参院選勝利で早まった自民党の崩壊

(日刊ゲンダイ2010/7/15)

人事刷新や党改革は先送り 亀井、小沢が手を突っ込む

獲得した議席では大勝利の自民党。鍵を握る29の改選1人区で21勝と民主党を圧倒し、執行部は「大変うれしい」(谷垣総裁)と浮かれている。地元青森を中心に東北地方をかけずり回り、すっかり表舞台から消えていた大島幹事長も、開票当日は満面の笑みで選挙番組をハシゴした。
しかし、皮肉にも、この勝利が自民党の崩壊を早めそうだ。自民党関係者が言う。
「票数を数えれば、自民党は勝ったと言えません。全国比例は民主1845万票に対し、自民1407万票。選挙区でも、民主2275万票に対し、自民1949万票と300万票以上引き離されている。それでも執行部に危機感はありません。12日の役員会では“9月までは今の体制でやる”と現執行部の続投が確認されました」
これに反発しているのが、「谷垣体制じゃ戦えない」と訴えてきた若手や中堅の面々。悪代官顔の大島幹事長や川崎二郎国対委員長の交代を求めてきたものの、党役員の続投が決まり、失望感が広がっている。
党内では「9月までというのだから、秋には役員が一新される」との見方もあるが、“気弱”な谷垣が冷徹な人事をやれるか疑わしい。
「自民党には、今回は負けた方がいいと考えている議員も多かった。国民の審判が下れば、イヤでも人事に手を付けざるを得なくなる。そうすれば石破、石原、小池といった知名度の高い連中を前面に出して勝負できる。そんな計算でした。
中途半端に勝ったのは、彼らにすれば予想外。人事も党改革も停滞すれば、展望は開けない。みんな見切りをつけて逃げ出すタイミングを見計らっています。すでに国民新党の亀井代表や民主党の小沢前幹事長は自民党に手を突っ込んでいるし、古賀誠元幹事長や若手議員と接触しているといったウワサも流れている。自民党は草刈り場の様相です」(政界関係者)
やっぱり自民党は消滅の運命だ。