続投「個人的な思いは個人的な思いだ」   (産経ニュース 2010.7.12 20:28)  http://p.tl/Qqss


民主党の枝野幸男幹事長は12日夕、党本部で記者会見し、「首相から『職務をまっとうしてほしい』という強い指示があった。私自身の個人的な思いは、あくまでも個人的な思いだ。民意を真摯(しんし)に受け止めながら、どうやってその声に応えていくのか全力を挙げてまいりたい」と述べ、幹事長続投を表明した。


 記者会見の詳報は以下の通り。


 【続投表明】

 「皆さん、お疲れさまでございます。昨日、参院選の投開票があった。大変厳しい結果となった。私にとっても、大事な先輩を含め、沢山の有為な仲間が、落選をしたことに、大変じくじたる思いだ。また、大変申し訳なく思っておる」

 「私自身の個人の思いとしては、さまざまな思いはあるが、また、色んなところから、さまざまな声があることも、十分、真摯に受け止めている。ただ、その上で、総理から『いろいろ厳しいけれどしっかりと改革の実を上げていくために職務を全うしてほしい』という強いご指示があった。私自身の個人的な思いは、あくまでも個人的な思いだ。幹事長として、総理から受けた指示に基づいて、しっかりと選挙の結果を、この民意を真摯に受け止めながら、どうやってその声に応えていくのか全力を挙げてまいりたいという風に思っている」

 【役員会】

 「その上で、本日は、定例の役員会を開催した。総理、代表にもご出席をいただいた」

 「総理からは、昨日の夜の記者会見でも、おっしゃられたような考え方、お話をいただき、ぜひ、しっかりと結束して、国民の声に応えていくために頑張ってほしいという趣旨のごあいさつがあった。議論のなかでは、今回、戦って、落選された皆さんをはじめとして、幅広く、具体的に、詳細に、ご意見をうかがった上で、しっかりとした総括をまとめていかなければならないというご意見があり、私と(安住淳)選対委員長のところで、大まかな段取りを考えながら、そのプロセスも、役員会にもご報告しながら、最終的には、そうした声を受け止めた案を役員会で一致した執行部としての総括案という形にしていくプロセスをとっていきたいということを確認したところだ」

「また改めて、党内、しっかりと結束して、この厳しい状況に対応していくために、まずは、この役員会メンバーが結束をして、菅代表を支えていこうということで、ご提起があり、皆さん、一致して、そういうことで頑張っていこうということで、役員会で確認をさせいていただいたところだ。私からは以上だ」

 【責任論】

 --今回の参院選の結果についてだが、責任の取り方についてうかがいたい。今日も、党内から、民主党はこれまで結果について責任を取ってきた党だと。執行部の立場はわかっているという声も上がっている。こうした声に、参院選の責任をどうとるかという声にどうこたえるか

 「政治家にとって色々な結果に対して、しっかりと責任をとっていくということは大変重要なことだと思っている。それぞれの状況ごと、その結果ごとにどういう責任の取り方をするのかが、一番責任ある対応なのかということを、まさに判断していくことになると思っている」

 「今回、厳しい結果だったが、国民の皆さんのその厳しい叱咤(しった)に対して、期待されている仕事をしっかりと進めていくということで、国民の皆さんの期待に応えていくんだということを、昨日、総理がおっしゃられている。そういった総理の方針の下に、しっかりと責任を果たして参りたいと思っている」

 【本音は辞めたい?】

 --冒頭に、「個人的な思いはあるが、総理の指示にしたがって」ということだった。個人の思いとしては、「責任をとって辞任」という思いかと受け取れたが、それでよいか。その思いは総理に伝えたのか。その場合、どのように返事があったのか

 「個人的な思い、色々な思いがあるが、政治家、あるいは幹事長としては、総理の方針に基づいて、公的な責任をしっかりと果たしていくということだ。私の私的な思いということは、外に向かって申し上げていくことではないと思っている」

 【9月の民主党代表選】

 --責任の取り方の9月の代表選をやって体制の立て直しをはかるということが、一案として上がっていると思われるが、9月の代表選の前倒しをする可能性はあるか

「まずは、選挙の結果が出たところだ。先程申したとおり、特に検討されながら、残念だった皆さんなどから、丁寧にご意見をうかがいながら、この選挙の結果を総括するということ。そして、それから、大変、参議院の厳しい国会の状況のもとで、その国会にどう対応していくのか。まずは、党としての国民の皆さんに対する責任を果たしていかなければならないという段階だと思っている。まだ、その先のことまで検討している状況ではない」

 【幹事長責任論】

 --進退問題が、今回、44議席ということで、菅総理が掲げた「54議席+α」よりも10議席下回った。幹事長が続投したとして、誰も責任を取らないという形になる。それで、党内の理解は得られると思うか

 「国民の皆さんから民主党に対する厳しい叱咤の評価が選挙で下ったということを真摯に受け止めて、国民の皆さんの声に、どうお応えしていくのか。それぞれの個人としても、党としても、そのことがまずは一番の責任だ。国民に対する責任を、総理にはしっかりと新たなスタートラインに立ったつもりで果たしていくということなので、その責任を幹事長としてしっかりとサポートしていく。あるいは、役員会のメンバーも、サポートしていくということで、先程役員会で話をしたところだ」

 【複数区複数擁立】

 --小沢前幹事長の戦略の最終コーナーでバトンタッチした。2人区で2人擁立というのもある。前幹事長の立てた戦略を、今回の大敗の要因として、どう総括するか

 「選挙の総括は、まさに結果が出たところで、これから、慎重に、丁寧に、幅広い党内外のご意見をうかがいながら進めていくところだ。現時点で、具体的な、これがよかった、とか、悪かったとか、ということを申し上げられる段階ではないと思っている」

 「ただ、いずれにしろ、総理、代表自身がおっしゃられている通り、消費税の議論を始めるということについての思いがきちっと伝えることができなかった。このことは総理ご自身も認めている。このことについては真摯に反省しなければならない。ここまでが、現時点で総括として申し上げられることだと思う」

【消費税増税】

 --消費税論議だが、菅総理は参院選にあたり、消費税引き上げを述べた。昨日の会見では「やや唐突だった」という話もあった。枝野幹事長は、消費税増税をかかげることについて、事前に合意なり、相談はあったか

 「これはいろんなところで繰り返し申し上げているが、増税を掲げて、選挙を戦ったものではない。消費税も含めた税制の抜本改革について、自民党が提起されている10%を参考にしながら、議論をスタートさせると。議論をさせるということだから、議論の結果、当然、議論するということは、上げる可能性も含めた議論になるわけだ。消費税の増税を掲げたわけではない」

 「そのことについては、当然、マニフェストにもそうした趣旨のことは書いてある。私だけではなく、党としてオーサライズされているものだ。ただ、今のおたずねのとおり、上げるということを掲げていたと受け取られたことについては、真摯に反省をしなければならないと思う」

 【パーシャル連携論など】

 --選挙戦の中盤で、みんなの党をはじめとして、連携の可能性に言及した。もう一つは、過半数を取れなくても菅総理の責任問題はないと。続投するという自身の発言が、選挙にどういう影響を与えたか。もう一つは、先程、参院の高嶋良充幹事長が、「総括の場は両院議員総会になる」という発言をした。総括の結果次第では、自身の進退という選択肢もあるのか

 「まず、一点目だが、私は繰り返し申し上げているが、与党になってからだけではなくて、野党の時代から、官房長官流に言えば、熟議の民主主義。国会というのは、基本的には政府与党がイニシアチブを取るということになると思うが、野党の意見も取り入れられるものは取り入れて、広範な合意形成をはかれればという側面が一つあると思って、ずっと申し上げてきている。そうした流れの一環として、仮に参院で圧倒的な過半数をいただいたとしても、他の野党の皆さんの声に耳を傾けて、近い考え方の皆さんは取り入れていくということを申し上げた。ただ、そういう風に受け取られなかった部分があるとすれば、それは反省しなければならないと思っている」

「もう一つは、総理の責任論というかそれについてだが、政治論というより、憲法論として、二院制における総理大臣の指名選任の権限がどこにあるかということを、解説をしたつもりだったが、これも、十分に真意を伝えることができなかったことは、反省をいたしている。これらが選挙にどういう影響を与えたかというのは、現時点では、何とも申し上げられないと思っている」

 「それから、総括を最終的にどうするのかと。今の役員会でも、別に具体的に話をしていない。総括の案を先程申し上げたようなプロセスで、役員会として一致して、まとめていこうということ。それにあたっては、幅広く丁寧に選挙を戦った皆さんの声を中心にうかがっていこうということを決めたわけだ。そっから先のことはまだ相談もしていないし、決めてもいない」

 【参院選の準備不足】

 --目標議席数に達しなかったことで、責任論が高まっている。一方で、まだわずか1カ月ということで、準備不足だったという思いはあるか。また、短い期間で責任論を問われてしまっているという状況について、どう考えているか

 「結果的に、多くの仲間が当選できなかったという結果は、結果だ。何かを申し上げれば、それは言い訳になる。期間が短いなら短いなりに、最善を尽くすということが大事だし、最善は尽くしたつもりだが、結果的に、国民の皆さんの理解は、得票では比例第一党ではあるが、われわれの期待する、より大きな国民の皆さんのご支持を得られなかったということに対しては、その声に真摯に、謙虚に向き合って、対応していく必要があるという風に思っている」


代表選「代表を支えるのが普通だ」

【与野党協議】 

 --他党の政策協議について、平成10年の金融国会の時に枝野さんは野党の立場で具体的な協議を進めてきたと思うが、その時の成功のやり方を今後の野党との協議でどう生かしたいか

 「まず国会における議論を重視して、丁寧にしていくと。特に与党の側が謙虚に野党のみなさんの声に耳を傾けると。金融国会の時の当時の自民党、与党、あるいは長年にわたる衆院憲法調査会における議論の当時の中山(太郎)会長などは本当に、当時の私たち民主党だけではなくて、さらに小さな政党も含めて非常に真摯(しんし)に耳を傾けるという姿勢がおありだったので、われわれも建設的な議論ができたというふうに思っております。そのとき野党の側の立場でそうした対応に直接接してきた立場として、平成10年の当時の与党の関係者のみなさん、憲法調査会における与党のみなさんの対応というのをぜひ参考にして、野党のみなさんに謙虚に丁寧に対応させていただきたいと思っております」

 --その場合、どうしても野党主導の政策の中身になりがちだと思うが、民主党らしさをどのように確保するか

 「政党間の協議ですので、もちろんまったく180度意見が違っている政党の意見を取り入れてということにはお互いにならないわけでして、たくさんの政党があり、たくさんの政策がある中では、この政党のこの部分については非常に近いので、ある程度われわれの側が真摯に耳を傾ければ合意形成できるのではないかというようなことが、政策テーマごとに、あるいは法案ごとにあると思っています」

「もちろん、衆院で300議席を超える議席をいただき、この参院選挙でも比例第一党の議席をいただいている。それに対する、民主党の政権に対するご期待にもしっかり応えなければいけませんが、その軸と、今のようなやり方で、部分部分を、法案ごとに近い考え方のみなさんと協議していくのであれば、政党としての主体性、政策的な主体性というものは十分に確保しながら合意形成していくことは可能だと思っています」

 【参院議長】

 --野党側から参院の議長は野党から選出するべきという声があるが

 「それぞれの党にそれぞれのご主張があるだろうというふうに思いますが、これから正式には25日以降、正式な院の構成がスタートしたところから、その前から非公式な協議がなされると思いますが、まずは参院の国対、参院の執行部のみなさん中心に、各党のみなさんのご意見をうかがっていくというところから、院の構成に向けた話がスタートするんだと。まだそのスタートの前の段階でございますので、コメントする段階ではないと思っています」

 【幹事長任期】

 --9月に代表選があって、菅さんが出ると思うが、相手がいた場合、枝野さんも菅さんを推して幹事長続けたいという意向なのか。とりあえず暫定的に菅さんから頼まれたから続けるのか

 「いずれにしても、今の菅代表の任期は9月まででございます。民主主義のプロセスで、規約に基づいて任期があるわけでございますので、まずはその任期の間、しっかりと支えていくことのご指示だと受け止めております。その時点でどういうことになるのかということはまだ申し上げるのは尚早だというふうに思っておりますが、私は幹事長の役割は代表の補佐役だと思っておりますので、補佐役として支えている方が立候補することになれば、それを支えていくことが一般論となれば普通ではないかと思います」

【小沢の消費税批判】

 --敗因の1つを消費税とおっしゃったが、選挙期間中、小沢さんが消費税の問題について批判していたが選挙結果に影響を与えたと思うか

 「前幹事長のおっしゃっていた言葉やニュアンスを私、直接うかがっておりませんので、一方で民主党は次の総選挙までは消費税は上げませんということをお約束をしてきて、それは私もそういうことですということは演説などでも申し上げております。という趣旨のことを、約束ちゃんと守るべきだという趣旨のことをおっしゃったと漏れ聞いておりますので、批判をされたというふうには私は理解しておりません。民主党の党の方針に基づいてご意見、見解を示されたということだと思っています」

 【議員定数削減】

 --選挙後の提出を目指すとおっしゃった議員の定数削減法案はいつ提出を目指すのか。ハードルが高くなったということもあるし、各党と一致できる点は

 「まだ具体的な院の構成などをいつどう決めるかということ自体がこれからの相談ですので、国会の中長期的な日程のことはこれからですので、具体的にいつごろ出すかということを申し上げられる段階ではございません。ただ、いつでも提出できるような状況にはなっているというふうに聞いておりますので、まずは各党にお呼びかけをして、そして議論をスタートさせていくことはできるだけ早くということを思っておりますが、それは今の段階で拙速にいつということを申し上げるよりも、全体の政治日程を見ながら、唐突ではないタイミングで提起をしていきたいと思っています」

 「各党とも国会議員が自ら身を切る必要があることは一致しておりますので、その具体的なやり方についての違いがあったにしても、十分に議論は成り立つというふうには思っています」

【幹事長進退】

 --幹事長の進退問題を問う声がある中、結束の障害になるのではないか。今後党内で幹事長の進退問題を問う声にどのように理解を求めていくのか

 「本当に大事な先輩、仲間も落選されておりますので、私も大変申し訳なく思っております。そうした状況に対していろんなご意見があるのはある意味当然のことだと受け止めておりますし、またそういった声を真摯に受け止めながら、党内の結束と国民のみなさんの期待に応えていくことに向けて、さまざまなご意見、真摯に受け止めて答えていくことが重要だと思います」

 【普天間問題】

 --民主党は沖縄選挙区に候補者を出さなくて、幹事長は沖縄県民の民意について以前に比例区での票の出方によって示されるであろうとおっしゃっている。比例区から出た喜納昌吉議員は落選した。沖縄県内では民主党に対するNOの意思表示という受け止めがあるが、受け止めは

 「喜納さんが落選されたことは大変残念に思っておりますし、間違いなくそれに普天間問題が影響していることは否定できないことだろうと思っております。沖縄のみなさんが普天間の問題に対して、よりよい解決策を期待をされているということを真摯に受け止めなければならない」

「同時に国際間の約束である日米合意というものも国際間の約束なので、しっかりと尊重していかなければならないという両面をどうやって両立させていくのかというのはなかなか困難が多いと思っておりますが、いずれにしても沖縄のみなさんに一定の理解をいただかなければ、いろんな物が進んでいかないことは間違いありませんので、厳しい沖縄のみなさんの声を真摯に受け止めながら、一方で国際約束は果たさなければならないということをどうご理解いただくのか、それにあたっては沖縄のトータルとしての負担軽減をどう目に見える形で進めていくのか。大変複雑で難しい仕事だと思っておりますが、それに一歩一歩進んでいくしかないと思っております」

 【消費税】

 --消費税含む税制の抜本改革について、参院選の各党の主張では税制の議論のスピード感とか、優先順位について温度差があって、それが争点になった。それを踏まえて今回の参院選の結果をどう受け止めているか。当初の予定通り、年度内に改革案を作るという方向で進めるか。あるいは丁寧な議論が必要、ペースダウンが必要か

 「今回の国民のみなさんの声が必ずしも議論そのものまで否定をされたものではないと思うんですが、しかし唐突に、あるいは無駄遣いの削減に実績を上げながらでなくて上げたうえでとか、それからわれわれは税制の抜本改革と申し上げているんで、消費税だけを議論しようとしているわけではないんですが、他の税目についていろいろ議論があるのではないかとか、さまざまな声がこの背景にあった。で、その国民のみなさんの声には真摯に耳を傾けて対応しなければいけないということだと思っておりますので、必ずしも当初想定していた期限にこだわるのではなくて、幅広い国民のみなさんの理解と合意を得られるようなペースで進めていくということを基本に考えなければいけないと思っております」