしたときの政策に立ち返るべきです。日本社会は“成長”“競争”“分配”のうち、“分配”が格段に弱い。経済を底上げするには、この分野を強くする政策の徹底が必要なのです。“コンクリートから人へ”の発想は正しかった。菅首相の最小不幸社会も間違っていません。自民党やみんなの党の主張に引っ張られて、愚にもつかない新成長戦略を掲げるのではなく、“生活が第一”の原点に立ち返ってもらいたい」
果たして菅首相にその大局観があるかどうかだ。